アルファロメオ・ジュニア 1.2Lターボ+48V MHEVかBEV

アルファロメオ ジュニア IBRIDA SPECIALE

アルファロメオ・ジュニアはブランニューのコンパクトSUVだ。全長×全幅×全高は4195×1780×1585mmでBセグメントに属する。ルノー・キャプチャーやフォルクスワーゲンTクロスとオーバーラップするボディサイズだ。国産ブランドではレクサスLBXが近い。車名の「ジュニア」は1960年代に登場した「GT 1300 ジュニア」に由来する。オリジナルのジュニアは「多くの人々に軽快な走りとドライビングの楽しさを届けたスポーツモデル」で、現代版ジュニアもこのスピリットを受け継ぐべく命名された(本来はミラノを名乗るはずだったが)。

全長×全幅×全高:4195mm×1780mm×1585mm ホイールベース:2560mm
トレッド:F1535mm/R1540mm
車両重量:1340kg 前軸軸重850kg 後軸軸重490kg

日本に導入されるのは、48Vマイルドハイブリッド(MHEV)仕様のジュニア・イブリダと、電気自動車(BEV)のジュニア・エレットリカ・プレミアムである。イブリダ(Ibrida)はイタリア語で「ハイブリッド」の意味。エレットリカ(Elettrica)は「電気」を意味する。

限定車、ジュニア・イブリダ・スペチアーレ

ブレラレッド/ブラックルーフ2トーンスペシャルメタリックは2万円
スペチアーレでは、アルファロメオの象徴であるスクデット(盾グリル)がBEVと同じプログレッソデザインになる。
スペチアーレはこちらのグリル。
ベースのイブリダはこちら

試乗車はイブリダだった。それも、ジュニアの日本発売を記念した限定車、ジュニア・イブリダ・スペチアーレである。ベース車との外観上の大きな違いは、アルファロメオの象徴であるスクデット(盾グリル)がBEVと同じプログレッソデザインになること。赤十字と、人間をくわえた大蛇を組み合わせたアルファロメオのエンブレムを透かし彫りにしたものだ。ベースのイブリダはメッシュのグリルに筆記体でAlfaRomeoの文字が配される。

あちこちにアルファのシンボルがいるのが、アルファロメオ流
Sabeltアルカンターラシート 運転席6ウェイパワーシート(ヒーター付き) 助手席6ウェイマニュアルシート(ヒーター付き)

そのほか、サンルーフ、マットブラック&レッドインサートボディキット、レザー&アルカンターラステアリングホイール、サベルト製スポーツシートが備わる。インテリアもエクステリアもイタリア車に特有のスポーティなムードが与えられた。エクステリアのデザイン面では、リヤエンドをスパッと断ち切ったコーダトロンカが目を引く。個人的なお気に入りポイントのひとつだ。

トランク容量:415L

目を引くといえば、内外の随所に配された人間をくわえた大蛇、あるいは大蛇と赤十字の組み合わせもそう。ドアを開けるとダッシュボードの側面にアルファロメオを象徴するソレがあり、アルカンターラのシートにはヘッドレスト部に赤々としたトレードマークがあって、リヤドアを開けようとドアハンドルに目をやれば、その隣にも大蛇+人間。空調吹き出し口の中心、スマホのワイヤレス充電パッド、ダッシュボード上面にも大蛇+人間、もしくはそれに赤十字が組み合わさった紋章があしらわれている。アルファロメオに好意的であればあるほど、うれしい仕掛けだろう(筆者はうれしい)。

身長184cmのドライバーが前後に座ると後席の膝元の余裕はこんな感じ。

BセグメントのSUVで気になるのは後席の居住性で、国産、輸入を問わず、結構バラツキがある。身長184cmの筆者の場合、ひざ前に空間が残るモデルもあれば、前席シートバックにひざがめりこむようなモデルもあって、いろいろだ。ジュニアはどうかと確かめてみたが、及第点は与えられそう。シートバック背面のえぐれが利いて、ひざまわりがうまく収まる。ヘッドスペースも含め、長時間の移動に耐えられそうだ。

