フォルクスワーゲン ID2 GTI プロトタイプ スパイショット

VWは2023年に発表したID.GTIコンセプトで、電動GTIの姿を初めて垣間見せた。このモデルは、すでに量産モデルの前触れとされていたID.2コンセプトをベースとしている。それ以来、VW初のGTI EVとなるであろう市販モデルの詳細が待ち望まれていたが、今回のスパイショットにより、ついにその一端が明らかになった。GTIらしい外観の進化に加え、予想以上に優れたブレーキシステムが採用される見込みだ。

フォルクスワーゲン ID2 GTI プロトタイプ スパイショット

カモフラージュが施されているにもかかわらず、以前に目撃された通常のID.2と比較すると、いくつかの変更点が確認できる。具体的には、よりスポーティな外観へと進化しており、コンパクトなフロントスポイラーや存在感のあるサイドスカートが組み合わされている。リヤバンパーはやや延長され、エアディフューザーのような形状となっており、ハッチ上部のリヤスポイラーも、ベースモデルよりわずかに大型化されている様子がうかがえる。

このプロトタイプがID.2 GTIであることを示唆するもう一つの要素は、フロントブレーキだ。GTIの進化においてブレーキ強化は定番の手法だが、今回のブレーキは想像以上にアグレッシブだ。サイズが大きいだけでなく、ドリルドローター(穴あきローター)が採用されている。ドリルドローターは比較的高価なスポーツモデルや高級車に多く見られる装備で、手頃な価格帯のモデルではあまり採用されない。

ドリルドローターの実際の性能面での優位性については議論があるものの、自動車メーカーが相応のコストをかけない限り、こうした仕様を採用することはない。ID.2 GTIはバッテリーパックの影響で車重がかさむと考えられるため、VWは制動力の強化が不可欠だと判断したのかもしれない。

VWの最高経営責任者であるトーマス・シェーファー氏は、「VW ID.2 GTIは“モンスター級のコンパクトEV”であり、我々の想定をすべて上回ってくるだろう」と語り、「まさに真のホットハッチとなる」とも付け加えている。

ノーマルのID.2は、今年9月にミュンヘンで開催される『IAAモビリティショー』でデビューする予定だ。GTIバージョンはその後に発表され、2025年後半にお披露目、2027年には生産が開始される見通しである。

なお、VWは将来的にe-Golf GTIも発売する計画だとされているが、ID.2 GTIはVW初の電動GTIとして、その伝統ある名前にふさわしい、歴史を背負ったモデルとなるはずだ。

また、最新情報として、ClubsportやRバージョンの開発が進行中との噂もある。ただし、これらは通常のGTIよりもさらに先の展開になるものと見られている。近い将来、ID.3のホットバージョンにこれらの名称が使用される可能性も報じられており、ID.2 GTIより先に登場する可能性もある。

なお、ID.2 GTIのスペックはまだ公表されていないが、少なくとも現行のゴルフGTIの最高出力241psに匹敵するパフォーマンスが期待されている。