家庭用ベッドのようなウッドスプリングを使ったベッドの寝心地も抜群！
海外からの観光客が増加してインバウンド熱が高まる一方で、国内はインフレで日本人の旅行は出足が鈍い。一方で、旅行代を抑えられる車中泊の人気は高まる一方だ。しかし、コロナ禍以来右肩上がりだったキャンピングカーの需要は落ち着いた感がある。
理由はいくつかあるが、もっとも大きな要因になっているのが長納期。ビルダーは1台でも多く製作して納車したいところだが、ベース車両がなかなかメーカーから来ないという事情がある。特にバンコンで人気のトヨタ・ハイエースは生産が滞っているようで、ビルダーはその状況に悲鳴を上げていると聞く。
ユーザーは、価格の高さも気になるようだ。昨今のベース車両は安全装備などの追加によって、車両価格はどんどん高騰している。また、数年前に比べると家具などの部材も高くなっているため、バンコンでも500万円以上は当たり前となっている。
経済的にゆとりのあるシルバー世代は購買意欲が変わらなくても、何かとお金がかかるファミリー層、若年層には厳しい状況となっている。
だが、そんなユーザーに福音が。それが、奈良のビルダー「TWI」と家具製作の「SKY Bridge（スカイブリッヂ）」のコラボで生まれた「Grid（グリッド）」だ。グリッドをひと言で言えば、オートキャンピングシステムといったところだろうか。
ユーザーはベース車両を用意し、TWIに持ち込む。ベース車両は新車でもいいし、現在乗っている愛車でも構わない。新車の場合はTWIで併せて購入することができるが、車両の納期は現状では不透明だ。
さて、このシステムには特徴が多い。まず、家具に使われているのが天然木ということ。多くのキャンピングカーは家具の部材に合板を使うのだが、グリッドはヒノキや白樺、バンブーを使用する。そのため、香りとテクスチャーが非常にいい。
例えば、合板の場合、木目が印刷されているため、使用中に傷を付けてしまうと一部が剥がれて風合いがよくない。しかし、天然木の場合は傷や汚れが「景色」となる。さらに、グリッドの家具は一部が破損したとしても、その部分を外して補修できる構造になっているのもうれしい。
グリッドの家具の特徴・その2は、引き出しの中にドイツ製コンテナ「アルテック」を使っていること。一般的に、キャンピングカーの収納は引き出しだったり、キャビネットだったりと“空間”になっている。自由に使える、拡張性がある、という点ではいいのだが、物をシステマティックにまとめるには別途のアイテムが必要になる。
だがコンテナボックスに入れて積載した場合、今度は積載スペースが必要になる。さらに樹脂製の箱は床に置くと、走行中の車両の動きと共に右へ左と動くのが気になる。
このアルテックを使った家具は実によく考えられていて、大小のコンテナを組み合わせることで、物の大きさや用途で分けて収納できる。コンテナは取り出して水洗いできるので、清潔さを保てるのも嬉しい。
ベッドも、一般的なキャンピングカーとはひと味違う。ベースに、家庭用ベッドのようなウッドスプリングを使っているので寝心地抜群。通気性にも優れているので、四季を通じて快適な就寝が約束されるのだ。
グリッドの基本装備は、バタフライ式のセカンドシート（伊原工業製）、天井ウッド、ベッドユニット、専用マットレス、アルテックコンテナ、キッチンユニット、クォーターオーガナイザー、360度回転テーブル。
電装系は、基本的にはポータブル電源を利用。ポタ電を接続するインターフェイスは付いているが、オプションでサブバッテリーシステムも用意されている。オプションとしては、断熱材施工、DC12Vクーラー、FFヒーターなどを設定。
さて気になるのは価格。なんとインストール費込みで、274万3400円（税込）。車両持ち込みの場合は、別途構造変更費用が必要だ。すでに、愛車をお持ちのユーザーには、実に魅力的なプライス設定ではないだろうか。
ちなみに、車両持ち込みの場合の納期は約半年。新車の場合でも1年はかからない見通しだ。
装備のインストールは、奈良県にあるTWI、神奈川県内のスカイブリッヂのどちらでも可能だ。限られた空間の利便性と車内の雰囲気が命のバンコン。そのどちらも抜群にいいグリッド、注目のシステムだ。
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