デザインモチーフに「Sword Edge(ソード・エッジ)」を採用
AWIN(エーウィン)ブースでは、GOZELブランドのスズキ・ジムニー シエラとともに、AWINブランドの日産キャラバンが展示されていた。AWINがキャラバン用エアロパーツを手がけるのは、実は2作目。1作目は登場時期が早かったこともあり、現在のAWINのテイストとは異なる路線でデザインされていた。新作では他車種用と同様、デザインモチーフに「Sword Edge(ソード・エッジ)」を採用することで、AWINブランドに相応しいルックスを手に入れている。

最新のキャラバン用エアロパーツは、フロントスポイラー、サイドスポイラー、リヤバンパースポイラー、ルーフスポイラー、フェンダーガーニッシュで構成されている。フロント〜サイド〜リヤに至るまで、一本の軸を水平に通したようなデザインが特徴だ。

ここからは、各アイテムの特徴を見ていこう。まず、フロントスポイラーから。AWINのエアロパーツは、メイン部がピアノブラックで、アクセントとしてサテンシルバーがあしらわれている。ただ、サテンシルバーの加飾に頼るのではなく、ピアノブラックの部分でもしっかりと立体感を感じさせることが目指された。確かに、フラットな面に対して段差や陰影が付けられており、見る角度によって表情が変化するのがわかる。

また、キャラバンのフロントバンパーには牽引フックの取り付け部があるが、AWINのフロントスポイラーは、その部分に別体式カバーを設けることで、実用性を犠牲にしないよう配慮されている。コストや設計制約のことを考えれば、牽引フックを覆うようなデザインは避けたいところだろうが、「やったほうが良いデザインができるなら、多少無理をしてでもやるべきだ」という開発陣の判断により、チャレンジしたそうだ。

続いては、サイドスポイラーに注目。キャラバンの場合、スライドドア開口部のボディ下側部分が狭く、エアロの取り付けスペースを稼ぐのが難しい構造となっている。そのため、キャラバン用のサイドスポイラーを設定しているエアロメーカーは多くない。AWINでは開口部より前側の部分は両面テープ、それより後ろの部分はボルト留めと金属ステーを併用するなど固定方法を組み合わせることで、取り付け方法の難題をクリアしている。

リヤバンパースポイラーは、フロントスポイラーよりもシンプルかつクリーンな造形とすることで、フルコンプリートで装着した際のバランスを高めている。しかし、よく見るとただの平面ではなく、計算された水平ラインが盛り込まれるなど、単調に感じさせない造形となっていることがわかる。


ルーフスポイラーは中央部分が凹んだ独特な形状をしているが、これはデザイン性と生産性とを両立させるためのもの。一般的に、細長い金型に樹脂を流し込む工程は整形が不安定になりやすく、寸法精度や面精度の確保が難しいのだが、中央部分に凹みを持たせることでその問題をクリア。それだけにとどまらず、一直線のスポイラーでは得られないシャープで立体感のある独創的なシルエットの創出にもつなげているところがお見事だ。また、翼端部のデザインも凝っており、後続車のドライバーにシャープな印象を与える造形となっている。


そして、このキャラバン用エアロパーツの開発において最も困難を極めたのがフェンダーガーニッシュだ。幅の制限がある中で、いかに造形的な起伏や立体感を持たせるかが大きな挑戦となった。平坦な面にわずかな凹凸を与えることで光の陰影を生み出し、フェンダー自体に視覚的な厚みと強さを与える工夫が盛り込まれている。設計段階では「やりすぎ」「やらなさすぎ」といった意見が開発チームの中で交わされ、幾度となくデザインの微調整が繰り返されたという。実際、削り出しによる試作は何度も行われ、最終的にデザインが完成するまでには多くの時間と労力が費やされたそうだ。



キャラバンは「商用車」「働くクルマ」といった実用性を重視したイメージが強く、マーケットでも業務用途を中心とした層に支持されてきた。そうした中、AWINのエアロパーツは、従来の枠を越えた新たなターゲット層への訴求を意識して設計されている。「街乗りにも似合うキャラバン」として、ミニバンを所有するユーザーにも選択肢として検討してもらえるようなデザインを目指し、通勤や買い物、週末のレジャーといった日常シーンにおいても、スタイルと実用性の両立を図る提案となっている。
発売は夏頃を予定しているというAWINのキャラバン用エアロパーツ。続報を期待して待ちたい。
