SUBAROADで“赤城のニュル”を走る! STIとスバルの走りのこだわりが詰まった新コース
子どもの学校が夏休みを迎えたこともあり、家族でドライブに出かけようと計画をしているクルマ好きは多いのではないだろうか。海か、山か、それとも…。そんなドライブ好きなあなたにピッタリのスマートフォン用アプリがある。それが「SUBAROAD(スバロード)」だ。

スマホで利用できる、ちょっと(だいぶ?)ユニークなドライブアプリ
「SUBAROAD(スバロード)」は、スバルが提供するスマートフォン用の無料ドライブアプリ。なぜスバルがドライブアプリを?という疑問が湧くかもしれないが、その答えはズバリ、スバル車の走りを楽しんでもらうため。一般的なナビゲーションアプリは、いかに効率的に目的地までのルートを案内できるか、ということに重点が置かれている。しかし、クルマ好きにとってのドライブは、最短距離を走ることがすべてではない。少し遠回りをしたとしても、走りがいのある道を選びたい、というときがあるはず。そんなクルマ好きの思いに応えてくれるアプリがSUBAROADなのである。
SUBAROADは、ワインディングロードなど走る楽しさを味わえる道や、その土地ならではの地形や風景を体感できるルートを選定。ドライブ中には、位置情報と連動して音声ガイドや音楽が流れ、目の前の景色やその地域の歴史・文化をリアルタイムで伝えてくれる。
実はSUBAROADは、スバル車のオーナーに限定されることなく、誰でも利用ができる(太っ腹!)。スバルの会員サイトを利用するための「SUBARU ID」という共通IDを取得する必要があるが、これは無料で登録が可能。その後は、App Store(iPhone用)もしくはGoogle Play(Android用)からアプリをダウンロード→インストールすれば準備OKだ。
アプリの使い方は簡単。ホーム画面から自分が行きたいコースを選択したら、走行ポイントごとに流れるBGMを選ぶ。BGMは「AWA」という音楽ストリーミングサービス(フル再生したい場合は有料)か、自分のスマートフォンに保存されているミュージックから選択が可能だ。あとはスタート地点で「出発」ボタンを押せばドライブ開始。そうした利用に関する詳しい情報は、SUBAROAD公式サイトも併せてご覧いただきたい。
■SUBAROAD公式サイト https://sdi-lab.jp/subaroad/
7月31日にスバルとSTIが手を組んだ新コースが追加。舞台は群馬・赤城山!
現在(2025年7月末時点)、SUBAROADでは28のコースが用意されている。北は北海道、南は鹿児島まで、それぞれ走りがいのある道やその土地ならではの美景スポットが盛り込まれている。
7月31日には、スバルのお膝元である群馬県を舞台にして、スバルのパフォーマンスブランドであるSTIとSUBAROADが初めてコラボした新コースが追加された。『STIの真髄はこの道から。GTドライバーと体感、“赤城のニュル”を駆ける!』ーこのタイトルからしてすでにアクセル全開、といった趣である。

“赤城のニュル”とは、赤城山の南側を東西に横切る「からっ風街道」のこと。アップダウンやブラインドコーナーが多く、その雰囲気が世界一過酷なサーキットと知られるドイツのニュルブルクリンクに似ていることから命名したそうだ。
STIはニュルブルクリンクで開催される24時間レースに毎年挑戦しており、そのノウハウは車両開発にもフィードバックされている。ただ速いだけでなく、あらゆる条件で、ドライバーが気持ち良く安全に運転できる。そんなSTIの「走りへのこだわり」は、ニュルブルクリンクで磨き上げられてきたと言っても過言ではない。そんなニュルブルクリンクを我々がドライブするのは簡単ではないが、“赤城のニュル”ならば都心からもそんなに遠くない(笑)。新コースは5つの経由地点を辿りながら、“赤城のニュル”ことからっ風街道を途中に挟んだ約85kmの設定となっている。

STIのスーパーGT&ニュルブルクリンク ドライバーも勢ぞろい
今回、7月31日のリリース日の前に新コースを体験取材することができたので、その模様をご紹介しよう。
ちなみに、この取材会にはSTIからスーパーGTドライバーの山内英輝選手、ニュルブルクリンク24時間レースドライバーの佐々木孝太選手&久保凛太郎選手も参加。モーターファン.jpチームの車両には山内英輝選手が同乗し、コース前半の運転も担当してくださった。プロのレースドライバーの運転は非常にスムーズだったのが印象的。発進から停止、コーナーといったどんな場面でも、助手席に座っていた私の首が1mmも動かなかった(急なGの変動が皆無)ことも付け加えておきたい。


