日産 新型ルークス
日産 新型ルークス

新型ルークスのデザインは、日産らしい親しみやすさとモダンさを融合させた“かどまる四角”です。角の丸い四角形モチーフをヘッドライトやドアハンドルにまで通し、全体にやわらかい印象を与えています。さらに、唐破風の曲線を取り入れたという新しい2トーンカラーや、セラドングリーンなど新色を加えた17通りの展開は、生活の場に溶け込みつつ遊び心を表現する試みです。

ダイハツ タント Xターボ 2WD
ダイハツ タント Xターボ 2WD

他方、タントは“押し出し”を抑えたシンプルなモダン志向で、カスタム系でも過度に派手さを追わず、端正さを大切にしています。ルークスが“愛嬌”と“個性”で視線を集めるのに対し、タントは“落ち着き”と“安心感”で長く付き合えるデザインを志向しているといえるかもしれません。

日産 新型ルークス
日産 新型ルークス

サイズ感と質感の比較では、両車の設計思想がはっきりと分かれます。まだプロトタイプの数値にはなりますが、新型ルークスは全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm(4WDは1805mm)、ホイールベース2495mmと軽規格の限界まで使い切りながら、室内長を2315mmとクラストップに伸ばしたのが特徴です。後席ニールーム795mmや荷室最大長675mmといった具体的な数値が示すように、限られた外寸で室内空間を極限まで広げ、移動そのものを快適にしています。インテリアは“Breeze”をテーマに、軽初となる12.3インチ統合型ディスプレイやGoogle内蔵NissanConnectを備え、先進感とデジタルの便利さで質を引き上げています。

ダイハツ タント X 2WD
ダイハツ タント X 2WD

対するタントは全長3395mm×全幅1475mm×全高1755mm、ホイールベース2460mm。室内長こそ2125mmですが、DNGAによる高剛性・軽量化を基盤として室内高1370mmを確保し、頭上空間の余裕と剛性バランスを重視しています。軽自動車ゆえに外寸こそ大きな変化はありませんが、床を16mm下げることで実際の広さ感を高めています。質感面では次世代スマートアシストの装備や静粛性改善によって、走りの安心感を底上げする方向性だと言えるでしょう。ルークスが“軽を超える最新ガジェット感”を打ち出してきたのに対し、タントは“骨格と走りで安心を積み上げる”アプローチと言えるかもしれません。

日産 新型ルークス リヤスライドドア
日産 新型ルークス ロングスライドを誇るリヤシート

使い勝手では、両車の特徴がさらに鮮明になります。ルークスは650mmのスライドドア開口幅や同社のベストセラー・ミニバンであるセレナ並みの大型グリップ、後席320mmロングスライドを備え、荷室長675mmとあわせて圧倒的なアレンジ力を誇ります。荷室にスーツケースを4つ積んでも大人4人がゆったり座れる設計は強みでしょう。加えて、オプションのドラレコ連携で、離れた場所から愛車の周囲を静止画で確認できる“リモートフォトショット”や軽初となるボンネット下の見えない領域を透かして表示する“インビジブルフードビュー”、後側方衝突防止支援など先進安全装備を網羅しているのも魅力です。

ダイハツ タント Bピラーレス構造による圧倒的な開口幅

他方、タントはBピラーレス構造による1490mmという圧倒的な開口幅と、ステップ高359mmという乗降を容易にする低床化された床面が育児や介助シーンに傑出した実用性を打ち出しています。運転席540mm、助手席380mmのスライド機構は動線設計の細やかさを物語り、荷室フロア高580mmの低さは荷物の積み降ろしの快適さに直結しています。

日産 新型ルークス
ダイハツ タント

総じて、新型ルークスは“最新技術と最大空間”で軽を超える存在感を目指してきたのに対し、タントは“生活動線と安心基盤”で家族に寄り添うことを徹底してきたと言えるかもしれません。デザインで個性を楽しむならルークス、日常の動きに徹底的に寄り添うならタントという住み分けが見えてきます。両車は方向性こそ違いますが、軽スーパーハイトワゴンの魅力を最大化するという点では共通しており、ユーザーのライフスタイルに応じた最適解を提示しているといえるでしょう。