名車スバル360の後継車「スバルR-2」、てんとう虫からベーシックな2BOXスタイルに変身、31.3万円で69年発売【今日は何の日？8月15日】
TEXT：竹村 純（Jun TAKEMURA）／PHOTO：三栄・歴代SUBARUのすべて、360cc軽自動車のすべて、60年代国産車のすべて、歴代軽自動車のすべて
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今日は何の日？■名車スバル360の後継車は2BOXススタイルに変貌
1969（昭和44）年8月15日、名車「スバル360」の後継として「スバルR-2」がデビューした。てんとう虫と呼ばれた独特なスタイリングで爆発的な人気を獲得したスバル360だが、その後継車スバルR-2はオーソドックスな2BOXスタイルに変貌した。
爆発的なスバル360人気に陰り
スバル360がデビューしたのは、今（2025年）から67年も前の1958年のこと。スバルの前身である富士重工業は、中島飛行機製作所がその起源であり、スバル360は国民車構想に応える形で航空機技術者の手で作り上げられた。
大胆な設計思想で軽自動車としては初めて4人乗車を実現し、搭載エンジンは空冷2気筒356ccで最高出力16ps、最高速度83km/hを発揮。モノコックボディでRR（リアエンジン・リアドライブ）方式を採用、車重は385kgまで軽量化するなど、随所に航空機づくりで培った高い技術が盛り込まれていた。
また実用性の高さに加えて、その愛らしいスタイルから「てんとう虫」の愛称で呼ばれて大ヒットし、12年間で累計39万台という大記録を打ち立てた。
当然、他社からもスバル360の後を追って多くのライバルが登場したが、なかでも1967年に登場したホンダ初の軽乗用車「N360」がデビューすると状況は一変することになった。
N360は、FFレイアウトによる広い室内空間、最高出力31ps/最大トルク3.7kgmを発揮する356cc 2気筒空冷4ストロークエンジンによる卓越した動力性能、そして31.3万円という低価格を実現。最高速度は115km/h、0→400m加速は22秒と、1.0L搭載車に負けないずば抜けた走りを発揮した。
N360は、それまで10年間独走していたスバル360からトップの座を奪い取り、スバル360とともに歴史に名を刻む軽自動車となった。
てんとう虫から2BOXスタイルに変貌したスバルR-2
スバル360のデビューから11年の時を経て人気が下降、その挽回のために1969年8月のこの日に登場したのがスバルR-2だ。
軽量モノコックボディやRR（リアエンジン・リアドライブ）、足回りなど、基本技術はスバル360を踏襲。外観はてんとう虫の雰囲気から脱却してベーシックな2BOXスタイルへ変貌し、ホイールベースを120mm延長して室内空間が大きく改善されたのが特徴である。
エンジンは、新開発の最高出力30psを発揮するアルミシリンダーの360cc直2空冷2ストロークエンジンを搭載。トランスミッションは、4速MTとオートクラッチと呼ばれた2ペダルMTが用意された。
スバル360よりも性能と乗り心地を向上させたスバルR-2は、販売価格をN360とまったく同じ31.3万円に設定。当時の大卒の初任給が3.4万円（現在は約23万円）程度だったので、単純計算では現在の価値で約200万に相当する。発売2週間で2.6万台の受注で好調に滑り出した。
スポーティなモデルR-2SSを追加
スバルは、R-2人気を加速するために翌1970年4月に、R-2のスポーツバージョン「スバルR-2SS」を“ハード・ミニ”のキャッチコピーととともに追加した。
エクステリアには、砲弾型フェンダーミラーやノーズフィン、フォグランプ、フロントウインドウの部分強化ガラスを採用。インテリアについてはブラックカラーの丸型3連メーターやバケットタイプシートなどが装備された。
エンジンは、R-2用エンジンをベースにチューンナップされた。シリンダーは、ハードクロームメッキのアルミ合金、ガスシール性に優れた特殊なピストンリングを使い、キャブレターにはソレックスのツインバレル、圧縮比は7.5に高められた。得られたパワーは最高出力36ps/最大トルク3.8kgmに達し、トランスミッションは専用ギア比の4速MTが組み合わされた。
これにより、最高速度120km/h、ゼロヨン（0→400m）加速は19.9秒を記録し、軽快なハンドリングなども評価され走り好きから歓迎された。
ただし、ライバル車の低価格かつ高出力化の勢いも強く、スバルR-2の人気は頭打ちになってしまった。結局、1972年にわずか3年で生産を終え、1972年8月に登場したロングセラーの「レックス」までのショートリリーフ的な存在となってしまった。
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1970年代は軽の黄金時代だった。軽初のスペシャリティカーの「ホンダZ（1970年～）、本格的なクーペスタイルの三菱「スキッパー（1971年～）、軽初のハードトップ、ダイハツ「フェローMAXハードトップ（1971年～）」と、個性的なモデルが登場。技術的に優れたスバルR-2だが、見た目がやや地味に映ったかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