日本で一番の来場者数を誇る道の駅からドライブは始まる…
さて、新コースのスタート地点は、群馬県・川場村の「道の駅 川場田園プラザ」だ。ここは「全国道の駅グランプリ2025」で1位に選ばれ、日本一の来場者数を誇るという、全国1230ある道の駅の頂点に立つ場所だ。東京ドーム1.5個分の広大な敷地の中には、地元の野菜や果物が揃ったファーマーズマーケットや地ビールレストラン、そば処、ピザハウス、ベーカリーなど、多彩なショップが点在しており、家族が1日たっぷりと楽しめる施設となっている。しかし、浮かれてばかりはいられない。グルメやお土産の罠に足を取られていると、永遠に出発できなくなる危険地帯(!?)なのでご注意を(笑)。

気を取り直して、SUBAROAD起動! SUBAROADはApple CarPlayにも対応しており、車両の大きなディスプレイにマップを表示させることができるのもうれしいところだ。


まず案内された最初の経由地は、「貝野瀬ビューポイント」だ。“日本で最も美しい村”のひとつである群馬県昭和村に位置するスポットで、手前には野菜畑が広がり、向こうには日本百名山を望む雄大な景色を堪能できる。
ちなみに、この貝野瀬ビューポイントの向かい側には、さくらんぼ畑の「桜桃園」がある。さくらんぼ狩りの営業も行っており、毎年、6月中旬ごろが食べ頃とのこと。残念ながら今年の営業は7月13日をもって終了してしまったが、タイミングが合えば、こちらにも足を運んでみてはいかがだろうか。


川場田園プラザから貝野瀬ビューポイントまでは、最短距離で向かえばだいたい20分で到着する。しかし、SUBAROADが案内したのは、あえて遠回りをして「利根沼田望郷ライン」を通過するルート。確かに走行時間は10分ほど長くなってしまうのだが、走ってみてわかった。これは“クルマ好き”へのご褒美なのだ、と。信号が少なくて適度な起伏とコーナーがあり、景色も良いから楽しくクルマを走らせることができる。「近道よりも、面白い道」を選んでくれるSUBAROADの真骨頂だ。

スーパーGTを戦うコンビによる楽しい音声ガイドがドライブを彩る
気持ち良くステアリングを握っていると、GPSによる位置情報と連動して音声ガイドが始まった。この新コースは、音声ガイドもスペシャル仕様。ナビゲーターは、スーパーGTシリーズで活躍するBRZ GT300のドライバー、山内英輝選手と井口卓人選手。おふたりが実際に走行しながら収録した、コースの魅力や走行ポイントを解説するナビゲーション音声が搭載されている。
ユニークなのは、単なるガイドにとどまらず、「クルマを上手に走らせるために気をつけていることは?」や「SUV車にSTIパーツを装着することのメリットとは?」といった真面目(?)な話題から、ニュルブルクリンクの思い出、おふたりの趣味に関する話題など、さまざまなトークが展開されるところ。ほとんどがアドリブで収録されたとのことで、スーパーGTでのコンビ歴が長い山内選手&井口選手の仲の良さが窺える。こうした要素も、STIとのコラボレーションだからこそ実現した魅力のひとつ。ぜひ、ご自身の耳で聞いてみていただきたい。
2か所目の経由地は、同じく群馬県昭和村の「奥利根ワイナリー」だ。道案内の看板に従ってワイナリーに向かう途中、赤城高原に広がるヴィンヤード(ブドウ畑)の間を走っていると、「群馬ってフランスだったっけ?」と地理感覚がおかしくなるような光景が広がる。
ここではワインの製造・販売を行っており、予約をすればブドウ畑や醸造所の見学をすることも可能。ワイナリーにはレストランも併設されており、アットホームな雰囲気で地元野菜をふんだんに使ったメニューに舌鼓を打てる。おすすめはグラタンとトマトパスタがセットになった「ワイナリー ランチ」とのこと。お腹がいっぱいになって、お土産にワインを購入したところで、次のスポットにクルマを走らせよう。

