1.5Lターボと7速DCTを組み合わせる48Vの「Renegade e-Hybrid」

フィアット、プジョー、ジープ、シトロエンなど14のブランドを傘下に持つステランティスは、フィアット600ハイブリッド、新型アルファロメオ・ジュニア、新型プジョー3008ハイブリッド、プジョー408ハイブリッドなど、マイルドハイブリッドを続々と設定している。一方、2025年6月に追加されたジープ・レネゲードeハイブリッドは、パワーユニットが異なりテイストも異なっていた。同じステランティスのマイルドハイブリッドでも異なるスペックのパワートレーンを設定している。その違いをチェックしてみた。

新型アルファロメオ・ジュニアの48Vマイルドハイブリッド
フィアット600マイルドハイブリッドのエクステリア
「Jeep Renegade e-Hybrid」のエクステリア

フィアット600や新型アルファロメオ・ジュニア、新型プジョー3008などに搭載されたマイルドハイブリッドは、1.2Lガソリンターボ(136PS/230Nm)に897.9Whの駆動用バッテリー、16kWのモーター、6速デュアルクラッチトランスミッション(6速DCT)を組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムになる。

グロスブラックのフロントグリルアクセント、ブラックアクセントのドアミラーやドアハンドルを備える「Jeep Renegade e-Hybrid」

同じステランティスでもジープ・レネゲードに2025年6月に追加された「Jeep Renegade e-Hybrid」は、1.5L直列4気筒ガソリンターボ(131PS/240Nm)に、最高出力15kW(20PS)、最大トルク55Nmの48Vモーター、7速デュアルクラッチトランスミッション(7速DCT)が組み合わされている。

1.5Lガソリンターボと48Vマイルドハイブリッド、7速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる

同じ48Vマイルドハイブリッドシステムを積むフィアット600とアルファロメオ・ジュニアでは、個体差なのかエンジンが始動するタイミングは、前者の方が遅く、後者の方が早かった。

第5世代の「 Uconnect 5」10.1インチタッチパネルモニターを採用し、ステアリングホイールの形状も変更されている

レネゲードeハイブリッドもモーターにより発進するものの、フィアット600の約30km/hからのエンジン始動に対し、15〜20km/hでエンジンがかかるレネゲードは、より純ガソリン車に近い感覚だ。バッテリー残量によるものの、渋滞時のストップ&ゴーなどをのぞき、すぐにエンジンが始動する。

トランスミッションは7速DCT

また、6速DCTのフィアット600やアルファロメオ・ジュニアと比べると、7速DCTのジープ・レネゲードは、1速から2速、2速から3速の「間」が大きく、低速域は少しぎくしゃくしている。かつてのフィアット500のようなシングルクラッチほどではないものの、より洗練された変速フィールではフィアット600やアルファロメオ・ジュニアには及ばない印象だ。

前席はアップライトな乗車姿勢が印象的

さらに速度を上げていくと、モーターアシストのスムーズさと力強さでもフィアット600やアルファロメオ・ジュニアの方が若干上回る。エンジンスペックは両タイプともに同等で、中高速域のパワーフィールに大差はない。決してパワフルとはいえないが、高速道路で流れをリードできる程度の動力性能は備えている。

全長は4255mmと短めだが、アップライトな乗車姿勢になることもあり、後席も実用になる広さを確保

フィアット600とアルファロメオ・ジュニアの比較でも加速フィールをはじめ、乗り味やハンドリングに差を感じさせるが、ジープ・レネゲードは、レネゲードそのものといえる乗り味に終始している。

4255mmというコンパクトな全長の割に荷室も広め

アップライトな乗車姿勢をはじめ、速度域を問わず少し左右に揺すぶられるような乗り心地も現行型が登場してからの感触と大差はない。首都高速や山岳路でのハンドリングは見た目よりもクセが少なく、タイトなコーナーではロール量はそれなりに大きくなるが、比較的安定志向といえるコーナーワークを見せてくれる。なお、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を備えるが、全車速域対応ではなく低速域では制御がオフになるタイプになる。

ラゲッジボードは上下2段設置式で、写真は下段にした状態

ジープ・レネゲードは、フィアット500Xと同じプラットフォームを使い、日本上陸から10年が経つ古参モデルだ。走り味は、新鮮味があるとはいえないものの、マイルドハイブリッド化によりタウンスピードでの静粛性や17.7km/LというWLTCモード燃費を手に入れている。満タン法による実燃費は、約295km(約65%が高速道路で渋滞あり)走行して21.9L給油し、13.4km/Lだった。

背の高いSUVらしくアップライトに座らせる前後席をはじめ、上下2段式の荷室ボードを備えるラゲッジの実用性も高い。レネゲードは、内外装デザインに惚れた指名買いが多そうで、いま同モデルを狙うのなら最新の「e-Hybrid」が狙い目なのは間違いない。