内外装のカラーを明確に分けふたつの異なる世界観を表現

初代のイメージを受け継ぎつつ、2022年7月におよそ6年ぶりのフルモデルチェンジで登場したのが現行モデル。16年に登場した初代は〝自身のライフスタイルを楽しむ女性を中心に幅広い世代に好評〞(ダイハツのニュースリリースより)だったそうで、38万台を超える累計販売台数を記録したという。ライバル車のワゴンRスマイルをスズキが登場させたのは、この2代目ムーヴキャンバスのデビューより1年早い21年8月のことだった。
エクステリア




スーパーハイト系が主流の中で、あえてそこまでの全高をもたせず、しかし利便性の高い後部左右のスライドドアは設けているのが特徴。全高については、同じダイハツのタントに対し100㎜ほど低い設定。同社の最新プラットフォームのDNGAの採用により約50㎏の車体軽量化を達成し燃費を向上、最新の予防安全機能の〝スマートアシスト〞の採用で安全性能も高められている。
乗降性


またテレビCMもつくり分けられているように、ラインナップには「ストライプス」と「セオリー」のふたつの異なる世界観をデザインで表現。前者はボディ色にシャイニングホワイトパールと8色の有彩色を掛け合わせた独特のツートーン塗装、後者はブラックマイカメタリックを加えるなどしたモノトーン展開とし、落ち着きある趣になっている。同様に内装色も「ストライプス」がシート、インパネ、トリム類が明るいトーンなのに対して、「セオリー」は濃色を用いて差別化を図っている。またいずれのシリーズにも、初代で要望が高かったというターボ車が設定された点も見逃せない。
インストルメントパネル

装備面ではさまざまな気配りが見られる。〝置きラクボックス〞と名付けられた後席座面下の引き出し式収納はそのひとつ。引き出してついたてを展開したバスケットモードで使用すれば、買い物バッグなどを安定させて収めることができる。ほかに室温25度前後で2時間、42度を保てるという軽自動車初の保温機能付きの〝ホッとカップホルダー〞、運転席/助手席シートヒーター、傘もすっきりと収納可能なラゲッジアンダーボックスなども。なお後席は分割で240㎜のスライドおよびリクライニング機構を備える。
居住性


ほかにも降車時の予約により、乗車時に電子カードキーを持って近づけばスライドドアが自動で解錠、オープンできたりといった機能も。いずれも実車で体験してみると有効でうれしい機能と装備だ。そして実車だが、スーパーハイト系の高さ方向の空間を最大限にとった室内から乗り換えても決して不満はない。スーパーハイト系の(言葉の用法が違うが)大は小を兼ねる的な空間ではなく、身の丈に合った、しっくりと自分がクルマに収まっている感が味わえるムーヴキャンバスの心地良さもリラックスできていい・・・とさえ筆者には思える。
うれしい装備





月間販売台数 5485台(24年7月~12月平均値)
現行型発表 22年7月
WLTCモード燃費 22.9 ㎞/ℓ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム


同様に乗り味、ステアリングフィール、パワーフィール(自然吸気、ターボとも)、コーナリング時のクルマの挙動など、いずれもクルマのキャラクターとの連携がとれていて、あくまでも穏やかなタッチに仕上げられている点も魅力。セダン寄りの感覚もあり、気負わずに乗りこなせるクルマである。


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