「MBUX」や「MBUX ARナビゲーション」を搭載

ICEのGクラスは、2024年7月のマイナーチェンジで3.0L直列6気筒直噴ディーゼルターボを積む「G 450 dローンチエディション(ISG 搭載モデル)」、4.0L V8直噴ツインターボを搭載する「メルセデス AMG G 63ローンチエディション(ISG搭載モデル)」というカタログモデルを用意。全車「ISG(Integrated Starter Generator)」を組み合わせたマイルドハイブリッドになっている。
インテリアで目を惹くのは、タッチスクリーン式メディアディスプレイを配置した対話型インフォテイメントシステムの「MBUX」で、ナビやエアコン設定などを音声操作で容易にできるようになった。AR(拡張現実)を使った「MBUX AR ナビゲーション」の搭載もトピックスだ。
Gクラスもついに「キーレスゴー」を搭載

そのほか、最新世代のマルチファンクションステアリングホイールやアウタードアハンドルに触れるだけでドアを解除、施錠できる「キーレスゴー」、ステアリングヒーター、ワイヤレスチャージング(フロント)、温冷機能付カップホルダー(前席)、「Burmester 3Dサラウンドサウンド」の標準化など、装備も充実している。

試乗した「メルセデス AMG G 63ローンチエディション(ISG搭載モデル)」は、ICE版で最強モデルになり、4.0L V8エンジンは、430kW(585PS)/850Nmというスペックで、15kW(20PS)/208Nmのモーターアシストも加わる。
組み合わされるトランスミッションは、9速の「AMG スピードシフト TCT」で、電子制御の油圧式スタビライザーを備える「AMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンション」も搭載する。また、走行モードである「AMG DYNAMIC SELECT」は、オンロード向けだけでも滑りやすい路面に向く「Slippery」をはじめ、「Comfort」、「Sport」、「Sport+(スポーツプラス)」、個別設定が可能な「Individual」と多彩。
強烈な加速とブリッピングが味わえる「Sport+」モード

さらに、オフロード向けとして「Sand」、林道などに向く「Trail」、「Rock」も用意する。3080万円という高級SUVにふさわしいハイテクぶりだが、圧巻なのははやりその加速ぶりだ。
「Comfort」モードでも少しアクセルを踏み込むだけで、あふれるばかりのトルク感を実感できる。850Nmものエンジン最大トルクに加え、208Nmのモーターも加勢するわけだから2570kgの車両重量をものともしない。加速に関しては軽快感さえ抱かせるほどだ。急制動時には重い車体を感じさせるものの、かったるさとは無縁。
同時に高速道路での合流時の加速や、高速域のパンチ力も強烈そのもので、0-100km/h加速4.4秒の実力は、サイドからの左右2本出しマフラーの迫力満点のサウンドもあってそれ以上に速く感じられる。

乗り心地では、アダプティブダンピングシステムの標準化によって速度や路面状態に応じてダンピング特性を連続的に調整することで、フラットライドを目指している。走行モードを「Comfort」すれば21インチタイヤを履くにもかかわらずまさに快適だが、「Sport+」にすると、上下動だけでなく、左右に揺すぶられるシーンもあり、個人的には常に同モードしておくのは疲れそうな気がした。いざという時のやる気満々モードといえるだろう。

この「Sport+(スポーツプラス)」にすると、さらに獰猛さを隠そうともせず怒濤の加速とブリッピングしながら減速していくのだが、およそSUVに乗っている感覚ではない。

こう書くとAMGらしいスポーツキャラ全開のように思えるが、マイナーチェンジで静粛性や乗り心地自体はさらに洗練された。ハンドリングもトラック的な動きが影を潜め、普通に街中を走らせる分には十分に静かだ。240mmもの最低地上高によりよじ登り、降りる際も足元には注意する必要はあるが、こうした乗降性もGクラスに乗る儀式のように思えるし、半端な力では半ドアになる堅牢な立て付けのドアやボディ剛性感の塊のような室内空間の下界との隔絶感も相変わらずの美点だ。
メルセデス最強のオフローダーである本質は変わらないものの、今どきの高級車にふさわしい装備を多数用意し、エントリー価格も3.0Lディーゼルの2110万円〜とさらに高嶺の花になった。それでも「いつかはGクラス」と思わせる魅力を備えているのは間違いない。