欧州では2025年末から発売、日本は2026年中の発売予定
マツダの欧州事業を統括する「Mazda Motor Europe(マツダ・モーター・ヨーロッパ)」は、現地時間の7月10日に新型「CX-5」を初公開した。


「CX-5」の初代モデルは2011年秋にドイツ・フランクフルト・モータショーで世界初お披露目された。優れた走行性能と環境技術を両立する「スカイアクティブテクノロジー」、躍動感に溢れるデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」を初めて全面採用。マツダの社運をかけたブランニューSUVは2012年2月から日本での発売が開始されると、2年連続で国内のSUV販売台数で1位を記録するスマッシュヒットをかっ飛ばした。
初代モデルのエンジンラインナップは3種類。2.0Lガソリンエンジン、2.5Lガソリンエンジン、そして2.2Lディーゼルターボエンジンだ。特にディーゼルの「スカイアクティブ-D」は、ディーゼルらしい低回転域の大トルクとディーゼルのイメージを覆す爽快感とを両立。経済性だけでなく、“走りの良さ”でも積極的に選びたくなるエンジンとして人気を博すこととなった。

2016年12月にはフルモデルチェンジを行い、CX-5は2代目へと移行した。初代の販売が好調だったことから、2代目はキープコンセプト。ドライビングポジションの修正や静粛性の向上、G-ベクタリングコントロールやパワーステアリングの改良などさまざまな見直しを行うことで、すべての領域を1クラス向上させるモデルチェンジが行われた。
2018年には2.5Lガソリンエンジンの気筒休止採用、2.2Lディーゼルターボエンジンの可変ジオメトリーターボ搭載といった商品改良を実施。同年、2.5Lガソリンターボエンジンをラインナップに加えるなど、新しいユーザーの獲得にも余念がなかった。

そうしてCX-5は、450万台以上の累計販売台数を達成。今や世界100以上の国と地域で販売される、マツダの現行ラインナップにおける最量販車種となっている。
…ところが、初代のモデルライフが5年だったのに対して、2代目が登場してからはすでに8年以上の月日が経っている。そのため、CX-5のポジションはCX-60が受け継ぎ、CX-5はモデルチェンジすることなく姿を消してしまうのではないか…。そんな噂がまことしやかに囁かれる時期もあった。
しかし、マツダはこのたび、3代目となる新型「CX-5」をヨーロッパで初公開。ヤキモキしていたCX-5ファンは、きっと溜飲が下がったのではないだろうか。
コンセプトは「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」
新型「CX-5」の開発コンセプトは、「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」だ。魂動デザイン、人馬一体の走りを継承・深化させ、眺めて触れて乗ることでの歓びと感動を提供しながら、室内空間の広さや使い勝手、乗り心地、静粛性を進化させることにより、日常の多様なシーンにおける快適な移動をサポートするという。

新型のボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1695mm。現行型と比べると全長は+115mm、全幅は+15mm、全高は+5mmといった具合に、ひと回り大きくなっている。

エクステリアデザインは、2代目の面影も感じさせつつ、随所に新型ならではの新しい要素を感じさせるものとなっている。特にフロントフェイスは、薄型のヘッドライトの内部に見えるデイタイムランニングライトの構成や、ヘッドライトの中央部分の逆L字形状など、随所にこれまでのマツダ車にはない新鮮な処理が窺える。
インテリアは、完全に新しくなった印象だ。マツダは「一新したヒューマン・マシン・インターフェイス、強化・拡充された通信機能やアプリケーション、進化した先進運転支援システム(ADAS)」を採用したと謳っている。ダッシュボードは水平基調が推し進められ、中央部には大型ディスプレイを配置。CX-5の現行モデルやCX-60ではエアコン吹き出し口がデザインのアクセントとなっていたが、新型CX-5ではその存在感は控えめ。さらにエアコン操作もディスプレイに集約することで物理スイッチの数を削減し、クリーンなインストゥルメントパネルを実現している。

エンジンはマイルドハイブリッド付き2.5Lガソリンの1種類のみ
気になるパワートレインは1種類。「e-スカイアクティブ G 2.5」と呼ばれるマイルドハイブリッド機構付きの2.5L直墳ガソリンエンジンで、トランスミッションは6速ATが組み合わされる。残念ながら、初代モデルから搭載されてきたディーゼルエンジンはディスコンとなってしまったようだ。

しかし、2027年度中には「スカイアクティブZ」の搭載が予定されている。これはスーパーリーンバーン燃焼を実現し、さらにマツダ独自の新ハイブリッドシステムを組み合わせるもので、マツダが掲げてきた内燃機関の進化ロードマップの最終段階に位置付けられるエンジンだ。
新型「CX-5」は欧州で2025年末から発売が開始される。日本を含むその他の市場では、2026年中の発売予定だ。進化した人馬一体の走りを日本で楽しむことができる日を楽しみに待ちたい。
新型「CX-5」デザインスケッチ
新型「CX-5」主要諸元(欧州仕様)
| ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4690mm×1860mm×1695mm |
| エンジン | e-スカイアクティブG 2.5(Mハイブリッド付) |
| トランスミッション | スカイアクティブ-ドライブ(6速AT) |
| サスペンション(前/後) | マクファーソンストラット式/マルチリンク式 |
| 乗車定員 | 5名 |