グランドコンセプトはグライダーからヒントを得た「アンリミテッドグライド」
ホンダは、2025年9月に発売を予定している新型プレリュードに関し、先行情報サイトを公開した。それに伴い、メディアを対象とした開発責任者によるプレゼンテーションを実施。そこで明かされた、新型プレリュードの開発コンセプトをご紹介しよう。
新型プレリュード先行情報サイト https://www.honda.co.jp/PRELUDE/new/
新型プレリュードは、四半世紀ぶりの復活となる6代目であり、本格的な電動化時代に対応した次世代ハイブリッドスポーツ&スペシャリティクーペとして位置づけられている。

開発責任を担ったのは、新型プレリュードだけでなく、シビック・シリーズ全体も統括する山上智行氏。1998年に自身が中途入社した年は5代目プレリュードの生産期間と重なり、当時の研修ではH22Aエンジンのポート研磨を和光工場で見学したという経験を持つ。履歴書に「スポーツカーの研究開発や、モータースポーツに携わって技術を磨いていきたいと考えています」と記してホンダの門を叩いた山上氏にとって、新型プレリュードの開発責任者を務めることは非常に感慨深いことだという。

新型プレリュードの開発においては、「Prelude(前奏・序曲)」というモデル名の意味に立ち返り、電動化を本格的に進めるホンダの製品群において先導的な役割を果たすモデルとした。伝統的なネームプレートでありながら、単なる復刻ではなく、新たな価値の創出を目的としている点が特徴である。

開発思想には、「グライダー」から得たインスピレーションが用いられている。グライダーはエンジンなどの動力を持たず、地形や大気といった自然の力を利用して長距離を滑空する乗り物である。そのスムースかつレスポンシブな挙動、そして優雅さとダイナミズムの両立といった特性は、新世代のプレリュードが目指すべき大きな指標となった。
目指したのは「どこまでも行きたくなる気持ちよさ」と「非日常のときめき」の両立
これを踏まえ、開発チームが定めたグランドコンセプトが「アンリミテッドグライド(Unlimited Glide)」である。このキーワードには、クリーンかつ滑らかな走行性能と、時にアグレッシブな挙動をも楽しめる、現代的なハイブリッドスポーツの理想像が込められている。また、こうした提供価値は、特別感があるのに多様性も備えているという新型プレリュードが狙うユーザーの価値観ともピッタリ重なるよう意図されている。

開発における主要な柱は「スタイリング」「ダイナミックス」「特別な時間」の3つ。これらは歴代プレリュードにも通じる本質的価値であり、今回もそれぞれの要素が高度に両立されるよう検討された。その結果、「どこまでも行きたくなるような気持ちよさ」と「非日常のときめき」という相反する要素を、いずれかを犠牲にするのではなく、どちらも高次元で満たすことが目指された。

また、スポーツカーとしての立ち位置にも明確な差別化が図られている。ホンダにはすでにピュアスポーツモデルとして「シビック タイプR」が存在するが、新型プレリュードはこれとは異なる方向性を持つ。より広い層に向けたスペシャリティスポーツとして、特別感や洗練された外観と、扱いやすくも刺激的な走りを両立することを目的としている。

車体構成においては、進化したハイブリッドシステムの採用に加え、シビック タイプR由来のシャシーコンポーネントを導入することで、スタイリングとダイナミック性能の両面を高い水準で実現している。プロポーションはワイド&ローを基調とし、視覚的にも性能的にもスポーツモデルらしい特別感のある佇まいを追求している。
山上氏は、新型プレリュードのことを「ホンダが今後進むべき電動化とスポーツドライビングの両立を具体的に示すモデルであり、ブランドとしての方向性を象徴する役割も担っている」と位置付けている。
現段階ではボディサイズやメカニズムなど新型プレリュードに関する詳細なスペックは明らかにされていないが、9月の発売に向けて、その全貌が明らかになる日が待ち遠しい。
