研究開発の背景
CNFは大気中のCO₂を吸収・固定し、軽量かつ高剛性という特性を備えることから地球環境に優しい素材として注目されており、脱炭素社会のキー・マテリアルと位置づけられている。一方で、製造コストの高さや耐衝撃特性、部品製造時の成形加工性における課題があり、自動車部品を含めた構造部材への実用化が遅れている。
研究開発の概要と革新性
本プロジェクトでは、自動車部品メーカーであるトヨタ紡織がリーダーとなり、CNFの原料であるパルプに対する製造技術を有する日本製紙、CNFの樹脂複合化における学術的知見を有する京都大学、樹脂複合材の成形プロセス開発を得意とする京都市産業技術研究所が連携することにより、課題解決のための技術開発が推進される。
本プロジェクトの革新性
- 自動車部品メーカーが、ユーザー視点で社会実装を見据え研究開発全体をリード
- 世界トップクラスの技術の融合
・京都大学の「セルロースナノファイバー強化樹脂材料製造技術(京都プロセス)」
・トヨタ紡織の「ナノレベル耐衝撃特性向上技術」 - 材料開発から、材料に適した工法の開発、部品としての実証検証まで行う一気通貫型の技術開発
また、今回構築される基盤技術は、自動車分野だけでなく、家電、建築資材、産業機械など多様な分野への応用が期待される素材の技術革新ともされる。今後、有識者を交えた研究推進委員会が設置され、戦略的に研究開発を推進することにより、早期社会実装、次期大型国家プロジェクトへの発展が目指される。
