貴重なFFレイアウト商用車 左側方からの大荷物積載も可

N-VANは軽バンとしては珍しいFFレイアウトを採用する。同じくFFベースの商用車には先代スペーシアを転用したスペーシアベースもあるが、N-VANは乗用車のNシリーズとプラットフォームを共有しつつも、上屋から室内まですべてがバン専用設計。

エクステリア

ホビーユースを考慮した「FUN」系グレードはツートーンのホイールキャップやフロントバンパーなど専用エクステリアで差別化している。FFに比べて4WDは全高が15㎜高い。最小回転半径は4.7m。

N-BOXによく似たスタイルも実際はN-VAN専用だ。昨年には電気自動車版のN-VAN e:も追加されたが、既存のガソリン車も当然ながら健在である。

インストルメントパネル

“働くクルマ”として収納スペースを確保したインパネ。6速MT車はステッキ式パーキングブレーキとなるのが珍しい。指針式の速度計を中心としたメーターは質実剛健な印象。

前席下にエンジンを置くキャブオーバーと比較すると、FFレイアウトは荷室長が確保しにくい。しかし、N-VANはFFならではの低床構造に加えて、助手席もダイブダウン可倒とすることで、運転席以外の室内空間すべてをフルフラット化できる。さらにボディ左側をセンターピラーレス化して、側方からの大荷物の積み下ろしも実現。荷室長こそ競合車に譲るものの、独自の利便性を徹底的に追求している。

居住性

そんなN-VANはお仕事グルマとしてはともかく、この種の軽バンを趣味に使う好事家としてはメリットが多い。その最たるものは運転姿勢で、N-BOXとほぼ同じドラポジは長距離でも疲れにくい。また、高速走行時の安定性もキャブオーバーより明らかに高い。自然吸気エンジンにはマニュアル変速機も用意されるが、世界的にも優れたシフトフィールで知られる6速MTなのだ。

うれしい装備

Bピラーレス構造と助手席まで格納してフラットになるラゲッジスペースは、まるで移動するテントのよう。
ラゲッジルーム壁面に12Vアクセサリーソケットが備わるのは「FUN」系のみ。キャンプでも使いやすい。
月間販売台数       2651台N-VAN e:を含む(24年7月~12月平均値)
現行型発表        18年7月(一部改良 24年4月)
WLTCモード燃費      19.8㎞/ℓ※自然吸気のFF車(6速MT)

ラゲッジルーム

純粋な軽商用車としての支持率はいまだキャブオーバーが優勢なのは否めないが、N-VANはいろいろな意味で貴重な存在である。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.166「2025年 最新軽自動車のすべて」の再構成です。

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