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今日は何の日?■スーパーカブ50の50周年記念モデルが登場
2008(平成20)年7月23日、ホンダは世界中でロングセラーを続けるビジネスモデル「スーパーカブ50」の誕生50周年を記念し、特別なカラーリングを施した「スーパーカブ50・50周年スペシャル」を8月1日に受注期間限定で発売することを発表した。

歴史的大ヒットとなったスーパーカブの誕生

スーパーカブが誕生したのは1958年だが、その源流となる「カブF」は1952年に誕生した。戦後間もない1948年に、ホンダがまず取り組んだのは自転車補助用エンジンの製造だが、その直後から自社で2輪車の製造に取り組み、1949年の「ドリームD型号」に続いて、より扱いやすい大衆向けに開発したのが「カブF」である。

カブFは、白いガソリンタンクに赤いエンジンカバーという、当時としては斬新なカラーリングが特徴。そのイメージから英語で「ライオンやクマなど猛獣の子ども」を意味する「Cub(カブ)」というペットネームが付けられ、扱いやすいバイクとして月産1万台を超えるヒットモデルとなった。

そして、カブF誕生から6年後の1958年に革新的な大衆用バイク「スーパーカブC100」がデビューした。エンジンは、50ccエンジンとしては例のない空冷4ストローク単筒エンジンで、最高出力は一般的な2ストロークの約2倍の4.5ps、最高速度は70km/hに達し、車体についても高強度なプレスバックボーンフレームを採用。軽量化のためのレッグシールやフェンダーにポリエチレンを使うなど、最新技術が盛り込まれた。
スーパーカブC100は、4ストロークなので静かで燃費が良い、さらに自動遠心クラッチを備えることで初心者でもすぐ乗りこなすことができるため、発売と同時に爆発的な人気を呼び、1960年の月間生産台数は2.7万台に達した。これは、当時の日本製バイクの年間販売台数の2/3に相当したのだ。
スーパーカブ50の進化
・スーパーカブC50(1966年~)
初のモデルチェンジで静粛性と耐久性を向上させるため、エンジンをOHVからSOHCに変更。デザインは、今に繋がるデザインとなり、生産累計台数は400万台を超えた。
・スーパーカブ50スタンダード(1981年~)
燃費を重視して105km/Lという超低燃費を実現。海外80カ国で広く愛され、前年に生産累計台数1350万台を超えた。

・スーパーカブ50スーパーカスタム(1983年~)
カブの超低燃費化への追求は留まることを知らず、180km/Lという驚異的な燃費を達成。

・スーパーカブ50ビジネス(1991年~)
スタンダードとビジネスに燃料計が追加され、全車に鍛造ブレーキペダルを採用し、エンブレム、グラフィックが変更され、サイドカバーはホワイトとなった。
・スーパーカブ50スタンダード(1999年~)
キャブレターのセッティング変更とブローバイガス還元装置を採用して、排ガス規制に適合。
・スーパーカブ50スタンダード(2007年~)
電子制御燃料噴射(PGM-FI)システムを採用。大型のリアキャリアを装備したスタンダード、フロントにもキャリアを装備したデラックス、始動に便利なセルフ式(キック式併用)を採用したカスタムの3タイプが用意された。


50周年を記念したスーパーカブの50周年スペシャル登場
2008年にスーパーカブ50周年を記念して、2008年7月のこの日「スーパーカブ50・50周年スペシャル」の発売が発表され、翌8月1日に受注期間限定(2008年7月23日~8月末)で発売されることになった。

スーパーカブ50周年スペシャルは、ボディカラーに専用色の漆黒のグラファイトブラックを、シート表皮には高級感のある専用色のロイヤルブラウンを採用。ヘッドライト下部のフロントトップカバーには、ゴールドカラーのオーナメントを、サイドカバーには「50th ANNIVERSARY」の記念エンブレムを採用することで特別感が強調された。

2017年10月には、スーパーカブは世界累計生産1億台を突破するという前人未到の大記録を達成したが、最近は原付バイクの販売は低迷。2025年に施行される排ガス規制に伴い、「スーパーカブ50・ファイナルエディション」をもって惜しまれながら生産を終えた。もちろんコストを度外視すれば排ガス対応は可能だが、価格が上がることは避けられず、このクラスでは販売的には致命的となるのだ。
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新排ガス規制にともない、2025年4月から道路交通法が改正された。これまで原付免許は、排気量50cc以下のバイクしか運転できなかったが、新制度では最高出力を4kWに制御という条件付きではあるものの、125cc以下まで原付と認められるようになった。そこでホンダは、原付免許で乗るための新基準に適合した110ccクラスの新たなスーパーカブを販売するようだ。50ccではないが、原付スーパーカブの復活は近い。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。




