No.87 散水車 (マンホール開閉/タンク開閉/散水展開/サスペンション可動・希望小売価格594円・税込)
No.87 散水車 リヤビュー

2025年8月の第3土曜日に、それまでの『No.87 トヨタ GR スープラ 富士スピードウェイ セーフティーカー』に替わって『トミカ』に加わったのが『No.87 散水車』です。

極東開発工業 自動吸水式 新型スーパー散水車 実車サイドビュー(『トミカ』のモデル車両と同一ではありません)(Photo:極東開発工業)
極東開発工業 自動吸水式 新型スーパー散水車 実車リヤビュー(『トミカ』のモデル車両と同一ではありません)(Photo:極東開発工業)

散水車は道路や工事現場などに水をまくための専用車両で、街の環境を整えるうえで重要な役割を担っています。私たちの生活の中ではあまり目立ちませんが、実は道路のほこりを抑えたり、清掃を助けたり、夏の暑さ対策に使われたりと、多くの場面で活躍しています。特に都市部や大規模な工事現場では、空気中の粉じんを減らし、安全で快適な環境を保つために欠かせない存在です。

散水車は車体の前方、後方、あるいは側面に取り付けられたノズルから、タンクに貯められた水をまく。(Photo:極東開発工業)
『No.87 散水車』では、水を撒く様子を左右可動式の3枚の扇形クリアーパーツで表現している。
クリアーパーツは、変形ロボット玩具のようにタンク内に収納される。『トミカ』屈指の巧みな仕掛けだ。

散水車は一般にはトラックの車体に大きな水タンクを積み、車体の前方、後方、あるいは側面に取り付けられたノズルから水をまく構造になっています。ノズルの向きや水量は調整できるため、狭い場所から広い道路にいたるまで、あるいは特定の方向に集中して水をまきたい時など、様々なニーズに対応できます。また、タンクの大きさも用途によって異なり、小型車では街中の狭い道に対応できるようコンパクトに、大型車では長時間の作業にも対応できるよう大量の水を積むことが可能です。

散水の方式には主に2つあり、一つは“重力式”、もう一つは“加圧式”になります。重力式は水タンクの高さと水の重さを利用して水を自然に流す方法で、構造がシンプルなためコストや故障リスクを抑えることができます。加圧式はポンプを使って水に圧力をかけ、勢いよく広範囲に散水する方法で、粉じんの発生が激しい現場やアスファルトの汚れを落としたい場面などに適しています。特に建設現場では、重機の動きで舞い上がる砂ぼこりをおさえるために強い水流を必要とすることが多く、加圧式が重宝されます。

極東開発工業 高速道路仕様 散水車(スノープラウ付き)。スノープラウを装備し、凍結防止液の散布と同時に除雪作業が行なえる。(Photo:極東開発工業)
極東開発工業 高速道路仕様 散水車。車速に関わらず単位面積当りの散布量が一定になるように水ポンプ回転を制御する車速同調装置が装備されている。(Photo:極東開発工業)

近年では、限りある水資源を有効に使うため、再生水や雨水を利用する散水車が注目されています。たとえば、下水処理場でろ過された再生水をタンクに補給し、道路清掃や防塵に使うことで、飲み水としては使えない水が有効活用できます。これにより、水道水の使用量を減らし、環境負荷を軽減することが可能になります。加えて、EV(電気自動車)タイプの散水車も登場しており、排気ガスが出ない、音が静かといった特長から、早朝や夜間の作業にも適していると評価されています。

災害被災地での粉塵対策に出動した散水車。作業環境を整えるだけでなく、市民生活を守るためにも散水車は活躍する。(Photo:国土交通省中国地方整備局)
鉱山や採石場などではCAT 777(07)のような超大型の散水車が活躍している。(Photo:CAT)

運用面では、地方自治体が所有して日常的に運行するケースも多く、定期的な道路清掃や夏場のヒートアイランド対策など、市民の暮らしを支える重要なインフラの一部となっています。また、建設会社や道路工事業者などが現場ごとに所有あるいはレンタルする場合もあり、作業環境を整えるための必需品として位置付けられています。さらに、イベント会場での一時的なほこり対策や、未舗装の仮設道路の維持、さらには農業用途における畑の湿潤化など、使い道は年々広がりを見せています。

