軽量アルミ製ナックル採用、サスペンションの進化は大きい

新型ルークス ハイウェイスターの走行シーン

Aピラーの位置を前進させるなどスーパーハイトワゴンとしての機能性を高めたパッケージングとなった新型ルークス。「かどまる四角」のモチーフを随所に盛り込んだスタイリングや、7インチ液晶メーター&12.3インチインフォテイメントシステムによるコックピットなど、目に見える部分は一新されている。

フルモデルチェンジについての第一報でもお伝えしたように、軽スーパーハイトワゴンという激戦区において日産のプレゼンスを向上させることを目指したのが、新型ルークスの狙い。開発陣は声には出さないが「待ってろ、N-BOX!」という意気込みが存分に感じられるというのが第一印象だった。

そして、メディア向けにお披露目された会場、日産グランドドライブ(テストコース)にて、新型ルークスの最上級グレードとなる「ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション」を試乗する機会を得た。市街地から高速走行までを模した試乗コースにおいて、新型ルークスはどんな走りを見せてくれるのだろうか。

新型ルークスのエンジンルーム

その前に、走行性能にかかわる進化ポイントについて整理しておこう。

現時点で、パワートレインの詳細は明らかにされていていないが、エンジンやトランスミッションは基本設計は踏襲しつつ、3種のドライブモードを選べるようにしている。加速感のリニアリティを向上させたことも期待できる。

プラットフォームについても進化版といえるものだが、シャシーメカニズムの進化は大きい。たとえば、フロントの足回りには軽量化を狙って、アルミ製ナックルや剛性を上げた中空スタビライザーを採用している。さらに、電動パワーステアリングについても低速での軽さを増しながら、高速での安定感を両立する味付けになっているという。

注目したいのはサスペンションの進化だ。KYB製の高応答ショックアブソーバーの採用に合わせて、リヤサスのゴムブッシュを従来比でマイナス20%ソフトにすることで、しっかり感をスポイルすることなく乗り心地を改善するといった内容になっている。

乗り心地に影響するシートについては、前後ともに日産独自のゼログラビティシートを採用。高密度ウレタンの採用に加え、形状も工夫することで、快適性とホールド性の両立を狙っている点も見逃せない。

新型ルークスのインテリア

ファーストカーとして満足いくレベルの走行フィール

新型ルークス ハイウェイスターの走行シーン

結論からいえば、クローズドコースを試乗した第一印象は、「名は体を表す」だった。まさに『ハイウェイスター(高速道路で輝く)』ような走り味を見せてくれた。ターボエンジンによる加速は軽スーパーハイトワゴンに期待する以上のパフォーマンスであったし、前述したハンドリングに関する進化ポイントは、体感できるレベルで高速走行での安定感を高めている。

フロントウインドウの遮音ガラスほか、吸音材や遮音シートの採用範囲を広げたことで、走行時の快適性が向上しているのにも驚かされた。後席は320mmのロングスライド機能を備え、4名乗車でもゆったりとした空間を実現しているが、最後端にスライドさせてもドライバーと自然に会話できる静粛性を実現している。ターボエンジンにおいてはエアクリーナーの容量アップなど吸気音を抑える改良がされているのも、こうした静かさに貢献しているはずだ。

新型ルークス ハイウェイスターの走行シーン

新型ルークスの走りは、高速道路をどこまでも走っていきたくなるような、ハイウェイスターらしい“しっかり感”と“乗り心地の良さ”が実感できるものだった。

ところで、従来のルークスはスーパーハイトワゴンとしては硬質なハンドリングが魅力だった。リヤサスのブッシュを柔らかくするなど乗り心地重視のフットワークになったと聞けば、そうした美点が失われているのでは? と思うかもしれない。

しかし、心配無用だ。今回の試乗において確認した範囲では、むしろ大きくステアリングを切り込んだときの挙動や感触は洗練されているし、ワインディング的なコーナリングにおいても背の高さを感じさせないリニアな挙動を実現している。シャシーの進化により、従来モデルの良さを増しながら、高級感も手に入れたと表現するのが適切だろう。

かつて軽自動車は街乗りメインのセカンドカーとして位置付けられていたが、広くて快適なスーパーハイトワゴンが全盛を迎えてからは、軽自動車をファミリーカーのメインマシンとするユーザーも増えている。

ファーストカーであれば、高速道路を走行する機会も多いだろうし、そうしたユーザーは多少高価であってもパワーに余裕のあるターボエンジン車を選ぶ傾向もあるだろう。そうしたユーザー層にマッチするのが新型ルークス・ハイウェイスターといえる。

価格や燃費といった数値が明らかになっていない現時点では諸手を挙げて「新型ルークスがオススメ」と言い切れないのは残念だが、少なくとも走りの性能と走行フィールに関しては、ファーストカーとして軽スーパーハイトワゴンに乗るユーザーの満足度は高いといえそうだ。