連載
今日は何の日?■ロータリー車40周記念年モデルのRX-8
2007(平成19)年8月8日、マツダはロータリー車発売40周年を記念した限定モデル「マツダRX8ロータリーエンジン40周年記念車」を発売した。高性能スポーツ「RX-8」をベースに、専用ボディカラーのマーブルホワイトを纏い、「コスモスポーツ」を想起させるインテリア、専用オーナメントを採用するなど記念車に相応しい仕様とされた。


世界を驚かせたロータリーエンジン搭載車コスモスポーツ
ロータリーエンジン量産車の第1号となったコスモスポーツは、1964年の東京モーターショーで初披露され、その3年後の1967年に市場デビューを果たし、世界中に大きな衝撃を与えた。

コスモスポーツは、最高出力110ps/最大トルク13.3kgmを発揮する10A型(491cc×2ローター)ロータリーエンジンを搭載した2シーターのスポーツカー。最高速度185km/h、ゼロヨン(0-400m)加速が16.3秒という圧倒的な動力性能を誇った。

その後、マツダはロータリー車のフルラインナップ攻勢をかけた。「ファミリアロータリークーペ」を大衆車市場、「ルーチェロータリークーペ」を高級車市場、「サバンナ」をスポーツ市場、「コスモAP」をラグジュアリー市場、「サバンナRX-7」をコンパクトクーペ市場、「ユーノスコスモ」を高級クーペ市場へと、次々と個性的なロータリーモデルを投入した。
Zoom-Zoom第3弾として登場したRX-8
マツダは、2001年の東京モーターショーで走る歓びを追求する新しいブランドメッセージ「Zoom-Zoom」を発表。Zoom-Zoomを具現化するモデルとして、第1弾のミドルクラスセダン「アテンザ(Mazda6)」、第2弾コンパクトカーの2代目「デミオ(Mazda2)」に続く、第3弾としてRX-8が2003年5月に発売された。

市場に放たれたRX-8は、コンパクトな2ドアクーペだったRX-7に対して、ユニークな観音開きの4ドアクーペに変身。高性能スポーツカーらしいダイナミックな曲線基調の躍動感あるボリューミーなフォルムが特徴だった。

心臓部のロータリーエンジンは、RX-7に搭載された2ローター(13B型)をコンパクトにした高出力・低燃費のRENESISへと進化。排気ポートと吸気ポートの両方をサイドハウジングに配置した構造で、ロータリーらしい優れたレスポンスとスムーズな加速が実現された。

3つのグレードが用意され、標準グレードとタイプEが最高出力210ps/最大トルク22.6kgmを発揮するエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ、高性能グレードのタイプSが250ps/22.0kgmを発揮するエンジンと6速MTの組み合わせ。車両価格は、標準グレードが240万円、タイプEとタイプSが275万円に設定された。
受注は3ヶ月で5000台を超えて好調に滑り出した。その後、販売台数は徐々に低下したものの唯一のロータリー車として多くのファンを魅了した。
RX-8ロータリー40周年記念車を200台限定販売
RX-8ロータリー40周年記念車は、「RX-8 TypeS(6速MT車)」および「RX-8 TypeE(6速AT車)」をベースに仕立てられた。

エクステリアは、専用色となるマーブルホワイトが用意され、ヘッドランプとリアコンビランプはセミグロスメッキで縁取りされ、ダークシルバー高輝度塗装18インチアルミホイール、40周年記念オーナメント、フロントフォグランプ(ブルーリフレクタータイプ)が特別装備された。

インテリアについては、コスモスポーツを連想させる専用本革ブラック&センター材アルカンターラシート、さらにステアリングホイールやパーキングブレーキレバー、シフトノブなども専用の黒革仕様、さらにアドバンスキーレスエントリー&エンジンスタートシステムなどを装備。マツダのロータリーエンジン車発売40周年を記念するに相応しい内外装としている。
また、足まわりにはRX-8初となるビルシュタイン社製ダンパーを採用。内外装だけでなく、走りと快適性を高次元で両立させた。
車両価格は、315.0万円(6速AT、6速MT共通)で、200台限定で販売された。
・・・・・・・・
RX-8は、2012年6月に生産を終え、ロータリーエンジン車は市場から消えた。マツダは、2023年11月にロータリーエンジンを発電機として使うコンパクトSUV「MX-30 Rotary-EV」の市場投入でロータリー復活を果たしたが、ロータリーエンジンを駆動力としては使わないので、純粋なロータリーエンジン車としては、RX-8が今のところ最後である。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。






