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今日は何の日?■プリメーラに走りにこだわったスポーティモデル追加

2001(平成8)年8月27日、日産自動車は3代目「プリメーラ」に走りを追求した「プリメーラ20V(セダン)」と「プリメーラW20V(ワゴン)」を追加した。「20V」と「W20V」に搭載されたのは、最高出力204ps/最大トルク21.0kgmを発揮する2.0L直4 DOHCエンジンと6速MTを組み合わせたハイスペックスなパワートレインである。

欧州車風の雰囲気を強調した初代プリメーラ
1990年2月、日産はスタンザ/オースターに続く新たな世界戦略車としてプリメーラを日欧に投入した。プリメーラは、日本のみならず欧州でも通用するミドルクラスの本格4ドアセダンを目指し、開発ターゲットは機能美を追求したスタイリング、快適な室内空間、卓越した走行性能だった。

スタイリングは、低く短いフードに長いキャビンとハイデッキで構成され、フラッシュサーフェス化してCd値0.29を達成。インテリアは基本的にはシックに仕上げ、ワンクラス上の室内長を確保し、人間工学に基づいた疲労を軽減する新形状のエルゴノミックシートが装備された。
また走行性能については、マルチリンク式フロントサスペンションを組み込み、パワートレインは最高出力150psを発揮する2.0L直4 DOHC、110psの1.8L直4 DOHCの2種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はFFだが、同年10月には4WDが設定された。
プリメーラは当初は4ドアセダンのみだったが、1991年10月にスポーティ志向の5ドアハッチバックの「プリメーラGT」がデビュー。欧州車と真っ向勝負できるFFセダンとしてプリメーラの評価は高く、セダンでも走りを重視する層から人気を獲得した。
居住性や走りを正常進化させた2代目
プリメーラは、1995年9月に初のモデルチェンジで2代目に移行した。全長30mm、全高15mm、ホイールベースが50mm拡大され、室内空間、特に後席居住性を向上させた。また、販売店系列に対応して、「プリメーラ・カミノ」が新たに設定された。

パワートレインは初代と同じだが、1.8Lエンジンについては改良されて最高出力は125psに向上した。また、2代目は、初代同様ハンドリングをはじめとする走行性能もさらに磨きをかけ、スポーティセダンとして味付けが強化された。
しかし、2代目は市場でのセダン人気が冷え始めていたこともあり、初代ほどの人気を得ることができずに、フェイスリフトに加え、ワゴンを追加するなどで商品力強化を実施したが、人気を回復は果たせなかった。
欧州発のデザインで世界戦略車に磨きをかけた3代目
プリメーラは2001年1月に3代目にモデルチェンジした。ボディバリエーションは、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンが設定され、デザインは日産ヨーロッパ・デザインスタジオで行なわれため、より欧州車的なイメージが強まった。

インテリアも欧州車を意識したもので、ダッシュパネルの中央にコンビメーター、スピードメーター、回転計の3連の円形メーターを半円形のクラスターの中に納めるという斬新なものだった。各メーターは、視認性のためにドライバー側に角度を付け、下には液晶画面とエアコン吹き出しや集中パネルが配置された。

パワートレインは、最高出力170ps/最大トルク25.0kgmの2.5L直4 DOHC、150ps/20.4kgmの2.0L直4 DOHCの2種エンジンと4速ATおよび5速MT、CVTが組み合わされた。なお、欧州向けにはルノー製1.8L直4 SOHCターボディーゼルが搭載されたが、日本には投入されなかった。
スポーティモデルの「20V」と「W20V」を追加
2001年8月のこの日、3代目プリメーラのセダンとワゴンに、204ps/21.0kgmの2.0L直4 VVL付DOHCエンジンと6速MTを組み合わせたスポーティモデル「プリメーラ20V(セダン)」、「プリメーラW20V(ワゴン)」が追加された。


エクステリアはメッシュタイプのフロントグリルに変更され、7本スポークタイプの17インチホイールを履き、スモーク色ヘッドランプでダイナミックさをアピール。インテリアについてはブラック基調でまとめ、アルミペダルでスポーティさが強調された。



標準モデルに対して、最高出力は36%、最大トルクは3%向上。増大した出力に合わせ、フロントブレーキおよびマスターシリンダーをサイズアップし、足まわりは専用チューニングされた。

車両価格は、5速MTのみで「20V」が239.0万円。「W20V」が249.0万円に設定。ちなみに、標準モデルは、CVTだが226万円(セダン)、236万円(ワゴン)である。
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人気を獲得した初代プリメーラだったが、2代目と3代目は市場のセダン不人気の煽りを受けて販売に苦しんだ。魅力的なスタイリングと優れた走りをアピールしたスポーティモデル20V&W20Vについても、“時すでに遅し”ということになった。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

