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今日は何の日?

■ホンダがハイブリッド+MRでスーパーGT500に参戦

2013(平成25)年8月16日、ホンダは2014年シーズンのスーパーGT選手権GT500クラスに導入された新規定に対応した新型マシン「NSX CONCEPT-GT」を鈴鹿サーキットで初公開した。マシンは、レース専用に開発された2.0L直列4気筒直噴IC(インタークーラー)ターボエンジンのMRハイブリッドである。

ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
2013年に公開された「NSX CONCEPT-GT」
ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
ホンダ「NSX CONCEPT-GT」

スーパーGT500とそのレギュレーション

国内のモータースポーツの双璧が、フォーミュラカーの頂点に立つ「スーパーフォーミュラ」と、市販車ベースのGTカーの頂点に立つ「スーパーGT」である。いずれもFIAの国際格式レースを意識しながら、名称とレギュレーションを変更しながら成長してきた。

ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
「NSX CONCEPT-GT」のリヤビュー

スーパーGTは、全日本GT選手権(JGTC)の国際シリーズ化にともない誕生したカテゴリー。レースは、市販車をベースとしながらも大幅に改造されたGT500(500ps相当)クラスとGT300(300ps相当)クラスの2つのクラスのマシンが混走して競う。なかでも、ワークス勢が挑むGT500クラスのレースマシンは、その改造自由度の高さから市販車とは別物で、“世界で最も速いGTカー”と言われている。

ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
「NSX CONCEPT-GT」のサイドビュー

2014年のスーパーGT500クラスのレギュレーションは、ドイツツーリングカー選手権(DTM)と車両規定が統一化され、共通モノコックの採用やプロペラシャフトの共通化、全車左ハンドル化などが規定された。ただし搭載エンジンは、DTMが自然吸気 4.0L V8であるのに対し、スーパーGTはこれまで通りスーパーフォーミュラと基本設計が共通の2.0L 直4 直噴ICターボエンジンである。

ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
2013年に公開された「NSX CONCEPT-GT」

なお、これまではエアリストリクターによる出力制限が行なわれていたが、2014年からGT500クラスはスーパーフォーミュラ同様の燃料リストリクターによる出力制限に移行。ウエイトハンデが50kgを超えた場合には50kg相当分を燃料リストリクター径で調整を行なうことが決められていた。

NSX CONCEPT-GTの特徴

NSX CONCEPT-GTは、2012年1月に米国ミシガン州デトロイトで開催された北米国際自動車ショーにおいて初披露した、次世代スーパースポーツモデル「NSXコンセプト」をベースとしたレース専用車両だ。NSXは2代目NSXであり、北米で2016年5月(日本は2017年2月)に発売されたV6エンジンのMRハイブリッドスーパースポーツである。

DTMをベースにしたスーパーGTの共通部品に指定されたカーボンモノコックボディはFRを前提としていたが、ホンダは市販NSXと同じMRの駆動方式にこだわり、ルール統括団体および競合メーカーの同意を得て、共通部品の変更を最小限に留め、かつ性能調整を課すことを条件にMRでの参戦の承認を得ることに成功した。

2014年スーパーGT選手権Rd.5 富士スピードウェイ
2014年スーパーGT選手権Rd.5 富士スピードウェイ

さらに、ハイブリッドシステムについても、市販NSXがハイブリッドシステムを搭載していることから、GT500車両も同じであることを重視。この件についてもMR化と同様、ルール統括団体および競合メーカーの同意を得て搭載が認められた。

このようにして、ライバルのトヨタ「レクサスRC F」ベースと日産「R35型GT-R」ベースのスーパーGT500マシンとは一味異なるNSX CONCEPT-GTが出来上がったのだ。

NSX CONCEPT-GTの構成

規定されたエンジンは、最高出力400kW(550ps)以上を発生する2.0L直4 IC直噴ターボで、MRレイアウトされた。一方、規定車両ではハイブリッドシステムを搭載するようには設計されていなかったので、新たにモーターやバッテリー、インバーター、バッテリー、そしてインバーターとモーターを冷却する2系統の水冷システムをレイアウトする必要があった。

2014年スーパーGT選手権Rd.5 富士スピードウェイ
2014年スーパーGT選手権Rd.5 富士スピードウェイ

ハイブリッドシステムは、2012年からGT300クラスに参戦していた「CR-Z GT」のハイブリッドシステムをNSX CONCEPT-GT用に改良。モーター出力は、50kWから60kWに増強され、そのモーターをギヤボックスの左側面に搭載。インバーターは、モノコック背後のエンジンルームに搭載し、インバーターとモーター兼用のラジエターの近くに配置された。

ホンダ「NSX CONCEPT-GT」
サーキットで激走する「NSX CONCEPT-GT」

モーターの最大アシスト出力は21kWに制限され(回生側は制限なし)、1周あたりのアシストエネルギー総量は880kJに規定され、さらにアシストできるのはエンジン回転数が7500rpm以上で、スロットル全開時のみという条件に設定された。

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特例で認められたハイブリッド+MRのNSX CONCEPT-GT だったが、成績は振るわなかった。FRレイアウト前提のシャシーに、なかば強引にハイブリッドシステムの重量が加算されて戦うことは大きなハンディであり、熱害にも苦しみ、しかもハイブリッドの使用には高速域のみという制限があった。結局2016年からはハイブリッド搭載を止め、さらに2020年には新規定に対応してMRも廃止した。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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