1. エクステリア:サイズとデザインを比べてみる






スズキ eビターラは、「High-Tech & Adventure」というコンセプトのもと、SUVらしい力強さと先進性を兼ね備えたエクステリアデザインが特徴です。全長4275mm×全幅1800mm×全高1635mmというサイズはコンパクトSUVとして標準的で、ホイールベースは2700mmとクラス相応。やや高めの車高や180mmの最低地上高がアウトドア志向を感じさせます。
一方、BYD ドルフィンはより都市型のアプローチを採っており、全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mmとやや低く、空力とデザイン性を重視した丸みを帯びたシルエットが印象的です。イルカをモチーフにした愛らしい造形や、シャークフィンアンテナの採用により全高1550mmに抑えた設計は、日本の機械式駐車場にもしっかり対応しています。両車とも同じホイールベース(2700mm)を採用している点も注目に値します。
| 項目 | スズキ e ビターラ | BYD ドルフィン |
| ボディサイズ(mm) | 全長4275×全幅1800×全高1640 | 全長4290×全幅1770×全高1550 |
| ホイールベース(mm) | 2700 | 2700 |
| 車両重量(kg) | 1700(49kWh仕様/2WD)/1790(61kWh仕様/2WD)/1890(61kWh仕様/4WD) | 1520(ベースライン)/1680(ロングレンジ) |
| タイヤサイズ | 225/55R18 98V | 205/55R16 91V |
2. インテリア:居住性と荷室の使いやすさはどうか?


室内空間では、eビターラがスズキ独自のBEV専用プラットフォーム『HEARTECT-e』を採用したことで、電池の床下配置によるフラットで開放的なキャビンを実現しています。インパネは機能性とタフさを両立したSUVらしいデザインで、ドライバー周辺のスイッチやディスプレイ配置にも実用性の高さが感じられます。




一方、ドルフィンはより乗用車的で洗練されたインテリアが印象的です。12.8インチの回転式センターディスプレイやビーガンレザー内装、スライドスイッチを備えたセンターコンソールなど、上質感と先進感を演出。リヤシートもホイールベースの恩恵を受けてゆとりがあり、181cmの成人男性でも快適に座れる広さを確保しています。




荷室については、eビターラの詳細スペックは未発表ですが、標準的なコンパクトSUV同等の一定の容量は見込まれます。対するドルフィンは、60:40分割可倒式リヤシートと高さ調整可能なラゲッジフロアにより、荷物の積載性や使い勝手で若干リードしていると言えるかもしれません。
3. パワートレイン:パワー、航続距離と充電性能の差は?


パワーユニット面では、eビターラは49kWhまたは61kWhのリン酸鉄リチウム(LFP)電池を搭載し、モーター出力は106~135kW、最大トルクは最大307Nm(4WDモデル)。駆動方式は2WDに加えてスズキ独自の電動4WDシステム『ALLGRIP-e』も用意され、走破性においてはSUVらしい実力が期待されます。
公式な航続距離は発表されていませんが、バッテリー容量から推定すると、49kWh仕様はWLTCモードで400km強、61kWh仕様では2WD車で500km強、4WD車で450km強と見られます。また、伝えられるところでは61kWh仕様の4WD車で0-100km/h加速7.4秒とホットハッチ並の動力性能を誇るようです。


対してドルフィンは現状、明確にスペックを公開しており、44.9kWhのスタンダードなベースラインでは航続距離400km、58.56kWhのロングレンジでは476km(WLTCモード)を達成。出力はそれぞれ70kW/180Nmと150kW/310Nmで、ロングレンジは0-100km/h加速7.3秒と、eビターラをわずかに0.1秒上回ります。
| 項目 | スズキ e ビターラ | BYD ドルフィン |
| 最高出力(kW) | 106(49kWh仕様/2WD)/128(61kWh仕様/2WD)/135(61kWh仕様/4WD) | 70(ベースライン)/150(ロングレンジ) |
| 最大トルク(Nm) | 193(2WD)/307(4WD) | 180(ベースライン)/310(ロングレンジ) |
| 総電力量(kWh) | 49(2WD)/61(2WD/4WD) | 44.9(ベースライン)/58.56(ロングレンジ) |
| 0-100km加速(秒) | 9.6(49kWh仕様/2WD)/8.7(61kWh仕様/2WD)/7.4(61kWh仕様/4WD) | 12.3(ベースライン)/7.3(ロングレンジ) |
| 普通充電時間(200V/3kW) | 約15時間(49kWh仕様)/約22時間(61kWh仕様) | 15時間(ベースライン)/19.5時間(ロングレンジ) |
| 普通充電時間(200V/6kW) | 約8.5時間(49kWh仕様)/約10.5時間(61kWh仕様) | 7.5時間(ベースライン)/9.8時間(ロングレンジ) |
| 航続距離 | 400km強(49kWh仕様)/450km強~500km強(61kWh仕様) | 400km(ベースライン)/476km(ロングレンジ) |
総論:両者ほぼ互角、あとは使い方と価格次第か?




総じてeビターラは、日本の道や生活に合ったサイズ感と、電動SUVならではの多用途性を備えた本格BEVと言えます。特に4WDモデルの存在は、キャンプや降雪地帯などの利用でもたいへん心強いものとなります。
片やドルフィンは、コンパクトなサイズと洗練されたインテリア、十分な航続距離を持ち、都市部での使い勝手を重視するユーザーにピッタリと言えるでしょう。いずれも実用性・性能共に高水準であり、最終的な選択はライフスタイルと走行シーンに応じて決めるべきかもしれません。冒険とタフさを求めるならeビターラ、日常使いと洗練性を求めるならドルフィン。どちらを選んでも、次世代のモビリティとして満足度の高い選択となるはずです。
| 項目 | スズキ e ビターラ | BYD ドルフィン |
| エクステリア(コンセプト) | SUVらしい逞しさ、冒険心 | 丸みと愛らしさ、都市向け |
| インテリア(コンセプト) | タフ&先進、BEV専用プラットフォーム設計 | 高質感、広々感、実用性 |
| 居住性 | 電池配置で室内空間を確保 | 主に前後方向のゆとりに注目 |
| 荷室 | SUV相応の実用性を確保 | 多機構で多彩かつ良好な使い勝手 |
| 航続距離 | バッテリー容量から49kWh仕様は400 km強以上と推定 | 400 km(ベースライン)/476 km(ロングレンジ) |
| 駆動性能 | 61kWh仕様は135kW/307Nm+4WDあり | ロングレンジは150kW/310Nm、ホットハッチ並みの加速 |
| 価格(税込) | 未発表 | 299.2万円(ベースライン)/474万円(ロングレンジ) |