4つのモンスターモーターを搭載、合計出力は700ps以上!?

BMW M3 EV プロトタイプ スパイショット

BMWが開発中の「M3 EV」。そのスパイショットで注目なのは、充電中、リアブレーキローターが青い色に染まっている様子だ。塗装のことではない。ブレーキローターの片方が真っ青なのは、このプロトタイプがテスト走行でかなりの負荷をかけられていたことを示唆しているのだ。

BMW M3 EV プロトタイプ スパイショット

なぜ片方のローターだけが青いのだろうか? この新型超電気セダンの性能ポテンシャルを示唆するいくつかの仮説がある。

今回はBMW M開発テストセンターで撮影されたもので、サーキットを走っているわけではないが、限りなくそれに近い状態だ。ここはサーキットに隣接しており、BMW Mグループが「リング」ラップテストの準備やテスト当日の車両のモニタリングと調整を行うための拠点として利用している。

プロトタイプは今でも厳重なカモフラージュが施されているが、見るたびに新たなディテールが明らかになっている。例えば今回はホイールセットが異なっているほか、M3の力ワイドなタイヤを覆う、幅広のフロントアーチとリアアーチが確認できる。また、パーキングセンサーから、BMWが車両を隠すためにどれだけのバンパー偽装を追加しているかがわかる。バンパーの窪みによって、車両の両端に少なくとも2~3インチのボディワークが隠されているように見える。つまり、このクルマは大きく見えるが、実物はそれほど大きくないということだろう。

フロントブレーキキャリパーはブルーの塗装で覆われているが、リアはむき出しの金属だ。これにリアローター全体が青くなっている点を合わせると、BMWがブレーキシステムに取り組んでいる兆候が見て取れ、リアキャリパーは塗装工場に持ち込む時間がなかったようだ。

なぜブレーキはこんなに青いのか?

リアローターの表面がこれほど青くなっているということは、ローターが非常に高温になり、おそらくかなり長い間その状態が続いていたことを意味している。

なぜこれが、この車の性能ポテンシャルの兆候でもあるのだろうか? ドライバーがブレーキを踏み込むような無駄な運転をしたり、サーキット走行中に単純にオーバーヒートしたりすることで、ブレーキローターが焼けてしまうことがある。しかし、ローターが1つだけ熱い場合はどうだろうか? これは車両ダイナミクスコントローラーの問題である可能性がある。コンピューターが、クルマを回頭させるために、その部分に過度に依存している可能性があるのだ。

BMW Mの電気自動車には4つのモンスターモーターが搭載され、そのすべてが単一の頭脳によって制御されることは既に分かっている。もしこのプロトタイプが、私たちが期待する750PSだとしたら、後部にあるモーターはそれぞれ少なくとも200PSの出力を持つことになるはずだ。つまり、後輪1つあたり少なくとも147kWの回生ブレーキがかかり、車体を回頭させるのに役立つはずなのだ。しかし、もし回生ブレーキが正常に機能していなかったり、BMWがコンピューターのキャリブレーションを完璧に行えていなかったりすれば、クルマはブレーキを使わざるを得なくなる。そうなると、リアローターが1つだけ焼けてしまう可能性があるわけだ。

もちろん、青いローターが非常に高温になっているという事実以外は、推測に過ぎない。また、問題の原因究明こそが製造前テストの目的なので、こうした問題が発生することは珍しくないことはお伝えしておこう。

いずれにしても、「M3 EV」が恐ろしいポテンシャルを持ち合わせていることだけは確かなようだ。