公認申請の方法は基本的にエンジン載せ替えと同様!?

搭載車の年式=排ガス区分により費用と難易度は大きく異なる

それまでレース専用部品という認識だったアルミ削り出しの社外エンジンブロックで、堂々と公認車検を取得した“ナンバー7”のS30フェアレディZ改。

そのインパクトは業界内でも大きく、純正ブロック供給に悩む第2世代GT-Rやシルビア/180SXといったクルマでも同様のアプローチができるのでは?と期待する声も多い。

そこで今回は、このナンバー7の公認取得もサポートした“ガレージ34”を直撃。アルミブロックを合法的に載せるうえでのポイントや課題を整理してみた。

ガレージ34 小野木代表

「結論から言えば、アルミブロックだからといって特別なルールがあるわけではありません。基本的には、通常のエンジン載せ換えと同じフローで公認を取得することになります」と語るのは、ガレージ34の小野木代表。

唯一アルミブロックで必要となるのが、国土交通省による“職権打刻”の作業。車検証には必ず搭載エンジンの型式を記載する必要があるのだが、アルミブロックはそのままでは型式未登録。そこで、排気量や出力、駆動系の構成と強度証明などの資料を添えたうえで専用のエンジン型式を打刻(シール)というかたちで追記する必要がある。

それ以外においては、車両ごとの排ガス規制に応じた対策が必須。たとえばナンバー7のS30フェアレディZは排ガス規制記号のない1970年代前半の車両だったため、継続車検時と同様のCO/NOx検査のみでクリアできた。

ところが、BNR32のような「E-」規制以降になると話は変わってくる。前述の各種申請書類&手続きに加えて公的機関での排ガス試験(10モード)が必要となるのだ。さらに、平成3年(1991年)11月頃以降の車両は10.15モードの排ガス試験が適用されるようになり、「GF-」規制のR34GT-Rも同じく10.15モード+アイドリング時のCO/HC規制が加わる形となる。COが1%以下、HCが300ppm以下という数値が求められ、ガス試験の合格難易度は年式と仕様によって大きく変わってくるのである。

また、試験は一発合格が保証されるものではないため、試験を繰り返すごとに追加費用も発生する。特にハイカムや高圧縮ピストンなどが入っている仕様では、基準をクリアするのが極めて困難になるケースも少なくない。

「特別な事情や目的があるのならともかく、現状ではRB26やSR20、2JZなどまだ純正ブロックが入手できるエンジンでのアルミブロック公認取得は、100万円以上というブロック価格や50万円以上のガス検取得費用を考慮するとあまりメリットがあるとは思えません」というのがガレージ34小野木代表の意見。ナンバー7のS30Zが搭載するS20エンジンの場合は、中古の純正ブロックが数100万円以上という状況だったことを考慮してのことだったのだ。

もちろん今後の可能性といういう意味では、ナンバー7のS30Zでの実績は絶版スポーツカーオーナーにとって大きな一歩となるものであることは間違いなさそうだ。

●取材協力:ガレージ34 埼玉県さいたま市岩槻区黒谷1334-8 TEL:048-798-2225

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