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今日は何の日?■欧州向け2代目スイフトスポーツをパリモーターショー2006に出展
2006(平成18)年8月11日、スズキは同年9月28日~10月15日に開催される“パリモーターショー2006“で欧州向け2代目「スイフトスポーツ」を出展することを発表した。エンジンやプラットフォームを一新して生まれ変わった2代目は、日本では前年2005年10月に発売され、人気を獲得していた。

安さが売りの初代スイフト誕生
初代スイフトは、2000年2月に「カルタス」の後継車として誕生した。カルタスは、GMとの共同開発で1983年に誕生した小型乗用車の世界戦略車。スズキにとっては少量生産だった「フロンテ800」を除き、実質初めてのコンパクトカーだった。

スイフトは軽自動車「Kei」のプラットフォームを流用し、ホイールベースは同じでトレッドを広げた5ドアハッチバックのコンパクトカーに仕上げられ、パワートレインは最高出力88ps/最大トルク11.6kgmを発揮する1.3L直4 VVT付DOHCエンジンと3速および4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された。
初代スイフトは、Keiの部品を流用した低価格が売りだったが、逆に軽自動車のイメージから脱却できず、さらに1999年にデビューしたトヨタ「ヴィッツ」や2001年のホンダ「フィット」の大ヒットもあり、現在のようなスイフトの存在感をアピールすることはできなかった。
初代スイフトのスポーツモデルとしてスイフトスポーツ誕生
そして、初代スイフトをベースに2003年6月にデビューしたのが、スイフトスポーツだ。

スイフトより全幅を50mm拡大、全高を15mm下げて、専用エアロパーツを装備したスポーティな3ドアハッチバックスタイルに変更。その他にも、専用サスペンションと4輪ディスクブレーキ、専用レカロシートなどが標準装備された。
パワートレインは、ハイチューニングされた115ps/14.6kgmを発揮する1.5L直4 DOHCエンジンとクロスレシオ5速MTの組み合わせで俊敏な走りが実現。初代スイフトスポーツは、ジュニア世界ラリー選手権(JWRC)で大活躍し、欧州では“イエローブリッド(黄色い弾丸)”と呼ばれて多くの走り屋から人気を獲得した。
基本設計を刷新して人気コンパクトカーとなった2代目スイフト
2004年11月、スイフトは初めてのモデルチェンジを実施。2代目スイフト(ZC11S系)は、初代で不評だった軽ベースのプラットフォームを、専用設計のプラットフォームに刷新された。

スタイリングは、ワイドトレッドを強調した全体的に丸みのある洗練された欧州車のトレンドを取り入れたフォルムに変貌。さらに、軽量かつ高い剛性のボディによってスポーティで力強い走りを実現した。
パワートレインは、先代と同じ1.3Lエンジンに110ps/14.6kgmの1.5L直4 DOHCを加えた2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、先代に続いてFFベースでフルタイム4WDも用意された。
軽ベースの初代の不評を跳ね返すように、リーズナブルな価格でスタイリッシュなデザインの使いやすいコンパクトハッチバックという、今も続くスイフトの魅力はこの2代目スイフトから始まったのだ。
人気ホットハッチとなった2代目スイフトスポーツ
2代目スイフトをベースに、2005年9月に2代目スイフトポーツの4AT車、同年10月に5速MT車が国内デビューした。

専用のエアロパーツやテールランプユニット、大型フロントバンパーが装備され、新たに電子制御のドライブバイワイヤも採用。その他にも、ボディの軽量化を進めながら剛性も上げ、サスペンション、ブレーキにも専用部品が盛り込まれた。
エンジンは、排気量を1.6Lに拡大した1.6L直4 DOHCを搭載、さらに高圧縮比や鍛造ピストンなどのチューンナップを施すことで最高出力125ps/最大トルク15.1kgmを発揮。2代目スイフトスポーツも、5速MT車が156.45万円、4速AT車が161.7万円というリーズナブルな価格とブラッシュアップされた走りと軽快なハンドリングで人気を獲得した。

そして、欧州では国内販売より約1年遅れで2006年9月のパリモーターショー2006で展示され、欧州向けの販売が始まった。ハンガリーのマジャールスズキ社でスイフトの3ドアをベースにして、同工場にて生産、欧州各国に出荷され、欧州でも高い人気を獲得したのだ。
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スイフトスポーツは、2025年2月に5代目が生産終了となった。次期型については、1.4L直4ターボと48Vマイルドハイブリッドの組み合わせで、2026年デビューとの情報がある。すでに欧州ではこの仕様のスイフトスポーツ・ハイブリッドが投入されているので、次期車としてはこれが本命なのだろう。
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