後席の乗員向けに空調の吹き出し口は設けられていないが、USBのポート(Cタイプ)は一口設けられている。見た目の印象になるが、ラゲッジルームの容量(415L)は日常使いには充分に感じられた。ハンズフリー電動テールゲートを備えているのも朗報だ。

全開加速は正直平凡。だが走りはアルファの名にふさわしく情熱的

1.2L直3エンジンのボアスト比は1.21 ターボは可変ジオメトリーターボ
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ+48Vマイルドハイブリッド
エンジン型式:HN09-ZA03
排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0mm×90.5mm
圧縮比:11.5±1
最高出力:136ps(100kW)/5500rpm
最大トルク:230Nm/11750rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:燃料筒内直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:44L
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式

イブリダ系のパワートレーンは1.2L直列3気筒直噴ターボと6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の組み合わせ。横置きに搭載し、前輪を駆動する(つまりFF)。エンジンはプジョー308などが搭載するユニットが源流だが、イブリダに搭載するにあたっては吸気バルブの閉じタイミングを制御することにより圧縮比よりも膨張比を大きくとって熱効率を高めるミラーサイクルを適用。さらに、可変ベーンによって流路を狭くしたり広くしたりしてレスポンス改善と出力の向上を両立させる可変ジオメトリーターボを採用するなど進化を果たしている。最高出力は100kW/5500rpm、最大トルクは230Nm/1750Nmだ。

6速DCTは48V駆動のモーターを内蔵。最高出力は16kW、最大トルクは51Nmである。ベルトスタータージェネレーター(BSG)も備えており、こちらも48V駆動だ。床下に搭載する水冷式のリチウムイオンバッテリーは総電力量が約0.9kWhもあり、たっぷりした数字からは、モーターの出番がなかなか多そうなことが推察できる。

発進はEV走行が基本。ドライバーのトルク(加速)要求が駆動用モーターの実力を上回るとエンジンが始動するのはハイブリッドの基本で、ジュニアのシステムも例外ではない。エンジンが主体となった定常走行時にやや強めの加速を要求してアクセルペダルを踏み増した直後、ジュニア・イブリダはグッと力強く背中を押す加速を提供してくれる。これがなんとも頼もしく、気持ちいい。

タイヤ:F&R 215/55R18 グッドイヤーEfficientGrip Performance 2 ブレーキはFベンチレーテッドディスク/Rディスク 18インチ ペタリアルミホイール
最小回転半径:5.3m

モーターのアシストでこの力強さを実現しているのか、可変ジオメトリーターボの制御で実現しているのかは正直、わからない。わからないが、走行中に踏み増したときの力強い反応は格別で、これをもって「ジュニアのイブリダはいいよ」と自信を持っておすすめできる。いっぽう全開加速は正直平凡で、「いまので全開加速だったの?」と同乗者に確かめられそうなレベルではあるが、中間加速は格別だ。加速とシンクロする刺激的なエンジン音もいい。

実際はモーターの助けを借りているかもしれないが、ジュニア・イブリダは「このエンジン気持ちいい」と感じさせる仕立てになっている。おかげで、ジュニアの走りはアルファロメオにふさわしく情熱的だ。いや、ジュニアを運転していると、乗り手が自然に情熱的になってしまうのかもしれない。

アルファロメオ ジュニア IBRIDA SPECIALE
全長×全幅×全高:4195mm×1780mm×1585mm
ホイールベース:2560mm
車重:1340kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ+48Vマイルドハイブリッド
エンジン型式:HN09-ZA03
排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0mm×90.5mm
圧縮比:11.5±1
最高出力:136ps(100kW)/5500rpm
最大トルク:230Nm/11750rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:燃料筒内直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:44L
フロントモーター
ZA03型交流同期モーター
定格出力:6.3kW
最高出力:16kW/4264rpm
最大トルク:51Nm/750-2499rpm

トランスミッション:6速DCT
駆動方式:FWD
WLTCモード燃費:23.0km/L
 市街地モード 23.4km/L
 郊外モード 23.6km/L
 高速道路モード 22.5km/L
車両本体価格:533万円