1JZ-GTE換装に併せて5速MT化を敢行!

8インチデフの流用で駆動系まで抜かりなく強化

足下を飾る懐かしの17インチホイール、メイストーム21C以外、外装はフルノーマル。内装に目を移してもステアリングホイールからシートまで純正で、レアアイテムのハーフシートカバーも装着されている。

ベースは2.0L・直6の1G-GEUを載せたGZ10ソアラ2.0GT。その様子を見る限り、オリジナル状態を維持した一台だと思ってしまうけど、実は中身が凄いことになっていた。

「オークションで仕入れた極上車で、初めはオーナーさんも純正に拘って乗っていたんですよ。ところが、車高調を入れたい、エンジンを載せ換えたい、とあれこれリクエストが出始めて…」と愛三カーフィールド代表の山田さんは言う。

そこで、ボンネットの下に収められたのが1JZ-GTE。換装作業は岐阜のショップ、グローバルが担当した。現状、カム交換と調整式カムスプロケットの装着を除いてエンジン本体はノーマルだけど、GT-Rサイズが選ばれた前置きインタークーラーやエンジンオイルクーラーの導入、1JZ純正ラジエターの加工流用など冷却系の容量アップが図られる。これは今後のタービン交換を見据えたもので、すでにF-CON Vプロでのフルコン制御とされているのも、その一環と言っていい。

また、エンジン換装と同時にミッションも5速MT化。将来的なパワーアップを想定し、クラッチはOS技研ツインプレートに交換される。併せてデフは7・5インチから8インチへと変更され、TRD製機械式LSDも組み込み済みだ。

山田さんいわく、「実はデフの8インチ化って、なかなか大変な作業なんですよ。まず、8インチデフが標準で備わるGX71GTツインターボの5速MT車用リヤメンバーを用意するんですが、GZ10に組み合わせるには大幅に加工しないダメで。当然、プロペラシャフトなども交換しなければなりませんからね」。いかにもノーマル然とした雰囲気からは想像できないけど、パワートレインは全面的に見直されているわけだ。

足回りには愛三カーフィールドオリジナル車高調をセット。ノーマルではダンパーとスプリングが別体式となるリヤのコイルオーバー化を実現しているのが大きな特徴と言える。

それでも見た目に分かるほど車高を落とすことなく、「もしかしてノーマル!?」と思わせるくらいに留めているのはオーナーの拘りに他ならない。

外観で唯一となる変更点がホイール。1980年代半ばに発売された共豊コーポレーションのメイストームC21で、16インチが大径だった時代、他メーカーに先駆けて登場した17インチは驚きだった。装着されるのはネットで見付けた新品デッドストック。前後6.8J+28に215/45サイズのDNAエコスが組み合わされる。

ダッシュボード周りはステアリングホイールやシフトノブまで純正で追加メーターもなく、チューニングカーらしさを感じさせる雰囲気はまるでない。

メインメーターは当時流行ったデジタル式。エンジン換装に伴ってタコメーターが作動しなくなったため、グローブボックス内にデフィ製タコメーターを備える。

1980年代、トヨタのスポーティ系モデルの多くに採用された8ウェイスポーツシート。純正オプションのレース生地ハーフシートカバーは、エンブレムにも使われるグリフォンがあしらわれた凝ったものだ。また、リヤウインドウには当時の記憶を呼び覚ますレースのカーテンも。

内外装は徹底的に純正をキープする一方で、走りに直結する部分は抜かりなくバージョンアップが施される。まさに大人のチューニングカーと呼ぶに相応しい仕上がりだ。

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
⚫︎取材協力:愛三カーフィールド 愛知県知立市新林町東新切66-1 TEL:0566-85-1313

「シャコタン・ブギの『ハジメちゃんソアラ』が現実に」エンジンまで原作通りの当時仕様がすごい!!

名作漫画『シャコタンブギ』の主人公が乗る“ハジメちゃんソアラ”を完全再現した超力作がコチラ。単なる外装レプリカ仕様と侮るなかれ、原作通りに心臓部までリメイクした本気のチューンドなのだ。(OPTION誌2003年5月号より)

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