
VLEは、同社の重要なプラットフォームであるVAN.EAを採用した一連のモデルの最初のモデルとなる完全電気バンとなる。

完全電気バンの新たな時代へと突入するVLEは、基本的に「Eクラス」(車名の「E」が由来)に似たミッドサイズモデルで、最大8人乗りとなる。その上位モデルには、メルセデスが「グランドリムジン」と呼ぶVLSバンが乗り、「自動車のラグジュアリーに真の偉大さを授ける独自のセグメントを確立する」としている。
この言葉を裏付けるように、VLEの長距離テストの結果が公開された。メルセデスはVLEのバッテリー容量について明らかにしていないが、他のメルセデスEVでは最大116kWhのバッテリーが採用されている。VLEテストカーはシュトゥットガルトからローマまで683マイル(約1000km)を走行し、15分間の「短い充電を2回」要したという。これは最大航続距離が約250~300マイル(約400~480km)になることを示唆しており、現行のEQVの航続距離226マイル(約356km)から大幅に向上している。
VAN.EAプラットフォームは、完全電気自動車プラットフォームの性能を最大限に引き出すように設計された専用設計となることは既に分かっている。これには、メルセデスの乗用電気自動車における様々な最先端技術が含まれており、最大320kWの急速充電を可能にする800V電気システムや、ハイエンドのサスペンションおよびシャシー技術などが含まれる。
この新しいアーキテクチャは、シングルモーターレイアウトに加え、全輪駆動のデュアルモーターオプションも提供される。テスト車両は後輪駆動のシングルモーターVLEで、メルセデスによると、追加のリアアクスルステアリングにより、ローマの街中で「タイトコーナーでも容易で機敏なハンドリング」が実現したという。2つのドライブトレインを組み合わせることで、様々な用途や要件に対し、ブランドは最大限の柔軟性を獲得する。
同ブランドは以前、VAN.EAテクノロジーにより、高級バンと商用モデルの「明確な差別化」が可能になると述べていた。VAN.EA-Pプラットフォーム(Pは「プレミアム」の略)は、「高品質なファミリーバン」や「専用VIPシャトルから広々としたリムジンまで」あらゆるニーズに対応するように設計されていると、同社は述べている。一方、商用バンにはVAN.EA-Cプラットフォームが使用され、Cは「コマーシャル」の略だ。
VLEの量産型デザインは、今年4月に発表されたVision Vコンセプトの要素を取り入れている。これは、クローズドグリル、全幅ヘッドライト、ボディ全体のすっきりとした表面仕上げ、そして目を引くラップアラウンド型のリアライトシグネチャーを意味する。
この新しいアーキテクチャを採用する電気バンのラインナップには、メルセデスが開発中のMB.OSインフォテインメントシステムが搭載される。さらに、プレミアムモデルは「常時接続」、つまり常にインターネットに接続され、アップデートを受け取ることができるとメルセデスは発表している。また、レベル2の自動運転が利用可能になり、2020年代末までにレベル3の自動運転を導入する計画もある。
VLEとVLSは、実質的に「Eクラス」と「Sクラス」のミニバンバージョンとなり、日本に導入されれば、VLSは1千万円を超えるかなりの高額とみられている(もちろんVLEもそれなりに高い)ことから、このVLEが大きな人気となりそうだ。
尚、既存の「Vクラス」との関係だが、正式発表はないものの、Vクラスの後継モデルというより、Vクラスの上のミニバンとなる可能性も噂されている。












