『サクラ・オートヒストリーフォーラム』とは?

2025年で12回目を迎えた『サクラ・オートヒストリーフォーラム』は、江戸時代から続く佐倉藩主堀田家の第11代当主・堀田正恒伯爵が昭和初期にヨーロッパからバラの花とスポーツカーを佐倉に持ち帰った史実から、バラ園としても名高い「佐倉草ぶえの丘」(千葉県佐倉市)で開催されるクラシックカーイベントだ。

会場となる「佐倉草ぶえの丘」と『サクラ・オートヒストリーフォーラム』の案内。

しかし、開催日の2025年5月6日(火・祝)はあいにくの雨。エントリーカーは貴重なクルマだけに、当日参加を取りやめたであろうスペースも散見されたものの、それでも多数のクラシックカーが会場に並べられた。

『サクラ・オートヒストリーフォーラム』の会場。

これら国内外の貴重なクラシックカーを間近に見られるだけでなく、オーナー同士はもちろん来場者とオーナーがクルマ談義に花を咲かせることも多く、クルマ好きの交流の場として大いに盛り上がった。

『サクラ・オートヒストリーフォーラム』の展示車両。

さらに『サクラ・オートヒストリーフォーラム』のコンテンツとして、これらのクラシックカーが実際に走っているところを見られるパレードランが、雨天をおして実施された。自走での来場車も多く、会場近くでは入退場の際にはタイミングによっては走っているところを見ることもあったが、列をなして走る様は大変珍しい光景と言えるだろう。

パレードに出発するクラシックカー。先頭は1948年式のMG・YA。
パレードラン、スタートの様子(その1)
パレードラン、スタートの様子(その2)
パレードラン、スタートの様子(その3)

トヨタ・クラウン70周年記念展示

トヨタ・クラウン70周年記念特別展示

また、今回の『サクラ・オートヒストリーフォーラム』はトヨタ・クラウンの70周年ということもあり、エントリー車のクラウンがステージ前に揃えて並べられた。1960年代〜1970年代のクラウン4台+αが70周年を飾った。

1972年式クラウン2ドアハードトップ・スーパーサルーン。いわゆる”くじらクラウン”の希少な2600の前期型でトヨタグライド仕様。
1970年式クラウン・スーパーデラックス。
1969年式クラウン。なんと貴重なひと桁ナンバー車。
1962年式クラウン1900デラックス。観音開きの初代クラウンで、茨城トヨペット社員の所有車だとか。
歴代クラウン+αの千葉県警のクラウンパトカー。

ステージ前に並ぶ貴重なクラシックカー

ステージ前のエリアには”まさに”クラシックなクルマが中心に並べられた。

全体で約150台がエントリーしている『サクラ・オートヒストリーフォーラム』だが(雨天による当日キャンセルあり)、3つのエリアに分けて展示されていた。今回は上のクラウンが並べられたステージ前のエリアの展示車両を紹介していこう。

パレードランで先頭をきった1948年式のMG・YA。
1952年式MG・TD。幌はあるが基本的にオープンカー。悪天候にも負けず駆けつけた心意気もあり、主催の佐倉モータークラブ会長賞を受賞した。
ポルシェ356カレラ。ウインカーのテーピングやピンタイプのボンネットや牽引フックなど、スポーツ走行を窺わせる。
かなり車高を下げているのがわかるリヤまわり。センター出しのマフラーがレーシーだ。
フロントフェンダーのカレラエンブレム。PCJカップ(日本ポルシェクラブのサーキットプログラム)の車検ステッカーが見える。
1959年式ボルボPV544(写真左)。これも希少なひと桁ナンバー。
ボルボPV544
ボルボPV544
ボルボPV544
1972年式ランチア・フルビア。フルビアはストラトスの前のワークスマシンとしてWRCなどのラリーで活躍。シビエの補助灯カバーにそのイメージを感じさせる。
ランチア・フルビア
ランチア・フルビア
ランチア・フルビア
1960年式オースチンヒーレー・スプライトMK.I(右)と1970年式ポルシェ911T-BX(左)。
1959年式アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント。クラシックカーにモダンなホイールの組み合わせ。
1975年式シトロエンDS。”宇宙船”とも称された独特のスタイルが特徴。1975年式は最終モデル。
DS23は1972年以降の2.3Lインジェクション仕様。
独特かつ流麗なスタイルの2台。

注目を集めた銀幕のスター車

クラシックカーが並ぶステージ前エリアで特に注目を集めていた2台がある。1台は特撮テレビ番組『ウルトラセブン』の劇中車「ポインター号」のレプリカ。こうしたカーイベントにも度々出展され、メディアでも何度でも取り上げられている有名な車両だ。

ポインター号レプリカ。ベースは1958年式クライスラー・インペリアル。実際の劇中車は1957年式だが、1958年式とはほとんど違いは無いとか。
1991年に製作を開始、1992年に完成して登録しているので二桁ナンバー。
驚くほどの完成度。ベース車が67年、登録から33年も経っているとは思えない。

そしてもう1台が映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンのモデルとなったDMC(デロリアン・モーター・カンパニー)のDMC-12ことデロリアンだ。この有名なクルマについて改めての説明する必要は無いだろう。

1981年式DMCデロリアン。DMC-12は開発時の仮称。1981年から1982年の2年間で約9000台程度が生産されたという。
デザインはイタルデザインのジョルジエット・ジウジアーロが担当。
ウェッジシェイプのハッチバッククーペにミッドフレームウインドウなど、当時のジウジアーロ節が色濃く表れる。

また、オーナーの好意で雨にもかかわらずその特徴であるガルウイングドアがオープンされ、インテリアも来場者に披露された。あくまでノーマルではあるが、”タイムマシン”の片鱗を感じさせた。

ガルウイングドアを開いたデロリアン。
助手席側のガルウイングドアから室内を覗く。
デロリアンのコックピット。1981年式という点で見てもかなりシンプル。
ステアリングとメーター。ステアリングは1980年代によく見られたデザインの3本スポーク。

また、今回紹介できなかった他のエリアのエントリーカーについても、追って紹介する予定だ。

出展社によるコンテンツや物販に飲食ブースも

イベントには地元縁のショップや飲食ブースも並び、物販やグルメなども楽しめるようになっていた。モーター系書籍の老舗・三樹書房などによるクルマ系の書籍やグッズ、ミニカーなどの販売もクルマ好きにはたまらない内容だ。また、千葉スバルによるキッズメカニック体験も行われ、ファミリーも満足な内容となっていた。

三樹書房ブース。大型書店でも見ることができない品揃えで、しかも格安のアウトレット品も販売していた。
バラエティに富んだ飲食ブース。
様々な種類のフードトラックも。
千葉スバルブース
千葉スバルブースに展示されたBRZ。
ちびっこメカニック体験は人気コンテンツ。
ちびっこメカニック体験に参加したキッズ。

さらに、特別展示では「スバルデザインカー」としてスバル車をピックアップしただけでなく、スバルのデザイン部長を務めた石井 守氏による特別講演も実施された。
次回は特別展示車両とスバルのエントリー車をまとめて紹介するほか、ゲストによるトークや音楽ライブなどについても紹介したい。

『サクラ・オートヒストリーフォーラム』特別展示「スバルデザインカー」の4台。