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今日は何の日?■スカイライン・ジャパンのワゴン登場
1979(昭和54)年8月21日、日産自動車は1977年にモデルチェンジした5代目「スカイライン(ジャパン)」をベースにしたワゴン「スカイラインワゴン」を追加した。当時、アメリカ(カリフォルニア)文化に憧れる若者を中心にちょっとしたワゴンブームが起こっており、スカイラインワゴンもブームの一役を担った。

3代目(ハコスカ)から設定されていたスカイラインワゴン
スカイラインは、スポーティセダンを代表する名車だが、一方で2代目スカイラインから7代目までワゴンも設定され、堅調な人気を博していた。

初めてワゴンが設定されたのは、1968年に登場した3代目スカイライン(ハコスカ)の「スカイラインエステート」だった。“セダンに飽きた方、行動半径の広い方のクルマ、スポーティワゴン”であることを謳っていた。

当時としては国産唯一の本格的なエステートであり、パワートレインはセダンと共通の最高出力100ps/最大トルク100ps/15.0kgmを発揮する1.8L直4 SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ。

さらに爆発的な人気を誇った“ケンメリ”の4代目でも、バンとともにワゴンが設定された。エクステリアにはリアクォーターウインドウをなくし、全面をボディパネルとしたのが特徴である。性能とインテリアは、1.8L直4 SOHCを搭載した「スカイライン1800GL」がベースで、木目のインパネやシフトノブ、前席セパレートシートなど、セダンと同等の仕様に仕上げられていた。

ケンメリに続いて人気を獲得した5代目ジャパン
空前の大ヒットモデルとなったケンメリの後を継いだ5代目スカイラインは、“日本の風土が生んだ日本の名車”の意味を込めて、“スカイライン・ジャパン”のキャッチコピーで1977年8月にデビューした。

ジャパンは先代より直線基調でシャープなフォルムを採用し、先代と同じく4ドアセダンと2ドアHT(ハードトップ)を用意。エンジンも先代と同じ92ps/13.2kgmの1.6L、105ps/15.0kgmの1.8L直4 SOHCエンジンと、2000GTには最高出力130psを発揮する2.0L直6 SOHCが搭載された。ただし、1970年代は世界的なオイルショックと排ガス規制の強化によって高性能を追求するのが難しく、特に際立った性能ではなかった。
しかし、排ガス規制から解放された1980年にスカイライン初となるターボモデルを追加し、出力は一気に145psまで向上して、走りを極めるスカイラインらしさが戻ってきたのだ。
車両価格は、HTのTIシリーズが111.5万~138万円(1.6L&1.8L)、2000GTが125.9万~160.5万円、セダンはHTより5万~10万円安価に設定された。
5代目ジャパンにもワゴンが登場
5代目ジャパンにもワゴンが用意され、セダンの2年遅れの1979年8月のこの日に発売された。

スカイラインワゴンの開発にあたっては、ユーザー志向の多様化に応え、居住性と積載性を兼ね備えたレジャー志向のワゴンであることが重視された。エクステリアは、リアクォーターパネルにウインドウが設けられており、ラゲッジスペースはダブルフォールド式で折り畳んだ状態の後席背もたれ部分にもカーペットが敷かれ、フラット状態のスペースが快適に活用できた。
足回りについては、セダンのリアサスペンションが4リンクコイルスプリングなのに対し、ワゴンはリーフスプリングに変更。パワートレインは、105ps/15.0kgmの1.8L直4 SOHCと4速/5速MTおよび日産マチックの組み合わせ。

車両価格は、125.2万円に設定。当時の大卒初任給は11.0万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約262万円に相当する。
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1970年代後半には、アメリカ、特にカルフォルニアの若者文化の影響で日本でもレジャーやアウトドアを楽しむ若者が増え始め、バンではなくお洒落なステーションワゴンが人気を集めた。1979年に日産「サニー・カリフォルニア」、1980年にホンダ「シビック・カントリー」もデビューしてステーションワゴンブームが盛り上がっていたが、スカイラインワゴンは両モデルよりもワンランク上のワゴンとして存在感をアピールした。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


