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今日は何の日?■モンキーが原付二種(125cc)となって復活
2018(平成30)年7月12日、ホンダは50年愛され続けた原付「モンキー」生産終了後、その後を継ぐ形でエンジン排気量を125ccに拡大した原付二種の「モンキー125」を発売した。従来のモンキーの特徴であるコンパクト、シンプル、愛らしさの魅了を踏襲しつつ、パワーアップしてより実用的なバイクへと生まれ変わった。

遊園地の遊具から進化したモンキー

モンキーの原型は、ホンダが経営していた遊園地“多摩テック”の遊具として開発された5インチのホイールを履いた小さなバイクだ。これをベースに、1963年に小さくて楽しいレジャーバイクとしてCZ100が輸出モデルとしてデビュー。海外で人気となったことから、1967年から国内で「モンキー(Z50M)」とネーミングされて販売が始まった。

モンキーは、構造が簡単な超小型・軽量、さらに分解組立が簡単なことが特徴の原付バイクで、エンジンはスーパーカブシリーズ用の最高出力2.5ps/最大トルク0.31kgmを発揮する49㏄空冷単気筒OHV 4ストロークを搭載。変速機構は、3速MT(自動遠心クラッチ)が組み合わされた。

モンキーは、スーパーカブに次ぐロングセラーであり、1978年には大きなタンクを積んだアクティブな兄弟車「ゴリラ」がデビュー。クルマに積んで目的地で楽しむことを前提としたモンキーとは異なり、ゴリラはツーリングで目的地まで移動できる、より実用的なモデルとして人気を獲得した。
原付モンキーは2017年に惜しまれながら生産終了
モンキーは、1967年の発売以来、小さな変更も含めてユーザーの期待に応えるように、パワーアップや装備の充実、バリエーション展開を図り、日本だけでなく世界中で人気を集めた

しかし、1998年からバイクにも排ガス規制が導入され、その後規制値は厳しさを増し、2009年モデルでは排ガス規制適合のためにFI(電子制御インジェクション)化され、三元触媒を搭載。出力は、3.4ps/0.35kgmに向上したが、排ガス対応と大幅な車体の変更によって、価格がそれまでの約1.5倍に上昇した。
バイクもクルマ同様に趣味として需要が減ったことからモンキーの人気も低迷。さらに厳しさを増す排ガス規制対応にコストがかかり価格上昇が避けられないことから、ホンダは原付バイクの生産終了を決断した。

そして、モンキー誕生から50周年という節目の2017年6月、ホンダは有終の美を飾るラスト記念モデル「モンキー・50周年スペシャル」を500台限定で販売し、惜しまれながら終焉を迎えた。

原付二種となってモンキー復活

2018年7月のこの日にデビューしたモンキー125は、従来の原付「モンキー」の特徴であるシンプル、コンパクト、愛らしさなどの不変的な魅力を踏襲しつつ、125ccの力強い走りと取り回しやすいサイズ感、親しみやすいデザインを特徴とした。


スタイリングは、モンキー伝統の前後長を短く、上下にボリューム感を持たせた台形シルエットを採用。また、スチール製の前後フェンダーやマフラーカバーなどがクローム仕上げされた。



最高出力9.4ps/最大トルク1.1kgmを発揮する空冷単気筒SOHC 4ストロークエンジンと4速MTの組み合わせによって、より実用的でスムーズな加速と力強い走りが実現された。車体は、しなやかさと剛性を兼ね備えたバックボーンフレームを採用。足回りは、バネ下重量を軽減する倒立フロントフォークや、強度を確保した専用設計のスイングアームが採用された。
フロントのみABSを装備したタイプを設定し、車両価格は39.96万円、ABS付が43.2万円に設定された。


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バイクの排ガス規制も、クルマより遅れているが年々強化されている。エンジン排気量50cc~150ccまではカテゴリーが同じなので排ガス規制値も同一。そうなると、125ccに大きくすればそれだけ排ガス低減は楽になるので、50ccから125ccに拡大することは理に適っている。またバイクのレジャー用途が減ってきているため、モンキー125は街乗りでも軽快に走れる、より実用的なストリートバイクとしての役割を果たすという狙いもあるのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

