
プロトタイプが、ドイツのBMW本社周辺の道路で目撃されたことから、iX3 Mの開発はすでに順調に進んでいる可能性がある。同じくパワフルなi3 Mが既に生産開始されており、BMWグループは2027年末までに40以上の新型車または改良モデルを発売すると発表している。

BMWが2018年に新型電動SUVのコンセプト iX3を初公開した際には、iX3 Mに関する憶測が急速に広がった。iX3は、BMWの先進的な次世代車“ノイエ・クラッセ”のデビューモデルであり、X3の電動版とも言える存在である。このiX3は、Mモデルに先駆けて9月に開催される国際モーターショー(IAA)で、BMWの主役として登場する予定だ。
今回目撃されたプロトタイプは、フロント21インチ、リヤ22インチという大径タイヤを装着し、Mディビジョンを象徴する青いパンチング加工のブレーキキャリパーを備えている。現時点では、iX3の外装に大きな変更は見られない。
仮にこの車両がピュアなMモデルであるとすれば、現在の開発は、よりレーシーなサスペンションやブレーキ、シャシー剛性の向上に注力している段階だと推察される。今後は空力性能(エアロダイナミクス)の最適化にも取り組まれることが予想される。
「BMW史上最も高額な開発プロジェクトの一つ」とも報じられるiX3は、BMWの未来を象徴する“ノイエ・クラッセ”EVの中心的存在である。たとえばiX3は、まったく新しいデザイン言語、EV専用の新アーキテクチャ、そしてBMWとして初めてシャシーに一体化された最新世代のバッテリーを特徴としている。構造剛性の向上と重心位置の柔軟な設計は、将来のMディビジョンモデルにとって大きな利点となるだろう。
この新バッテリーは、3基の同期電動モーターによって駆動される(ただし詳細は未確認であり、市販モデルは全輪駆動のiX3 50 xDriveになるものと予想されている)。最高出力は約400ps、最大トルクは600Nmに達し、0〜62mph(約100km/h)加速は5秒未満に抑えられる見込みだという。
一方、より高性能なiX3 Mは、出力が500psを優に超え、700psに達する可能性も取り沙汰されている。新世代バッテリーは、前世代と比較してエネルギー密度が20%向上しているとされ、BMWは最大航続距離約800km(500マイル弱)の実現が可能であることを示唆している。また、400ボルトの充電技術により、わずか21分で航続距離の最大80%を充電できるという。
現在、BMWの電動車販売は緩やかではあるが着実に成長を続けており、グループ全体のEV販売台数は2023年から2024年にかけて13%以上増加している。iX3の納車は2026年初頭に開始され、その後まもなく新型i3セダンも市場に投入される予定である。BMWはこの成長の波に乗ろうとしており、iX3 Mは2027年または2028年の発売に先立ち、2026年後半に発表される見通しだという。











