レース前最後の調整を行なった!

初開催から30周年となるAXCRは、FIA・FIM公認国際クロスカントリーラリー。タイ王国を中心に東南アジア各国で開催されており、過去にはマレーシア、シンガポール共和国、中華人民共和国(雲南省)、ラオス人民民主共和国、ベトナム社会主義共和国、カンボジア王国、ミャンマー連邦共和国など8カ国を走破してきている。毎年コース設定が異なり通過国も変わるのだが、今大会は当初タイから隣国カンボジアへの越境が予定されていたがこの両国の関係悪化のためタイのみでの開催となる。

伝説のライダーといわれている「青木3兄弟」の次男・青木拓磨は、1990年に国内ロードレース・デビューを果たし、1995-1996年の全日本ロードレース選手権スーパーバイク・クラスのタイトル連覇後、1997年に2輪ロードレース世界選手権(WGP GP500クラス)にフルエントリー。非力なマシンでの参戦ながらシリーズランキング5位を獲得。そして翌1998年シーズンにライバルと同じ戦闘力のあるマシンを手にすることが決まったものの、その開幕前に行われたテスト中の事故で下半身不随となってしまう。事故後はその活動フィールドを4輪のレース界に移し、車いすドライバーとして活躍。AXCRはもちろん、ダカールラリーやル・マン24時間レースにも出場経験を持っている。

AXCRにはTakuma-GPという自身のチームで2007年から参戦。TOYOTA Gazoo Racing INDONESIA(TGRインドネシア)チームに合流し、3台体制となった2023年に総合優勝。今年青木拓磨はTGRインドネシアチームから離れ、またTakuma-GPとして1台体制で参戦。搭乗するコ・ドライバーにはイティポン・シマラック選手とソンウット・ダンピパットラコーン選手の2名で、その顔触れは変わらない。
横浜ゴムのアジア拠点2カ所へ表敬訪問


AXCR挑戦開始から横浜ゴムの「ジオランダー」を使用してきた青木拓磨は、準備のため、8月5日、タイに入り、その足で横浜ゴムのアジア拠点2カ所へ表敬訪問した。
今回表敬訪問を行ったYMTC(ヨコハマ・モールド・タイランド・カンパニー)は、AXCR2025のスタート地点であるパタヤからクルマで1時間ほどのところにあるヨコハマタイヤの金型製造を行っている会社。ここで工場内の見学を行い、最後に多くの社員とともに記念撮影を行ってジオランダータイヤでの優勝を約束した。さらにTTCA(タイヤ・テストセンターオブアジア)へ赴いた。こちらは2009年開設となるタイヤプルービンググラウンドで、おむすび型の全長4100mにもおよぶ高速周回路をはじめとするさまざまな試験路、そして研修施設であるタイヤサービストレーニングセンターも備えている。


このTTCAでは、AXCR参戦車両であるトヨタ・フォーチュナーでの最後の調整を行った。青木拓磨はこれまでにチェンマイでのテスト走行で走り込みを行ってきたが、今回はその問題点をクリアしたことを確認し、最後のセットアップに勤しんだ。
アジアクロスカントリーラリー2025は、2025年8月8日(金)~16日(土)にタイ国内のみで開催となる。タイ有数の観光地であるパタヤをスタートし、総走行距離3300kmを走破し、16日にパタヤに戻ってゴールとなる予定だ。