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■9代目ファミリアSワゴンにスポルト20を追加

1999(平成11)年8月3日、マツダは9代目ファミリア「ファミリアSワゴン」のトップグレードとして「スポルト20」を発売した。カペラに搭載されている2.0Lエンジンをチューンナップして、新開発のアクティブマチックトランスミッション(FF車のみ)を組み合わせてパワフルな走りを実現した。

マツダ「ファミリアSワゴン・スポルト20」
1999年にデビューした「ファミリアSワゴン・スポルト20」

本格的な総合自動車メーカーを目指して投入されたファミリア

1955年に政府が提唱した「国民車構想」に刺激され、自動車メーカーから新型の小型乗用車が続々と登場。総合自動車メーカーを目指していたマツダは、1960年に乗用車市場への進出を図るトップバッター「R360クーペ」、第2弾として1962年に軽乗用車「キャロル」を発売した。

ファミリア800 セダン
1964年にデビューした「ファミリア800 セダン」

続いたのが、1963年にデビューしたマツダ初の小型車「ファミリア」であり、最初は「ファミリアバン」を投入。翌1964年に「ファミリアセダン」を投入。最高出力45psを発揮するアルミ合金製782ccの直4 OHV水冷エンジンを搭載し、最高速度は115km/hと大衆車としては世界レベルの動力性能を誇り、ファミリアシリーズの月販台数は1965年には1万台を超える大ヒットを記録した。

4代目「ファミリア」
1977年にデビューした4代目「ファミリア」。キュートなフォルムで人気となった

その後、ファミリアは2代目(1967年~)でロータリー車を設定したが、3代目(1973年~)では排ガス低減が困難なことからロータリー車を廃止。4代目(1977年~)は親しみやすい2ボックス型のハッチバックに変貌してヒットモデルに。続いた5代目(1980年~)は、FRからマツダ初のエンジン横置きのFFに変更。欧州風のスタリングやターボモデルの追加などで、マツダの国内販売最高を記録する空前の大ヒットを記録した。

5代目「ファミリア」
1980年にデビューして大ヒットした5代目「ファミリア」。特に赤いファミリアは、若者から圧倒的に支持された

大ヒットした5代目のキープコンセプトで6代目(1985年~)も好調な販売を続けたが、販売系列の5チャンネル化の失敗やバブル崩壊の影響などで、7代目(1989年~)と8代目(1994年~)ファミリアの販売も低迷してマツダは経営危機に。この状況を受けて、1996年にマツダはフォード傘下に収まった。

セダンとSワゴンが設定された9代目

フォードから遣された社長のもと、マツダは経営再建に向けて車種ラインナップの見直しを進めた。そのような状況下で、1998年6月にファミリアは9代目へ移行した。

9代目「ファミリアSワゴン」
1998年にデビューした9代目「ファミリアSワゴン」

ボディタイプは、4ドアセダンとコンパクトワゴン「S-ワゴン」の2タイプを設定。セダンは調和のとれたスタイリング、S-ワゴンは5ドアハッチバックをベースに伸びやかなルーフやソリッドの面構成によってスポーティさが演出された。

9代目「ファミリアSワゴン」
1998年にデビューした9代目「ファミリアSワゴン」

エンジンは最高出力130psと150psを発揮する1.5L直4 DOHCをベースに、セダンには85psの1.3L直4 DOHCと70psの2.0L直4 SOHCディーゼルの4種、S-ワゴンには135psの1.8L直4 DOHCを加えた3種を設定。トランスミッションは、5速MTおよび電子制御4速ATが組み合わされ、駆動方式はFFと4WDが用意された。

車両価格は、セダンが99.1万~166.4万円、Sワゴンが139.4万~186.4万円に設定された。S-ワゴンは、当時のステーションワゴンブームの中で一定の人気獲得に成功したが、セダンは厳しい販売を強いられた。

ファミリアSワゴンにトップグレードのスポルトS20追加

そして1999年8月のこの日、ファミリアSワゴンのスポーティなトップグレード「ファミリアSワゴン・スポルト20」が追加された。

ファミリアSワゴン・スポルト20
「ファミリアSワゴン・スポルト20」のリアビュー

スタイリングはイメージリーダーカーにふさわしく、大型フロントバンパー、4灯ヘッドランプ、サイドスポイラー、大径フォグランプ、スポーティグリル、リアアンダースポイラー、16インチアルミホイールなどを装備。インテリアについても、スポーティさを演出するホワイトメーターパネルや本革巻きナルディ製ステアリングホイール、本革巻きシフトノブ、チタン色化やメッキ化した内装パーツ、シートなどが採用された。

)「ファミリアSワゴン・スポラルト20」のコクピット
)「ファミリアSワゴン・スポラルト20」のコクピット
「ファミリアSワゴン・スポラルト20」のシートアレンジ
「ファミリアSワゴン・スポラルト20」のシートアレンジ

パワートレインは、カペラにも搭載された最高出力170ps/最大トルク18.4kgmを発揮するチューニングされた2.0直4 DOHCエンジンと、FF車にはマツダ初となるマニュアルモード付き4速AT(アクティブマチック)の組み合わせ。4WD車には4速ATと5速MTが設定された。

マツダ「ファミリアSワゴン・スポルト20」
マツダ「ファミリアSワゴン・スポルト20」

車両価格は、193.3万円(FF)/204.1~211.6万円(4WD)。それまで最もスポーティな位置づけだったグレードRよりも約30万円高額だった。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約225万円/238万~247万円に相当する。

マツダ「ファミリアSワゴン・スポルト20」
マツダ「ファミリアSワゴン・スポルト20」

爽快な走りをアピールしたスポルトS20だったが、人気は限定的で市場で上手くアピールできなかった。

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実はスポルト20以前に、1986年には6代目ファミリに「スポルト16」が設定されていた。同様にパワーアップされた1.6L直4 DOHCエンジンを搭載したスポルト16はバブル好期の後押しもあり、FFライトウェイトスポーツとして人気を博した。スポルト20は、セダンやスポーティモデルが下火の時期に投入された点が注目されなかったのも要因のひとつである。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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