2000万円以上でも「SR3 XXR」が安い…と感じた理由はエグいコーナリングにあり!
ラディカル・モータースポーツ(本社:イギリス)は、クラフト・バンブー・レーシングと提携して「ラディカル・ジャパン」を設立。8月20日にTHE MAGARIGAWA CLUB(千葉県)で発表会を行い、日本市場への本格参入を宣言した。

ラディカル・モータースポーツは1997年、アマチュアドライバー兼エンジニアのミック・ハイドとフィル・アボットによって設立された。当初はオープントップのスポーツモデルを製造していたが、現在はサーキット専用のレーシングカーを中心に幅広いモデルを展開、25カ国にディーラーネットワークを展開しており、年間生産台数は150台、累計生産台数は3000台以上を数える。
ラディカルの車両は日本でも2000年代後半から輸入・販売されていた時期があったのだが、近年はそれが途絶えていた。そこでラディカル・モータースポーツはクラフト・バンブー・レーシングと手を結び、日本市場における公式ディストリビューターとして「ラディカル・ジャパン」を設立して、同社のレーシングカー販売とサポートを開始することとなった。

ちなみに、クラフト・バンブー・レーシングはアジアを中心に活動するレーシングチームで、近年はGTワールドチャレンジ・アジアやインターコンチネンタルGTチャレンジなどで活躍。日本ではスーパー耐久シリーズにメルセデスAMG GT3とともに参戦中である。
さて、ラディカル・ジャパンで主力モデルとなるのが「SR3 XXR」だ。2002年に初代の登場以来、進化を続けてきた“世界で最も売れているレーシングカー”と言われており、2023年には最新モデルが登場。オリジナルのSR3の本質を維持しながら、性能、使いやすさ、耐久性がさらに磨き上げられているという。
SR3 XXRの心臓部に収まるのは、ラディカル・パフォーマンス・エンジンズ(RPE)が開発を手掛けた1.5L直列4気筒エンジンで、最高出力は232PSを発揮する。組み合わされるのは6速シーケンシャル・マニュアルトランスミッションで、ステアリング裏のパドルでシフト操作が可能となっている。


今回の発表会では、メディアと顧客を対象にした試乗イベントが実施された。MotorFan.jp編集部員である私もレーシングドライバーの田中哲也さんの隣で、SR3 XXRの同乗体験をさせていただく機会に恵まれた。ラッキー!
オープンコクピットのSR3 XXRにはもちろんドアも備わらないため、ボディを跨ぐようにして助手席の座面に足を着いた後、足元に設置されている消火器を蹴飛ばさないよう注意しながら腰を下ろす。6点式シートベルトでギュッと身体を固定していると、自分で運転するわけでもないのに、ちょっと心臓の鼓動が早まっているのを感じる。

THE MAGARIGAWAのコースは全長3.5kmで、まるで峠道のようなアップダウン、800mのストレート、22のコーナーで構成されている。ピットを出て、3周のラップが始まった。そこで度肝を抜かれたのは、カミソリのようなコーナリングの切れ味だ。加速ももちろん鋭いのだが、500PSオーバーが当たり前の最近のスーパースポーツカーなどと比べれば、SR3 XXRのダッシュ力は想定の範囲内といったところ。ヘルメット越しに感じられる風圧を感じながら、「気持ち良いなぁ〜」と笑っていられる余裕があったのだが…。

ストレートが終わり、勢い良くコーナーへ飛び込んでいくSR3 XXR。「えっ、こんなスピードで曲がれるの!?」という筆者の不安をよそに、今まで感じたことのない横GとともにSR3 XXRはグイン!と向きを変える。その急激な曲がり具合は、かつてヤクルトスワローズで活躍した伊藤智仁投手の高速スライダーの如し。わずか620kgという軽量な車体、大型のリヤディフューザー&リヤウイングによるダウンフォース、ハンコック製のレーシングスリックタイヤ(と、田中さんのドライビングテクニック)が、一般的なスポーツカーとは一線を画するコーナリングスピードを実現しているのだ。なるほど、これはめちゃくちゃおもしろい! わずか3周だったものの、異次元の走行体験でお腹はいっぱいとなった。

SR3 XXRの価格は2158万9000円(オプション未装備の、素の状態)。庶民からすると決して安くはないものの、ポルシェがワンメイクレース「カレラカップ」用に販売するレーシングモデルの「911GT3カップ」の価格が3465万円(2021年発売時)だったのと比べれば、SR3 XXRが断然リーズナブルな存在に感じられるようになってくる。並みのスポーツカーでは飽き足らず、もっと高いレベルでドライビングの楽しさを味わいたい人、そして財力に余裕がある人…つまり富裕層のジェントルマン・レーシングドライバーにとっては、SR3 XXRは格好の相棒になることだろう。

ワンメイクレースといえば、ラディカル・モータースポーツも積極的に開催に取り組んでいる。世界14か国で「ラディカル・カップ」が行われており、日本でも2026年半ばからシリーズがスタートする予定だ。こちらの詳細は近日発表予定とのこと。また、ラディカル・ジャパンでは入門モデルの「SR1 XXR」、よりパワフルなターボエンジン(425PS)を搭載した「SR10 XXR」も受注販売するという。ラディカル・ジャパンの今後の展開にも注目したい。
ラディカル・ジャパン公式サイト:https://www.radicaljapan.co.jp/
