コンパクトボディにレースエンジンを積んだ究極ホットハッチ

コンプリートカー製作への布石として投入されたフィットダイナマイト

この只者ではないオーラを漂わせる真紅のGD型フィットは、無限が東京オートサロン2004で発表したコンセプトカーだ。その名も“フィットダイナマイト”。ブリスターフェンダーを軸とした攻撃的なエクステリアもさることながら、パワートレインがとにかく凄まじいのだ。

心臓部には、なんとアメリカのSCCAというレースで使われていたアキュラRSX(インテグラタイプR)用のK20Aをデチューンして搭載! これは、NAのままで実測260psを発生させる高回転型ユニットだ。なお、搭載にあたってはサイドフレームとバルクヘッドを大加工、サブフレームはDC5用を溶接して使用している。

エンジンルームには専用のプレートまで装備。「実験車」を意味する、エクスペリメンタルモデルの文字が確認できる。

ミッションも同じくアキュラRSXの6速MTを移植している。自然なドライビングポジションを目指した結果、かなりの大加工を伴ったというが、その仕上がりは本当に違和感が一切ない。さすがメーカーワークスの仕事だ。

ブレーキもDC5純正のブレンボキャリパー&ローターを移植。サスペンションはフィットダイナマイトのためだけに専用開発したオリジナルの車高調を装備している。フェンダーはブリスター化して全幅をDC5と同じ1725mmまでワイドトレッド化。ドライブシャフトはワンオフが組まれている。

コクピットは、あまりに自然すぎて気づかないがメーターパネルは作り直されている。センターパネル上に装備された、3連メーターとデザインを共通化したフィットダイナマイト専用品だ。

室内も隅々まで抜かりのない仕上がり。デザインはもちろん、このチューンドに相応しい上質な空間となるよう、使用する材質にも徹底的に拘り抜いたという。

ライトユニットはプロジェクターの4灯式に変更。これまた、言われなければ気付かないほど純正然とした仕上がりだ。ボンネットはエンジンの干渉を回避するためにバルジが設けられているが、実際には干渉せずにマウントすることができたそうな。

空力への追求もハンパではない。そのハイライトがフルフラット化されたフロアだ。ダウンフォースを稼ぐための手法だが、エキゾースト環境までディフューザーパネル内に収めているほどだ。

とんでもない魔改造っぷりだが、実はこのフィットダイナマイトには、無限ブランドの将来への夢が詰まっていたりする。

広報担当者いわく「無限ブランドとして、ゆくゆくはAMGやアルピナのような独自技術やノウハウでスペシャルモデルを仕立てる業態を目指していまして。でも、我々はレース屋のイメージが強いじゃないですか。なので、エンドユーザーに身近なクルマで面白い改造車を作って、技術をアピールしたかったんです」とのこと。

このクオリティを見れば、すぐにでも市販できるレベルな気がしてならないが、今はただ、近い将来登場するであろう無限のコンプリートマシンに期待するとしよう。

「初代フィットで230馬力!?」オーナーの意地と努力が結実したリアルチューンド!