上質な走りで乗り心地に好感 パワートレインの進化も注目

2012年に登場したN-ONEは、1967年登場のN360をモチーフとしたデザインのトールワゴン。当初の全高は1610㎜だったが、2015年のマイナーチェンジではほとんどの立体駐車場に対応する全高1545㎜(FF車)のローダウン仕様が追加された。
エクステリア




20年にはフルモデルチェンジを受けて現行の2代目に刷新。全高はFF車で1545㎜、4WD車で1570㎜となり分類上はセミトールワゴンとなる。好評で完成度も高いエクステリアデザインは初代モデルを踏襲。バンパーやグリル、ライト類などは小変更されているが、ボンネットやフェンダー、ドア、ルーフなど主要部は初代モデルのままとなっている。初代でも質感が高いと評判だったインテリアは余計なものを削ぎ落としたミニマルなデザインへと進化を遂げているのだ。初代モデルは走りの性能が高く、軽自動車のハードルを上げた存在だったが、ライバルたちも追い上げてきたため、2代目はプラットフォームを一新。ボディ剛性を高めつつ軽量化にも力を入れてきた。
乗降性


そのため街中を走らせるだけでもどっしりとした安定感と軽やかさが同居した上質な走りが味わえる。サスペンションのストロークがたっぷりとしていてよく動き、軽自動車らしからぬ乗り心地の良さなのだ。高速道路でもフラットで安心感がある。パワートレインも進化している。自然吸気エンジンは新たに可変吸気バルブのVTECを採用することでパワーと燃費の底上げがなされた。
インストルメントパネル

最高出力は58PSとピークパワーだけとればターボと6PSしか変わらない。同様のエンジンを搭載するN-BOXに比べて150㎏ほど軽いこともあってN-ONEなら自然吸気で十分だ。CVTの制御も進化してレスポンスの良い加速とリニアなフィーリングとなっている。一方のターボは104Nmと自然吸気の1.6倍のトルクが魅力。一般的な走行ならばアクセルペダルを深く踏み込む必要がなく、エンジン回転数が低く保たれるので自然吸気よりも静かで上質に感じる。高速道路を使う頻度が高いのならターボが良い。
居住性


ポーティグレードの「RS」には、CVTだけではなく6速MTが用意されたのも2代目のトピック。ミッドシップスポーツのS660譲りのパワートレインというところに夢がある。ターボエンジンはレスポンスが良く回転上昇も鋭いため、アクセルを踏み込んでいくとあっという間にトップエンドまで吹け上がる。6速MTでフル加速しようとするとせわしないほどだ。両手両足をフルに使って走らせること自体が楽しい。CVTの方も「RS」専用セッティングとなっていて、Sレンジを選択すればコーナーなどで減速しても再加速に備えて高回転/低ギヤ比を保ってくれるので走りやすい。パドルシフトもあるのでよりスポーティだ。
うれしい装備





月間販売台数 1454台(24年7月~12月平均値)
現行型発表 20年11月(一部改良 22年8月)
WLTCモード燃費 23.0㎞/ℓ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム


コーナリングもそこそこ楽しめるが、トレッドに対して全高が高めであることは否めないので無理は利かない。あくまでタイヤのグリップの範囲内で楽しむのが肝要だろう。いずれのグレードも動的にも静的にも質感が高く、軽自動車のプレミアムと評することができるのがN-ONEなのだ。


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