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今日は何の日?

■ソアラに対抗してレパードにTR-Xターボを追加

1981(昭和56)年7月28日、日産自動車は1980年にデビューした高級スペシャリティカー「レパード」の商品力強化のため、ターボモデル「レパードTR-Xターボ」を追加した。半年後にデビューしたトヨタ「ソアラ」の人気に圧倒されたレパードが、挽回のために高性能モデルを投入したのだ。

日産「レパードTR-Xターボ」
日産「レパードTR-Xターボ」

ソアラに先行してデビューした高級スペシャリティカーのレパード

日本が高度成長で好景気を迎えていた1980年9月、日産は高級スペシャリティカーのレパード(F30型)を市場に投入した。

1980年9月デビューした初代「レパード」
1980年9月デビューした初代「レパード」

レパードは、多くの点で時代を先取りしており、スタイリングはシャープな直線基調で、スラントさせたフロントグリルやヘッドライト、長く伸びたボンネット、傾斜のきついリアウインドウなどを巧みに組み合わせ、2ドア/4ドアハードトップが設定された。

室内は総ソフトトリムで仕上げられ、マルチ電子メーターや目的地までの距離や時間を計算してくれるドライブコンピューター、オートボリュームコントロールといった先進的な装置が備えられ、また機能的にはオートレベライザーやASCD(オートスピードコントロール)、ワイパー付きフェンダーミラーなどが装備された。

1980年9月デビューした初代「レパード」
1980年9月デビューした初代「レパード」の室内

パワートレインは、最高出力105ps/最大トルク15.0kgmを発揮する1.8L直4 SOHC、125ps/17.0kgmの2.0L直6 SOHC、145psの2.8L直6 SOHCの3機種エンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。

初代レパードに装備されたワイパー付きフェンダーミラー
初代レパードに装備されたワイパー付きフェンダーミラー

車両価格は、2ドア/4ドアとも1.8Lの標準グレードが156.5万円、2.0Lが183.5万円~266.3万円に設定。レパードは、デビューとともに高級感あるスポーティなクーペスタイルが注目を集めて人気を獲得した。

約半年後にデビューしたソアラの人気が爆発

レパードデビューの約半年後の1981年2月に、トヨタから“スーパーグランドツーリスモ”のキャッチコピーとともにソアラがデビューした。

初代「ソアラ」
1981年2月にデビューした初代「ソアラ」。華麗な高級スペシャリティカーとして大ヒットモデルとなった

ソアラのクリーンノッチバックと呼ばれたシャープなエッジを持った上品かつスポーティなフォルムと、多彩なエレクトリック技術を駆使した豪華なインテリアは、当時の高級車をも凌駕する魅力があった。

初代「ソアラ」
1981年2月にデビューした初代「ソアラ」。華麗な高級スペシャリティカーとして大ヒットモデルとなった

先進装備としては、エレクトリックディスプレイ(デジタルメーターやLEDタコメーターなど)やマイコン制御オートエアコン、ドライブコンピューター、エア式ランバーサポートなど、多くが国産車初だった。さらに、パワーアシスト付きラック&ピニオン、車速や道路状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を自動制御する電子制御サスペンション(TEMS)も世界初だった

パワートレインは、最高出力125ps/最大トルク17.0kgmを発揮する2.0L直6 SOHC、170ps/24.0kgmの2.6L直6 DOHCエンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ。170psは当時最強であり、またDOHC化している点でもレパードを上回っていた。

ソアラは、発売と同時に一躍大ヒットモデルにとなり、市場の注目はレパードからソアラに集まってしまった。

ソアラ追撃のためTR-Xターボで商品力強化

日産「レパードTR-Xターボ」
1981年7月にデビューした「レパードTR-Xターボ」

ソアラの圧倒的な人気の前で後塵を拝することになったレパードは、早速人気の巻き返しを図った。エンジン性能で劣っていたことから、1981年7月のこの日にターボモデル「レパードTR-Xターボ」を投入した。

レパードTR-XターボのL20ETエンジン
レパードTR-XターボのL20ETエンジン

当時、日産は1979年にデビューした国産乗用車初のターボモデル「セドリックターボ(430型)」を皮切りにターボモデルのフルライン攻勢をかけ、一方のトヨタはDOHC化戦略で高性能化に対応していた。

「レパードTR-Xターボ」のコクピット
「レパードTR-Xターボ」のコクピット

TR-Xターボは、2.0L直6 SOHCエンジンに、燃料噴射、点火時期などを集中制御するECCSにターボを組み合わせて、最高出力145ps/最大トルク21.0kgmまで向上させた。

「レパードTR-Xターボ」のフロントシート
「レパードTR-Xターボ」のフロントシート

車両価格は、2ドア/4ドアとも178.6~243.7万円に設定。当時の大卒初任給は12万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約342万円~467万円に相当する。

「レパードTR-Xターボ」のリアビュー
「レパードTR-Xターボ」のリアビュー

その後も、1984年6月には230psを発揮する3.0L V6 SOHCターボを搭載した「レパード300ターボ」を追加したが、ソアラも負けてはいない。1981年7月に145psの2.0L直6 SOHCターボエンジン、1983年2月に160psの2.0L直6 DOHCエンジン、1985年1月には190psの3.0L直6 DOHCエンジンを搭載したモデルを追加した。

2代目「レパード」
1986年にデビューした2代目「レパード」

ソアラに対抗して進化を続けたレパードだったが、終始リードしたのはソアラであり、1986年にモデルチェンジした2代目でも敵わなかった。

2代目「ソアラ」
1986年にデビューした2代目「ソアラ」。バブルとともに爆発的にヒットして、ハイソカー代表するクルマとなった

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レパードは、エンジンスペックや装備など少しずつ上回っていたソアラにどうしても敵わなかった。大きな差があったわけではなかったが、ソアラはハイソカーな元祖的なクルマとして市場で祭り上げられたことで、レパードの魅力が影をひそめてしまったように思える。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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