トータルにレベルアップ、「もっとわがままになれる軽!」

2025年秋に発売予定の日産ルークスが公開された。スターティングプライスは160万台円を目標としていることも明らかとなった。はたして、新型ルークスの仕上がりは? ということで実車で確認する機会を得たので報告しよう。
「ROOX(ルークス)」という車名は「Roomy×Max」に由来するもので、2009年に初代ルークスが誕生して以降、デイズルークスと改名した時期もあったが、ずっと日産ブランドの軽スーパーハイトワゴンとして市場で認められてきた、おなじみのモデルだ。
グレードについても、スタンダードと「ハイウェイスター」を用意する構成は、もはや日産ファンならずともおなじみで、安定のラインナップといえるだろう。
新たなカスタムバージョンとしてブラック内装やオリジナルアルミホイールを備えた「オーテックライン」が新設定されるのもニュース。助手席スライドアップシートのライフケアビークル(福祉車両)も設定されるという。
パワートレインについての詳細スペックは公表されていないが、基本はNAエンジンとなり、ハイウェイスターにターボエンジンが設定される。また、ハイウェイスターでは日産の先進運転支援システム「プロパイロット」を装着車も選ぶことができる。
Aピラーの角度を従来モデル比で8度立てたことで、クラス最長の室内長を実現したあたり、名前にふさわしい進化といえるが、もちろん進化の内容はそれだけにとどまらない。
開発コンセプトは「広くて安心、頼れる私の軽BOX」、マーケティングにおいては「もっとわがままになれる軽!」といったキャッチフレーズによって新型ルークスの狙いを示している。使いやすく、充実した安全装備により安心して運転でき、快適性についてもハイレベル…というのが新型ルークスの目指したところといえる。



12.3インチ大画面に映し出される進化した運転アシスト

まずはインテリアから見ていこう。
ステアリングの奥に見えるメインのメーターは7インチディスプレイのフルデジタルバージョン。12.3インチの軽・最大級のインフォテイメント画面とメーターが一体化したデザインや、ファブリックをあしらったインパネは軽自動車のイメージを大きく超えるものだ。
さらにインパネ上部からAピラーの内張り、そのまま天井のほうまで一周したカラーパネルはインテリアにおけるデザインのアクセントであり、新型ルークスのアイコンといえる。遮音ガラスを採用したフロントの窓ガラスとキャビンの間を、この一周したアクセントにより区切ることで、外と内を感覚的にわけているのはユニークだ。
デザイナーによれば「日本の伝統家屋における縁側を意識したデザインです。フロントのベンチシートもハンモックのようなイメージとしています。これが『そよ風』をコンセプトとしたインテリアです」という。
また、12.3インチのインフォテイメント画面はGoogle対応のコネクテッド機能を楽しめるだけではない。ボンネットを透過したようなインジブルフードビューや、クルマの陰から飛び出す歩行者や自転車を見つけられるフロントワイドビューといった運転支援機能を大画面でしっかり確認できるのは、安心安全につながると実感できる。


先進運転支援システムとしては軽自動車として初めて前後にサイドレーダーを備えているのがニュース。斜め後方からの接近車両を知らせるBSI(後側方衝突防止支援システム)や駐車場で役立つRCTA(後退時車両検知機能)を実装しているほか、エマージェンシーブレーキについても右左折時に歩行者を検知する能力が向上しているという。
快適性に直結するシートについては、前後にゼログラビティシートを採用。フロントは体圧を分散するシート形状、リヤはクッションの接触面積を拡大するなど乗員が座り心地のよさを直感できるよう工夫されている。


ミニセレナから脱却したスーパーハイトワゴンデザイン



フロントグリルやアルミホイール、前後ライトなどに「かどまる四角」をキーワードとしたエクステリアデザインは、どんな軽自動車とも似ていないと感じさせるユニークなもの。前後ともランプ類をボディサイドに回り込ませるような造形とすることで、ワイド感を強調しているのが特徴のひとつだ。
今回、新型ルークスの取材において複数のエンジニアやプランナー、そしてデザイナー諸氏にうかがった話をまとめると、こうしたオリジナリティあふれるスタイリングが生まれた背景には、新型ルークスが軽スーパーハイトワゴンのナンバーワンを目指すという強い意志がある。
従来モデルのルークスは、どこか「ミニセレナ」のようなフロントマスクで、ともすれば”日産ラインナップにおける小さなモデル”というイメージもあった。しかし、新型ルークスでは、軽スーパーハイトワゴンという日本における最大級マーケットにおいて、日産ルークスとしての存在感を高めることを強く意識したと言い換えることができそうだ。
そして、発売前の新型ルークスだが、ターボエンジンを積んだハイウェイスターに試乗する機会も得ることができた。実際に走ってみて、新型ルークスが軽スーパーハイトワゴン市場において、どんな立ち位置と感じたのか。次回、じっくりお伝えしようと思う。








