日産は2024年9月、トヨタのランドクルーザーを標的としたフラッグシップ・クロスオーバーSUV、新型パトロールを中東で発表。日本導入の可能性がいよいよ高まっている。

日産 パトロール新型

初代パトロールは1951年に登場し、日本では1980年から2007年までサファリの名称で販売された。現行6代目Y62型は2010年発売で、主にUAEなど中東やアフリカ市場向けに販売されている。

日産 パトロール新型

そして近年の国内SUV人気の高まりを背景に、ついに日本市場への再参入が現実味を帯びてきた。日産は高級ミニバン市場でアルファードに対抗する次期型エルグランドを投入予定だが、ランドクルーザーに匹敵するフラッグシップSUVもまた必要としている。加えて、経営再建には収益性の高いモデルが不可欠だ。

新型パトロールのデザインは、フラッグシップにふさわしいアグレッシブな仕上がり。フロントには上下二段構成のコの字型LEDデイタイムランニングライトと、グリル内に配置されたトリプルLEDライトバーを採用。ヘッドライトにはアダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB)技術も採用され、安全性が高められている。

側面は複雑なキャラクターラインを排し、滑らかで力強い造形に。張り出したフェンダーアーチが存在感を強調する。足まわりには最大22インチのホイールを用意。リヤにはフロントとの共通性を持たせたデザインのLEDテールランプを採用し、左右をストリップバーで連結。バンパーも個性的かつ迫力ある造形だ。

ボディサイズは全長5350mm×全幅2030mm×全高1990mm、ホイールベース3075mm。ランドクルーザー300(全長4950mm×全幅1980mm×全高1925mm、ホイールベース2850mm)を大きく上回り、レクサスLXすら凌ぐ国産最大クラスとなる。

キャビン内はシンプルにして豪華で、最新鋭のテクノロジーが満載。14.3インチの大型フルデジタルインストルメントクラスターと同サイズのインフォテイメントディスプレイ、最新の『NissanConnect 2.0』が中央に配置されて存在感を示している。インフォテイメントシステムには『Googleビルトイン』を内蔵することでスマートフォンなしでもGoogleマップやGoogleアシスタント、Google Playストアからアプリダウンロードなどが可能となっている。

また、後席には、12.8インチのデュアルリヤシートエンターテイメントシステムをオプションで用意するほか、パノラミックサンルーフ、12スピーカーを装備する『Klipsch プレミアムオーディオシステム』、8wayパワー調整機能付きマッサージシート、乗員の体温を赤外線センサーでスキャンし、空調を最適化する『バイオメトリッククーリングテクノロジー』など豪華装備満載だ。

パワートレインは日産史上最強の3.5L V6ツインターボを搭載。これにはGT-Rの技術が導入されており、最高出力425ps、最大トルク700Nmを発揮する。また、3.8L自然吸気V6も設定される。

日本発売は2025年末が最有力とされているという。気になる価格は、UAEではランドクルーザー300を大きく上回る975万〜1310万円に設定されており、日本でも同水準の価格になるものと予想される。

非常に魅力的だが、高額SUVゆえ市場性は未知数だ。しかし、日本導入が期待されている電気セダンのN7と並び、パトロール/サファリの導入も、日産反撃の狼煙となる可能性を秘めていると言っていいだろう。