連載
今日は何の日?■BRZコンプリートカーのスバルBRZ tS
2013(平成25)年8月19日、スバルはモータースポーツ統括会社STIが2012年にデビューした「スバルBRZ」に独自のスポーティな仕様装備を施した「スバルBRZ tS」を発売した。BRZ tSは、主にサスペンション、ブレーキ、およびシャシーをチューンナップして走りに磨きをかけたコンプリートカーである。

水平対向エンジンを搭載したFRスポーツ、BRZ誕生
スバルは、2005年にトヨタと資本提携を結び、その中の目玉企画としてFRのライトウェイトスポーツをトヨタとスバルが共同開発し、両社で市場展開することが取り決められた。目指したスポーツモデルは、スバルのコア技術である水平対向エンジンを搭載した新しいプラットフォームをベースに、コンセプトは“新しい次元の運転する愉しさ”で、企画をトヨタ、開発と生産をスバルが担当する共同開発によって進められた。

そして2012年3月に、スバルBRZは発売。兄弟車のトヨタ86は、翌月4月から発売が始まった。BRZのネーミングは、ボクサー(水平対向)エンジンの“B”、リアホイールドライブ(FR)の“R”、ゼニス(究極)の“Z”の組み合わせだ。

スポーツカーらしい典型的なロングノーズの流線型フォルムに、搭載エンジンはスバル自慢の2.0L DOHC水平対向エンジン。これに、トヨタのガソリン直噴“D-4S”システムを組み合わせ、NAながら200psを発生、トランスミッションは6速のMTとATが用意された。

低重心で軽量コンパクトな水平対向エンジンの特徴を生かし、さらにFR駆動によって高性能で俊敏な走りを実現したBRZは、当時の日本車には珍しい本格的なライトウェイトスポーツカーとして多くの走り好きから大歓迎された。その完成度の高さの割には、標準グレードRが247.8万円(6速MT)/254.625万円(6速AT)とリーズナブルな価格だったこともあり、当初の受注台数は3500台を超え、トヨタ86とともに冷え込んでいるスポーツカー市場で大健闘した。
1年半後にSTIチューンナップしたBRZ tS登場
STIが手掛けたBRZ tSは、2013年8月のこの日にデビューした。BRZ tSは、スバル伝統の低重心の水平対向2.0LエンジンとFRレイアウトを組み合わせたピュアスポーツであるBRZをベースに、モータースポーツの中で培ったSTIのノウハウによって、走りに磨きをかけたコンプリートカーである。

パワートレインはベース仕様のままで、サスペンション、ブレーキ、およびシャシーにSTI独自の仕様装備が施された。具体的なチューニングとしては、ドライブシャフトの大径化や、様々なSTI独自のフレキシブルパーツが採用された。小気味よいハンドリングを実現するとともに、ブレンボ製ベンチレーテッドディスクブレーキ、18インチアルミホイール、STI製フロントアンダースポイラーの採用によって、走りにさらなる磨きがかかった。

エクステリアには、STI、tSオーナメントや専用となるフェンダーガーニッシュ、インテリアにもSTIロゴ入りスポーツメーターを採用するなど、走りへの期待感や所有する喜びを感じることができる特別な仕様が施された。
また、専用チューニングのVDC(横滑り防止装置)、サウンドクリエータ専用のフィルターチューニングによるエンジン吸気音の質感向上なども行なわれ、感性領域に訴える味付けも忘れていなかった。
車両価格は、366.45万円(6速MT)/374.325万円(6速AT)で、ベースよりも約120万円高額で限定500台で販売された。
















さらに走りを追求したBRZ tS GTパッケージも追加
さらなるスポーツ走行を楽しむユーザーのために、BRZ tSと同時に250台の限定生産で販売されたのが、BRZ tSの上位にあたる「BRZ tS GTパッケージ」だ。同じくSTI手がけた特別仕様車だが、一部の装備がハイスペックとなっている。

tSとの大きな違いは、リアスポイラーがドライカーボン製であること、ブラックで塗装された18インチ専用アルミホイールを採用していること、そしてレカロ製バケットタイプフロントシート(前席)を採用している3点である。

車両価格は、429.45万円(6速MT)/437.325万円(6速AT)で、tSよりもさらに63万円高額に設定。限定生産台数250台ということもあって、かなりの高額だが人気モデルとなった。
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STIが手掛ける限定車は、モータースポーツで実績のあるSTIだからこそ、スバルの魅力をより高めるというブランドイメージが出来上がっている。多少高額でも、限定車という特別感と相まってスバリストにとってはたまらない魅力的なモデルなのだ。
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