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今日は何の日?■3席×2列の6座独立シートのハイトワゴン・エディックス

2004(平成16)年7月8日、ホンダのショート&ワイドボディのハイトワゴン「エディックス」が発売された。“3×2(スリーバイツー)”の3席×2列の6座独立シートという革新的なパッケージングで大きな注目を集めた。

ホンダから革新パッケージングのエディックス登場

エディックスは、ホンダが放った人気のミニバン「オデッセイ」、「ステップワゴン」、「ストリーム」に続く新たな革新モデルとして、2004年7月のこの日にデビューした。

エディックスの最大の特長は、何といっても3席×2列の画期的なシートレイアウトだ。7代目「シビック」をベースに、前3席/後3席の独立6座のシートを収め、前後のセンターシートはスライド機構を持たせてV字レイアウトを実現。特に前席の中央シートは、10mm後ろに設定した上で270mmのロングスライドを可能にした。

エクステリアは、シートレイアウトの影響でショート&ワイドの3ナンバーボディながら、2列レイアウトの特徴をいかしてスポーティなウェッジシェイプに仕上げられた。パワートレインは、最高出力156ps/最大トルク19.2kgmを発揮する2.0L直4 DOHC i-VTECエンジンと5速AT、130ps/15.8kgmの1.7L直4 DOHC VTECエンジンと4速ATの2種類の組み合わせ、駆動方式はFFとリアルタイム4WDが用意された。

車両価格は、2WD仕様で178.5万円(1.7L)/201.6万円(2.0L)に設定。エディックスは、その斬新なパッケージングとフォルムが注目されたが、コンセプトは市場に浸透せず2009年に1代限りで販売を終了した。
スペース効率と安全性に配慮したパッケージング
エディックスは、3人掛け×2列シートの独立6人シートを構成するために、様々な工夫を凝らした。

6つのシートの中央席については、前席センターは子どもが乗る際の衝突安全性にも考慮したつくりで、最前端の位置は運転席・助手席の最後端位置より10mm後ろに設定。そこからさらに270mm(後席は170mm)スライドできる仕組みを採用。車内幅は1535mmで中央を“V字”にずらせば、その分スペース効率も向上する。
安全面では、3点式シートベルトを6座すべてに採用。前席中央は衝突安全を考慮したつくりとしたのに加え、ISO-FIX対応チャイルドシート固定専用バー+テザーアンカーを備える。運転席はもちろん、助手席にも装着されるSRSエアバッグだが、助手席側は中央席の乗員にも届くよう大型化。前席用i-サイドエアバッグシステム/サイドカーテンエアバッグシステムは、全グレードにオプションとして用意された。


また前席のセンターシートを使わない場合は、背もたれを倒してアームレストにできる。後席は、ヘッドレストを下げてレバーを引くだけでシート全体がスライド格納でき、その場合3人乗車しても大容量の荷室スペースが確保できる。
以上のように斬新な3×2のパッケージは、状況に応じて自在にレイアウトやポジションを変更できるが、ユーザーには必ずしもメリットとは映らなかったようだ。
3×2コンセプトは、6年前に日産ティーノが採用
エディックス登場の6年前、1998年12月に日産から同様の3人掛けシート×2列シートのコンセプトを採用したハイトワゴン「ティーノ」がデビューしていた。

ティーノは、サニー系のシャシーをベースに、ホイールベースはサニーと同じだが、全長は75mm短く、その代わりに全幅は65mm大きい3ナンバーボディ。外観は、4ドアの1.5ボックスワゴンでフロントウインドウの傾斜を強めて全体的にはスタイリッシュなフォルムが採用された。

パワートレインは、最高出力135ps/最大トルク18.2kgmを発揮する2.0L直4 DOHCとハイパーCVTとの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された。
3人掛け×2列シートという斬新なコンセプトは、エディックス同様大いに注目されたが市場ではあまり評価されず、2002年のマイナーチェンジでは6人乗り仕様が廃止されるというように方向転換を強いられた。
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3人掛け×2列シートは、ロングボディのミニバンの使い勝手に不満を持っていたユーザーには評価されたが、オーソドックスな3列シートミニバン人気の牙城を崩すことはできなかった。前列に3人が座ることが何となく窮屈そうに見える点がマイナスイメージに繋がったのだろう。
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