続いて到着したのは、「松の木ビューポイント」だ。ここも貝野瀬と同様、昭和村で3つあるというビューポイントのひとつで、いくつもの日本百名山が眼前に広がる絶景スポットとなっている。

ついにやって来た、ここが“赤城のニュル”だ…!
八ヶ岳、浅間山、苗場山、谷川岳などを一望した後は、「道の駅ぐりーんフラワー牧場・大胡」へとクルマを走らせる。その途中で待ち構えているのが、“赤城のニュル”ことからっ風街道だ。なるほど、確かにところどころに急勾配があったり、緑に囲まれながら右に左にとコーナーを抜けていったりするこの感じ…これがニュルブルクリンクらしさなのか!? 山内選手&井口選手の音声ガイドでも、「ニュルに似ている」というようなことを言っていたので、きっとそうなのだろう。念願のニュルブルクリンク走破、達成だ!(群馬だけど)
そんな日本版ニュルブルクリンクを走る際に頼もしかったのは、今回の試乗車であるレヴォーグSTI Sport R EXのポテンシャルだ。FA24型2.4L水平対向エンジンは最高出力275PS/最大トルク375Nmを発生し、CVTとは思えないほどリニアな反応を示してくれるSPT(スバルパフォーマンストランスミッション)とのコンビネーションにより、意のままの速度コントロールが可能なのが爽快だ。またSPTは全開加速時やブレーキング時に、まるでステップATのような変速制御が行われるのもやる気を盛り上げてくれる。
レスポンシブルなパワートレインと同様に好印象だったのが、ZF製の電子制御ダンパーだ。「コンフォート」モードでは、まるでラグジュアリーカーもかくやの乗り心地でのんびりと景色を見ながら走ることができる一方、「スポーツ+」を選択すれば足まわりはグッと引き締まり、“赤城のニュル”をミズスマシのごとく駆け抜けることもできる。そんな一粒で二度美味しい、アーモンドグリコのようなフットワークは、ドライブをひと際楽しく演出してくれる要素のひとつと言えるだろう。
なおスバルによると、SUBAROADの利用者はレヴォーグが一番多いとのこと。レヴォーグの優れたグランドツーリング性能が、ドライブを楽しみたいユーザーの嗜好にぴたりとマッチしているようだ。

目的地への最短距離よりも、記憶に残る遠回りをしてみませんか?
話が脱線してしまったが、ドライブに戻ろう。前橋市にある「道の駅ぐりーんフラワー牧場・大胡」は、絵本から飛び出てきたかのようなオランダ型風車が目印となっている道の駅。市街を一望できる展望台や芝生広場など、ゆったりした時間を過ごしたくなる施設が揃っている。ワインディングロードを走って盛り上がった気持ちをクールダウンするのにぴったりだ。
5か所目の経由地は「三夜沢赤城神社」である。各地に約300ある赤城神社(分社)の総本山と言われており、本殿内の宮殿は県の重要文化財に指定されている。

次なるスポットの「貴船神社」で、いよいよゴールを迎える。貴船神社は関東地方を干ばつからから守り、古くから水の神様として信仰されてきたという。縁結びや開運だけでなく、交通安全にもご利益があり、事前予約すればクルマの祈祷も行ってくれるそうだ。
貴船神社に近づくと、コブクロの『DOOR』が流れてきた。あらかじめ「ドライブの終わりに聴きたい曲」として、スバルが設定してくれていたのだ。SUBAROADが、新しいドライブの扉(=DOOR)を開けてくれる…新コースを堪能した筆者は、コブクロの歌声を聞きながらそんなメッセージを受け取った気がしたのだった。
ということで、走る道そのものに意味を見出し、目的地までの「移動」を「体験」へと変えてくれるSUBAROAD。筆者は今回、初めてSUBAROADを利用したのだが、そのユニークな機能の数々には本当に楽しませてもらった。新コースの『STIの真髄はこの道から。GTドライバーと体感、“赤城のニュル”を駆ける!』の走行ルートの設定も絶妙。クルマ好き=ドライブ好きならば、自分のスマートフォンにダウンロードしておいて絶対に損のないアプリと言える。ぜひ、この夏に体験してみてほしい。











