インフィニティは『モントレーカーウィーク2025』において、QX80のプラットフォームをベースとした2台のアグレッシブなコンセプトカーを発表した。

インフィニティ QX80 トラックスペック

QX80は2004年から販売されているフルサイズ・クロスオーバーSUVで、第3世代となる現行型は2024年に登場したばかりだが、早くも多彩なバリエーションが展開されている。

インフィニティ QX80 テレインスペック

インフィニティは先日、2026年型QX80スポーツを発表したばかりだが、今回は新たに“トラックスペック”と“テレインスペック”の2つのコンセプトを提示し、さらなる可能性を模索している。両モデルは「スタイル、快適性、ラグジュアリーを犠牲にすることなく、人生を最大限に楽しむ」ことを目指して設計されたという。

QX80トラックスペック・コンセプトは、キャデラックのエスカレードVとの競合を意識したモデルとみられる。新開発のターボチャージャーと改良された排気システムを備えた3.5L V6エンジンを搭載し、最高出力は659ps(485kW)、最大トルクは1016Nmを超える。これは標準モデルの最高出力456ps(336kW)、最大トルク699Nmから大幅に向上しており、最高出力691ps(508kW)、最大トルク885Nmを発揮する6.2L V8スーパーチャージャー搭載のエスカレードVに匹敵するスペックだ。

インフィニティによると、このコンセプトカーは同社史上最もパワフルなモデルであり、この性能向上は「純正部品の改良のみで達成された」という。新しいターボと排気システムに加え、改良型の燃料インジェクター、大容量インタークーラー、ラムエアインテークを採用。いずれも量産化が十分可能とされ、標準装備のV6エンジンは伝説の日産GT-Rから進化したものだ。

外観は、フロントスプリッターや延長サイドスカート、力強いフェンダーフレアを備えたアグレッシブなボディキットにより、ストリート志向のルックスを実現。専用インテークや改良フェンダーベント、QX80スポーツ由来のグリルも組み合わされている。最大の見どころは4本出しエキゾーストシステムとスポーティなディフューザーで、さらにブラックとブルーのボディラップ、ブレンボ製ブレーキを備えた24インチホイールも装着される。

他方、QX80テレインスペックはレクサスLX 700h オーバートレイルを意識したモデルだ。詳細は明かされていないが、このコンセプトカーには前後スキッドプレートが採用され、車高も高めに設定されている。張り出したフェンダーフレアとオールテレーンタイヤを装着した頑丈なホイールを備え、さらに、ライトバーとポップアップテントを備えたルーフマウントプラットフォームに接続するリムライザーも装備されている。サテンダークバサルトビニールラップが施されたこのSUVは、これらの装備により、オフロード走行にも最適と言えそうだ。

インフィニティ・アメリカズのティアゴ・カストロ副社長は、「QX80トラックスペックとテレインスペックは、スリリングなオンロードパフォーマンスを求めるお客様と、舗装路をはるかに超えた場所で自信に満ちたパフォーマンスを求めるお客様の、2つの異なるお客様の考え方を反映しています。これらのコンセプトカーは、インフィニティの新たな“市場投入までのスピード”という考え方を体現しています。この考え方により、お客様の共感を最も得られるものを探求しながら、プレミアムSUV市場への進出を加速させることができます」と語っている。

この「攻めた」QX80が市販化されるまで、そう遠くはなさそうだ。