初代から現行4代目まで続く「タフギア」要素を強化

突然だが、あなたは日産エクストレイルにどのようなイメージを持っているだろうか。
テクノロジーや新車情報に詳しい人であれば「世界初の可変圧縮比VCターボエンジンを積んでいる」や「日産独自の電動4駆制御技術【e-4ORCE】を採用している」といった現行モデルの特徴がスラっと思い浮かぶだろう。
一方、長年の自動車を愛してきた自動車ファンや、熱心なエクストレイルファンからすると「初期モデルの【タフギア】なコンセプトが記憶に残っている」のではないだろうか。

2000年代前半においてクリーンディーゼル・ムーブメントの先頭を走っていた初代、2代目のエクストレイルには、エンジン特性も相まって力強く、頼りになる道具といった印象がある。
じつは2022年にフルモデルチェンジ、4代目となった現行エクストレイルにおいても【タフギア】というコンセプトは継承されている。その上で、VCターボやe-4ORCEといった“技術の日産”らしい先進テクノロジーを詰め込んでいる。
2025年8月21日に発表、9月18日より発売となる、今回のマイナーチェンジ版エクストレイルにおいては、【タフギア】という伝統的価値と、激戦区であるミドル級SUVに求められる上質さをレベルアップ。もちろん、現行モデルが持つ先進性というイメージも強化するものとなっている。
それぞれの要素をクローズアップして見ていこう。

メッキを廃し、張りを強めて“原点回帰”したフロントマスク

タフギアという伝統的価値と2020年代後半にマッチした洗練さを明確に示すのが、マイナーチェンジ後のフロントマスクだ。
横桟基調で精密感を増したフロントグリルはいかにもソフィスティケートされたことを感じさせるが、ポイントはメッキパーツを廃したことだろう。あえてメッキをなくしたのはタフギアという価値を再確認させる。グロスブラックのグリルとサテンシルバーマスクのアクセントカラーを入れた新しい色使いは、道具感とファッショナブルを両立させるのが狙いといえそうだ。
ヘッドランプの形状はマイナーチェンジで変えていないが、シグネチャーランプ(DRL)を追加することで現代的にアップデート。ウインカーを作動させたときにはDRL部分がターンランプとして機能するのは言うまでもない。
デザインをマニアックに分析すると、ヘッドランプの下部あたりにキャラクターラインを追加している点がイメージチェンジに貢献していることがわかる。
ヘッドランプの輪郭は変わらずとも、このキャラクターラインがフロントバンパー面の左右に張り感を強めている。18インチ、19インチが用意されるアルミホイールの意匠が刷新されたことも合わせて、スタイリング全体のイメージが【タフギア】要素を強めたと感じられる。

「技術の日産」を色濃く感じるインテリア

インテリアは、洗練という現行エクストレイルから採用されたファクターをグレードアップした印象だ。インパネやドアトリムはブラックとなり、シート地はジャパニーズモダンを意識したものになった。オプションのナッパレザーは、従来のタン色からチェスナットブラウンとなり、より上質な雰囲気を高めている。
「技術の日産」を実感させる要素も加えられた。日産として国内初となるGoogle搭載のインフォテイメントシステムや、あたかもボンネットを透過したような画像をモニターに映し出す「インジブルフードビュー」を採用。こちらも日産としては国内初の先進技術である。
ほかにも、デジタルメーターへの常時マップ表示が可能になったり、エアコンの音声操作、接近時アンロック/降車時オートロックに対応したりと、利便性と高級感を高める機能も追加されている。前席のUSB電源ポートが、すべてUSB-Cタイプとなっていることは、細部に至るまで最新版へアップデートされていることの象徴だ。


1.5L 可変圧縮ターボエンジンを発電専用に使うシリーズハイブリッド「e-POWER」や、前後独立モーター駆動ならではの緻密な制御を実現した「e-4ORCE」といった基本メカニズムは変わっていない。しかしながら、あらためてe-4ORCEグレードに試乗すれば、電動4WDの生む独特な走行フィールは時代の先端を感じさせるものであり、内外装のアップデートとのバランスは、より整っていることが確認できた。
マイナーチェンジ後のメーカー希望小売価格は、2WDが384万3400円~464万6400円、e-4ORCE(4WD)は403万8100円~494万6700円。4WDの一部グレードのみ3列シート仕様を用意するが、全体としては2列シートのミドル級SUVという商品ラインナップになったといえる。
エクストレイルG e-4ORCE 主要スペック

全長×全幅×全高:4690mm×1840mm×1720mm
ホイールベース:2705mm
最低地上高:185mm
車重:1880kg
駆動方式:4WD
乗車定員:5名
発電用エンジン型式:KR15DDT
エンジン最高出力:106kW
エンジン最大トルク:250Nm
フロントモーター最高出力:150kW
フロントモーター最大トルク:330Nm
リヤモーター最高出力:100kW
リヤモーター最大トルク:195Nm
燃料消費率(WLTCモード):18.1km/L
最小回転半径:5.4m
タイヤサイズ:235/55R19
メーカー希望小売価格:4,946,700円






