競技4日目(Leg4)がキャンセルとなり休息日となったことから、各チームはしっかりと車両の整備を行なう時間が取れた。そして8月13日(水)、Leg5からAXCR2025は後半戦に突入した。

Leg5は、SS(スシャルステージ)手前のRS(ロードセクション)54.00km、SS199.13km、後半のRS49.82kmで総移動距離は302.95kmと移動距離自体は最短の一日。設定されたSS5は競技初日のSS1と同じルートで、各車の走行もそれなりにスムースともいえた。

だが競技初日に走行した路面の状況は大きく変わっており、ルートはわかっていても走り方をこれにアジャストしなければならなくなった。穴が埋まって走りやすくなった箇所もあったが、ワダチは4日前よりも深くなっており、概して路面状況は悪く、コマ図にある「!(コーション)」や「!!(ダブルコーション)」のポイントはもっと注意が必要になったという印象だ。

競技初日に「No. 130 CUSCO RACING」の三菱トライトンを駆る番場彬/藤田めぐみ組が長時間スタックしてしまったSS後半の水たまりのルートをどう攻略するか、に注目が集まったが、そのセクションに最初にやってきたのは、昨年の覇者「No.101 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND(Mana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組)」のトヨタ・ハイラックス。ルート通りに進みうまく抜け切るかと思いきや、ぬかるみに足を取られ、水たまりの真ん中でスタック。101号車は周辺にあったまだ細い木々をいくつも使って、ウインチで脱出を試みる。その後方からやってきた三菱のエース「No.112 MITSUBISHI RALLIART(Chayapon Yotha/Peerapong Sombutwong組)」の三菱トライトンは、101号車の脇を通ろうと、ぬかるみを避けて通過を試みるも、藪の中にあった切り株にヒット。そこから抜け出すのに多くの時間を要してしまう。このセクションを迂回していった「No.102 ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUI MOLY RACING TEAM(Suwat Limjirapinya/Prakob Chaothale組)」は、総合2番手だったのだが、ピックアップトラックのいすゞD-MAXの荷台部分が垂れ下がった状態で走行を続け、こちらも徐行を余儀なくされ、大きくタイムロス。ラダーフレームが折れたという。

この混沌としたこの日のSSをトップで通過したのが、田口勝彦/保井隆宏組の三菱トライトン「No.105 Team MITSUBISHI RALLIART(3時間14分04秒)」。前々日のLeg 3で足回りにトラブルが発生し、チームメイトの小出選手らのサポート受けながらなんとかゴールし、この日は後方からのスタートとなり厳しい追い上げを強いられたが、見事ベストタイムをマーク。今大会で初めて日本人がトップに立つこととなった。

これを追うのが「No.101 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND」のMana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組(3時間15分59秒)。さらに3番手には「No.103 ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUI MOLY RACING TEAM(Thongchai Klinkate/Banpoth Ampornmaha)」が3時間16分40秒で入っている。

「No.104 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA」 (塙郁夫/染宮弘和組)

日本人2番手は、3時間19分58秒で6位に入った「No.104 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA」 (塙郁夫/染宮弘和組)となった。競技2日目にコースアウトしさかさまになって落ちたことでルーフが変形した状態のトヨタ・フォーチュナーだが、その状態でもプッシュを続け、このタイムをたたき出した。日本勢3番手には10位(3時間35分16秒)の「No.111 CUSCO RACING」(柳澤宏至/加勢直毅組)が入っている。

「No.111 CUSCO RACING」(柳澤宏至/加勢直毅組)
田口勝彦/保井隆宏組の三菱トライトン「No.105 Team MITSUBISHI RALLIART(3時間14分04秒)

暫定での総合順位は、三菱トライトンの112号車(13時間07分35秒)、2番手にトヨタ・ハイラックスの101号車(13時間21分32秒)、3番手にいすゞD-MAXの「No.110 ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUIMOLY RACING TEAM (Ditsapong Maneein/Atikij Srimongkhol)の13時間28分02秒となっている。総合6番手に三菱ラリーアートの112号車の田口組、8番手にクスコの111号車柳澤組。12番手にトヨタ・フォーチュナーの青木拓磨組(No. 107 GEOLANDAR takuma-gp FORTUNER)が入っている。

「No.103 ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUI MOLY RACING TEAM(Thongchai Klinkate/Banpoth Ampornmaha)」

翌日の8月14日(木)は、Leg4同様国境付近のルートが設定されていたためキャンセルとなり、移動もないため、完全な休息日が与えられる。続く競技7日目となる8月15日(金)は、今大会の天王山となりそうだ。ここで主催者がどういったルートをエントラントに課すのか、どういう結果になるのか、楽しみである。

昨年の覇者「No.101 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND(Mana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組)」のトヨタ・ハイラックス