憧れのRE雨宮にUS流の美学を融合!

GTⅢ-4Rタービン装着で走りのメイキングも抜かりなし

日本の老舗チューナーやパーツメーカーが築き上げてきたチューニング技術と、SNSの普及で広まった海外流の魅せ技の融合。偶然の出会いをきっかけに、そんな理想像を実現したのが稲津さんだ。

稲津さんの愛車は99年式のFD3S。稲津さんにとっては2台目のFDで、憧れのRE雨宮のエアロなど、ある程度手の入った中古車を購入。徐々に自分好みのチューニングを加えていった。

13Bロータリーはモッチレーシングのオリジナルサイドポートエンジンを導入し、HKSのGTⅢ-4Rフルタービンキットでシングルターボ化。トラストのキットでVマウントも実現させている。

駆動系や足回りも強化し、当時のパワーチェックでは480psを記録。ひと通りのチューニングを完成させていたとも言える稲津さんに、3年前、転機が訪れた。名古屋で開催されたWekFestジャパンに友人がエントリーし、オーバーホールしたてだったFDの慣らしも兼ねて着いて行くことにしたのだ。

「当時は置きイベントには興味がなかったんですけど、せっかくお金を掛けるなら、こうした舞台に立てるクルマを自分も作ってみたいと思うようになりました。ちょうどボディの色変えを考えていたので、青系で格好良いクルマはいないかな…と探していたんですけど、その時に会場で見つけたのがクロスポイントのS2000だったんです」。

稲津さんが衝撃を覚えたのが、千葉県にあるX-point import(クロスポイントインポート)が出展していたワイドボディ&ターボ仕様のS2000。ボディはNC1型NSXの純正色であるヌーベルブルーパールで塗られ、色気のあるオーラを放っていた。

クロスポイント代表の千葉雅嗣さんとはその時が初対面だったが、S2000の色の名前を聞いたことをきっかけに意気投合。クロスポイントが得意とするUSDMやワイヤータックなど、それまで稲津さんにとっては未知だった世界の扉を開くことに繋がった。

ひとまずヌーベルブルーパールでオールペンした仕様で2023年のWekFestにエントリーすると、次の年は本格的にアワードを狙おうと決心した稲津さん。改めて千葉さんにエンジンベイの製作を依頼した。

シングルターボ+Vマウントの王道スタイルに、US流のワイヤータック&シェイブドベイの技術が取り入れられたエンジンルーム。ボディと同じヌーベルブルーパールでペイントされた器の中で、ポリッシュされたパーツがボワっと浮き立つかのよう。

ECUは純正の筐体のまま基盤だけ入れ替えるLINKのG4XプラグインECU、エンジンハーネスはアメリカのライワイヤのカスタムハーネスを使用しているのだが、実はFD3Sの北米仕様は前期で輸出が終わっているので、ライワイヤの商品も前期用しか設定がなかった。

純正ECUは前期が8ビット、それ以降が16ビットになっており、ハーネスと純正カプラーの形状が合わないことになる。だが、ワイヤリングの知識に長けているクロスポイントだけに、ライワイヤのハーネスを元にカプラーが合うようにワンオフで処理を行なった。

タービンはHKSのGTⅢ-4R。トラストのVレイアウトインタークーラー&ラジエターでVマウントを実現しながら、周囲のパーツをポリッシュすることで独特の見映えを実現した。カーショップグロウのフルチタンマフラーを装備する他、点火系にはイグニッション・プロダクツの独立点火コイルシステムを導入している。

内装はオーナーの稲津さん自身が仲間とともにDIYで張り替えを実施。ダッシュボードやセンターコンソール、ドアトリムなどにブラックスエードを取り入れている。ステアリングはレナウンとRWBの限定50本のコラボモデル。シフトレバー自体が1本の削り出しで作られているIRP(インディビジュアル・レーシング・パーツ)のショートシフターも備わる。シートはブリッドのフルバケットシート『XERO CS』を装着。4点式ハーネスはトラストとTRSのコラボモデルだ。

ホイールはDesmondリーガマスターEVO2を装着。ガンメタは本来ツヤ消ししか設定がないが、正規代理店であるクロスポイントから特注してグロスガンメタルを実現。フロントブレーキにはAPレーシングの4ポットキャリパーを備える。

前後フェンダーとサイドステップからなるRE雨宮のGT-ADキットを装着し、迫力のあるワイドボディを実現。さらに、RE雨宮のFACER-GTフロントバンパー、スリークライトキット、GTリヤスポイラーも備える。

魅せるための演出を突き詰めた結果、速さに美しさも加わった稲津さんのFD3Sは、満を持して参加した2024年のWekFestで見事にRX-7・オブ・ザ・フェスティバル・アワードを獲得。元々やってきたことの先にあったUSっぽさとの出会いにより、稲津さんはFD3Sと歩むクルマ人生に新章を刻みつけたのである。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
●取材協力:​X-POINT import 千葉県鎌ヶ谷市初富97-4 TEL:047-404-6704

「RX-7にC5コルベットの尻を移植した結果・・・」絶妙なミックス感が魅せる新境地!

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