ZN6型 トヨタ 86/ZC6型 スバル BRZ


2012年から2020年まで販売された初代トヨタ 86とスバル BRZの兄弟車は、低重心な水平対向エンジンをより後方に搭載した後輪駆動レイアウトとすることで、スポーツカーとして理想的なディメンションを得るとともに、安価に提供することを目的として開発されたモデルだ。
搭載されるスバル製2.0L水平対向4気筒自然吸気エンジンの最高出力は200ps。実用回転域のトルクが細いとの意見も聞かれるが、そのぶん6速MTでトルクバンドを保ちながら走行するスポーツカーの醍醐味が存分に味わえる。ATモデルも高い変速速度とロックアップ制御の多用でスポーツカーらしいダイレクトな加速が楽しめる特性だ。
製造期間中は幾度となく改良が加えられ、2016年7月以降に販売された後期型ではMT車のエンジンスペックがわずかに高められたほか、ボディ剛性の強化やサスペンションセッティングなども見直されている。
前期型であれば70万円程度から販売されており、後期型でも150万円程度から購入可能だ。良好な個体が手に入れたいなら200万円ほどの予算を見積もっておくとよいだろう。流通量も多く、MT車も約半分ほどを占めているため選択肢も広い。トヨタ 86/スバル BRZは、中古スポーツカーのなかでもっともおすすめできるクルマだ。
中古車価格相場:70万円〜200万円
NC型 マツダ ロードスター


マツダ ロードスターの中古車なら、2005年から2015年まで販売された3代目NC型ロードスターが狙い目だ。やや肥大化したボディとエンジンがNC型ロードスターの特徴であり、全幅は1720mmで3ナンバーサイズ、エンジンは最高出力170psの2.0L直4エンジンを搭載し、それに応じて車重も増加した。
軽量コンパクトなFRオープンスポーツを信条とするロードスターらしからぬ特徴に賛否はあるが、初代/2代目が抱えていた細かな問題解消しつつ、車重は微増に留められた3代目の性能はロードスターとしてもオープンカーとしても申し分ない。
中古車の購入にあたっての最大の懸念は幌や雨漏りの状態だ。幌を交換するとなると安く見積もっても10万円程度の費用がかかる。不安ならば、車重と価格は増加するものの電動リトラクタブルハードトップ(RHT)モデルを選ぶとよいだろう。
価格帯は80万円から180万円程度で、MT車の比率が多い傾向にある。3代目ロードスターは手頃な価格でFRオープンスポーツを楽しむのに最適な1台だ。
中古車価格相場:80万円〜180万円
Z33型 日産 フェアレディZ


ハイパワーFRスポーツカーに安く乗りたいなら2002年から2008年まで製造販売された5代目Z33型フェアレディZがおすすめだ。
Z33型フェアレディZに搭載されるエンジンは豊かなトルクを発揮する3.5L V6自然吸気エンジン。前期型のVQ35DE型エンジンは最高出力280ps/6200rpmだが、馬力自主規制撤廃後の2005年9月以降の中期型はレブリミットが引き上げられエンジン出力が向上している。さらに2007年1月の改良では高回転型となるVQ35HR型エンジンに切り替わり、最高出力と発生回転数が313ps/6800rpmまで引き上げられた。
ラグジュアリークーペとして乗るなら分厚いトルクでゆったりと走れる前期/中期型が適している。よりスポーティな特性のVQ35HR型エンジン搭載モデルは流通量が少なく相場は高めになる傾向があるが、エンジンの品質も向上しているため、より長く安心して乗りたい場合にも有力な選択肢となる。
MTよりもAT車の流通量が多い点もフェアレディZの特徴だ。価格帯は60万円から250万円程度と幅広く、予算や好みに合わせて仕様を選択できる。なお、このZ33型フェアレディZ以降はすべて乗車定員が2名となっている点だけは頭に入れておこう。
中古車価格相場:60万円〜250万円
JW5型 ホンダ S660


2015年から2022年まで販売されたホンダ S660は、エンジンを運転席後方に搭載したミッドシップレイアウト・リアドライブ(MR)の2シーター軽オープンスポーツカー。正確にはタルガトップと呼ばれるオープンカーの形式だが開放感は十分だ。
搭載されるエンジンはホンダ N-BOXなどと共通のS07A型ターボエンジンで、吸排気音やターボチャージャー作動音などにサウンドチューニングを施すことでよりスポーティに演出される。軽自動車初となる電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」のブレーキ制御で車両姿勢をコントロールし、MR特有の気難しいハンドリングが適度に抑え込まれている点がS660の大きな特徴だ。
S660は近年の軽自動車のなかではもっともスポーティなモデルと言えるだろう。しかし、ボンネット内には外した屋根を収めるための小さな収納ボックスが備わるのみで、実用性はマツダ ロードスターにも劣る。セカンドカーとして購入するのが望ましいが、安価な維持費でオープンスポーツカーの非日常を体験できると考えれば十分に価値ある存在だ。
価格帯は100万円から300万円と幅広いが、150万円以下の個体も多い。比較的新しいクルマであるため状態が良好な個体が多い点も特徴となる。
中古車価格相場:100万円〜300万円
SE3P型 マツダ RX-8


2003年5月から2013年4月まで製造されたマツダ RX-8は、後席乗降性とスポーツカーらしいスポーティなスタイリングを両立する観音開きドアを採用した4人乗りの4ドアクーペだ。
RX-8の最大の特徴が自然吸気ロータリーエンジン。排気量654ccのローターリーエンジン2基を連結した構成のRX-8は、実排気量小さいものの2.0Lレシプロエンジン並みの動力性能を発揮し、そのエンジンフィールはレブリミットのアラームがなければ際限なく回してしまいそうになるほど滑らかだ。
前期型は、最高出力210psの5速MT/6速ATのベースグレード/タイプEと、最高出力250psの6速MTのみのタイプS/タイプRSがレギュラーグレードとして設定されおり、2008年3月以降の後期モデルはエンジンに改良の手が加えられ、5速MT車が215ps、6速MT車が235psとなってている。中古車の価格帯は安いものでは50万円から、高いものでは200万円程度で流通量も比較的多めだ。
ただし、興味本位で購入することはおすすめできない。ロータリーエンジンの特性上、実燃費は7km/L程度で、走行時のエンジンオイル消費量も多くメンテナンスに手間と費用がかかる。その他のトラブルも多く報告されており、車両状態や扱い方によってはエンジンが故障する可能性も拭い去れ切れない。
RX-8に乗るには、ロータリーエンジンの知識を有しており、RX-8に精通した信頼できるショップを利用できる環境が最低条件となるだろう。こうした条件を満たせるのであれば、RX-8は最新のスポーツカーでも得られない貴重な体験を提供してくれるはずだ。
中古車価格相場:50万円〜200万円