このように、散水車は“見えないところで働く縁の下の力持ち”として、私たちの生活や都市の機能を支えています。道が清潔に保たれ、空気がきれいで、安全な環境が整っているのは、こうした車両が日々地道に働いているからこそ実現しているのです。今後はさらに環境への配慮が進み、より多機能で省エネな散水車の開発・導入が期待されています。

さて、『トミカ』のNo.87 散水車』は、実際の散水車の特徴を絶妙にとらえており、マンホールの開閉、開閉するタンク部分に収納された透明パーツの展開による散水状態表現などの仕掛けで、散水車の様々な使用状況をも再現しています。この散水状態の表現は、『トミカ』屈指の傑作アイデアだと言っても良いでしょう。

実はこの『No.87 散水車』のモデル車両はどこの自動車メーカーの車両でもなく、『トミカプレミアム』シリーズの『tomicaトランスポーター』に使用されている『トミカ』のオリジナル・デザイン。(PHOTO:MotorFan)*画像の車両は編集部で一部加工したものです。
『トミカプレミアム』シリーズの『tomicaトランスポーター』(現行9種類 / 各2640円・税込)*画像は『tomicaトランスポーター ホンダNSX Type R』 (PHOTO:MotorFan)

さて、実際の散水車の車体には様々なメーカーのトラックが使用されていますが、『No.87 散水車』のモデル車両はと言うと、実は『トミカ』のオリジナル・デザインで、どこのトラックにも似ているようで、どこのトラックでもありません。強いてモデル車両と言うと、『トミカ』のお兄さんとも言える『トミカプレミアム』シリーズの『tomicaトランスポーター』(各2640円・税込)にラインアップされているオリジナル・デザインのトランスポーター・トラックです。とは言え、先にも触れたように、散水状態の再現など、『No.87 散水車』は散水車の魅力そのものに焦点を当てた1台になっています。ぜひ、あなたのコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

■極東開発 自動給水散水車 スーパー散水車 4t車級PTO式 主要諸元(参考値であり、『トミカ』のモデル車両ではありません)

架装シャシー:各社4t車級

全長×全幅×全高(mm):約5450~約5720×約2070~約2200×約2230~約2490

最大積載量(kg):3800~4000

車両総重量(kg):約7475~約7995

タンク形状:楕円

タンク長さ×長径×短径(mm):3148×1800×930

タンク内容積(L):407

マンホール:全ハッチ式マンホールカバー付き(後方1個)

注入口口径(mm):φ440

液面計:タンク前方左2個

タンクラダー:タンク後部1個

ポンプ形状:自吸式渦巻型

吸込揚程(m):6

ポンプ最大吐出量(L/min):1200

ポンプ最大吐出圧力(kPa[kgf/cm2]):490[5.0]

ポンプ動力:PTO 駆動

前方洗浄散水:1B前方左右クローズタイプ

後方重力散水:1.5B後方左右

散水弁(前/後):電気開閉弁式(1個左右同時)/キャブ内スイッチ

ガバナコントロール:ボリューム式キャブ外操作

給水ホース格納:フックタイプ(丸棒U型)

給水ホース:塩ビ製先端ストレーナ付2B×8m×1本

呼水室(又はタンク):呼水室有り(ポリタンク10Lキャブ内積込)

■毎月第3土曜日はトミカの日!

No.109 ホンダ ヴェゼル(サスペンション可動・希望小売価格594円・税込)

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2025年8月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.87 トヨタ GR スープラ 富士スピードウェイ セーフティーカー』に代わって『No.87 散水車』が登場します。また、それまでの『No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス』に代わって『No.109 ホンダ ヴェゼル』が登場します。なお、『No.109 ホンダ ヴェゼル』には初回のみの特別仕様(特別色)もあります。

No.109 ホンダ ヴェゼル(初回特別仕様)(サスペンション可動・希望小売価格594円・税込)*初回のみの特別仕様(特別色)です。