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今日は何の日?■20周年を記念したマツダのロードスター20周年記念車
2009(平成21)年7月31日、マツダはライトウェイトスポーツとして世界中のファンから愛され続けているロードスター誕生20周年を記念した「ロードスター20周年記念車」を発売した。1989年に誕生したロードスターの20周年記念車は、白いボディにレカロ製バケットシート、フォグランプなどが特別装備された。

人馬一体を具現化した初代(NA型)、正常進化した2代目(NB型)
1989年に誕生した初代ロードスターは、現在もマツダで継承されている開発コンセプト“人馬一体”をベースに開発された第1弾である。リトラクタブルヘッドライトを装備した、能面“若女”をモチーフにした和のテイストを生かした2人乗りのオープンスポーツで、コンパクトな軽量ボディが特徴だった。

パワートレインは、最高出力120psを発揮する1.6L直4 DOHCを縦置きフロントミッドシップし、トランスミッションは5速MT、遅れて4速ATも追加された。特にハイパワーではなかったが、重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分と軽量化ボディによって、レスポンスに優れた走りと高いハンドリング性能が楽しめた。
ロードスターは、ライトウェイトスポーツのオープンモデルとして国内外で大ヒット。翌年1990年の販売台数は2.5万台を超え、世界中でライトウェイトスポーツ旋風を巻き起こした。
1998年に初めてのモデルチェンジで2代目へと移行。基本的にはキープコンセプトだが、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトになり、各機能がブラッシュアップされた。パワートレインは、1.8L直4 DOHCと6速MTが追加されて最高出力は160psまで向上。さらにターボエンジンの追加によって最高出力は172psに達した。

2代目ロードスターも引き続き人気を獲得。2000年には、英国のMGBを抜いて「2人乗り小型オープンスポーツカー」として生産累計台数53万1890台で世界一となり、ギネスブックに認定された。
3ナンバーボディとなった3代目(NC型)

2005年に登場した3代目のスタイリングは、ロードスターらしさを継承しながら、洗練されたオーバルフォルムを採用。最大の特徴は、新開発のプラットフォームが採用され、それまでの5ナンバーから3ナンバーボディになったこと。

ただし、ライトウェイトスポーツが自慢のロードスターらしく、高張力鋼板やアルミ材を多用して、車重増加は先代に対して10kg程度に抑え、前後重量配分は従来通り50:50を実現。パワートレインは、排気量を1.8Lから2.0L直4 DOHCエンジンに変更して170psにパワーアップしたエンジンに、5速&6速MTおよび6速ATの3種が組み合わされた。標準グレードの車両価格は、220万円(5速MT)/230万円(6速AT)に設定された。
ボディは大きくなったものの、エンジンのパワーアップと軽量化によって、ロードスターらしい走りは損なうことなく、発売から1ヶ月で約1900台を受注して、引き続き好調な販売を記録した。
誕生20周年を記念した20周年記念車登場
そして、ロードスターは2009年に誕生20周年を迎え、同年7月のこの日に特別仕様車20周年記念車が発売された。20周年記念車は、ソフトトップモデル「RS」(6MT車)およびリトラクタブルハードトップモデル「VS RHT」(6AT車)をベースに仕立てられた。

10周年の際には、ブルーのボディにブルーの内装の10周年記念車が限定500台で発売され、好評を得た。20周年記念車では、ボディカラーが“クリスタルホワイトパールマイカ”のみで、白・赤・黒のコントラストが鮮明さを強調し、フロントフェンダー脇に取り付けられた“20th Anniversaryオーナメント”が特別仕様であることをアピールした。さらにフロントフォグランプとフォグランプベゼルが標準装備され、ソフトトップモデルの帆はビニール製から高級感のあるクロス製に変更された。

インテリアで目を引くのは、赤いレカロ製バケットシートだ。ヘッドレストとサイド部には赤い本革を使い、背面は黒いアルカンターラを使用。さらに赤いシートに合わせて、サイドドアトリムも赤色に変更され、赤と黒で彩られたツートーンが特別感を醸しだした。

車両価格は、ソフトトップモデル(6速MT)が286万円、リトラクタブルハードトップ(5速AT)が311万円に設定された。それぞれベース車よりも26万円、19万円高額となっているが、ロードスターファンを夢中にさせる人気を獲得した。
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その後も25周年記念車、30周年記念車、2024年には35周年記念車が販売され、変わらぬ人気を博している。現在次期車の噂が飛び交っているロードスター、特別感のある40周年、50周年記念車が発売されることを期待せずにはいられない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

