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今日は何の日?■オンロード走行も重視した3代目パジェロ
1999(平成11)年9月2日、三菱自動車はパリダカの活躍などで本格4WDオフローダーとして世界的な人気モデルとなった「パジェロ」の3代目を発売した。3代目は、フレーム構造や足回り、エンジンなどを一新してオンロード走行時の快適性向上が図られた。

RVブームをけん引したパジェロの誕生
三菱「パジェロ」は、1982年4月に誕生した。初代パジェロが目指したのは、ジープの走破性能を持ちながら、それまでの武骨なイメージの本格4WDオフローダーとは異なる、乗用車のような快適性や安全性を合わせ持つ4WDオフローダーである。

堅牢なラダーフレーム構造で、フロントサスペンションにダブルウィッシュボーン/縦置きトーションバーの独立懸架、フロントブレーキにベンチレーテッドディスクなど、新しい時代に対応したオフローダー仕様を採用。ボディタイプは、当初は2ドアのメタルトップと帆をまとったキャンパストップの2種だけだったが、翌1983年に乗用車系のワゴンタイプと7名乗車を可能にしたロングボディが追加された。
パワートレインは、低中速トルクに優れた最高出力95psの2.5L直4 SOHCディーゼルターボと75psの3.0L直4 SOHCディーゼル、110psの2.0L直4 SOHCガソリンの3種エンジンと、4速/5速MTの組み合わせ。駆動方式は、オフロードに対応したパートタイム4WDだ。
従来の武骨な4WDオフローダーとは異なり、街中の走行も似合うスタイリッシュな新しいタイプのパジェロは、瞬く間に人気モデルとなり、日本のRVブームの中心を占めた。

またパジェロは、発売の翌年1983年からオフロード性能の高さをアピールするため、パリ・ダカールラリー(通称パリダカ)に参戦し大活躍。このパジェロの活躍ぶりをNHKが連日特番で放映しため、パリダカブームに火がつき、パジェロ人気はさらに加速した。
洗練されたデザインと性能アップで世界的な人気を獲得した2代目
日本のRVブームをけん引していたパジェロは、1991年1月に初めてのモデルチェンジで2代目へ移行した。初代同様ラダーフレームが踏襲され、ショートとロングボディを設定。4人乗りソフトトップから7人乗りワゴンまで4種の多彩なボディスタイルが用意された。

スタイリングは、先代のボクシーなイメージを継承しながらも、サンドシェイプフォルムと呼ばれるデザインの採用により洗練されたフォルムとなった。エンジンは、最高出力155ps/最大トルク24.0kgmを発揮する3.0L V6 SOHC、85ps/20.0kgmの2.5L直4 SOHC IC(インタークーラー)ディーゼルターボの2種エンジンと、5速MTおよび4速AT組み合わせ。駆動方式は、パートタイムとフルタイムの長所を併せ持つ新開発のスーパーセレクト4WDが搭載された。
その後、マイナーチェンジで125ps/30.0kgmの2.8L直4 SOHC ICディーゼルターボ、230ps/33.0kgmの3.5L V6 SOHC、145ps/21.0kgmの2.4L直4 SOHCを追加。その後も2代目パジェロは、ディーゼルエンジンの電子制御化やガソリンエンジンのDOHC化などで高性能化を進め、パジェロ人気は絶好調に達した。
ボディ構造を変更してオンロード性能向上を図った3代目

1999年9月のこの日、パジェロは3代目にモデルチェンジした。最大の変更点は、ボディ構造がそれまでのラダーフレームからビルトインフレームモノコック構造に変更され、市場の変化に対応してオンロード性能の向上が図られたこと。

ラインナップは整理され、3ナンバー登録の3ドア・ショートと5ドア・ロングの2タイプのみとなり、スタイリングは先代よりもさらに曲線を取り入れた都会的な雰囲気をイメージさせた。


パワートレインは、最高出力175ps/最大トルク39.0kgmを発揮する3.2L直4 DOHC ICディーゼルターボ、先代からキャリオーバーされた220ps/35.5kgmの3.5L V6 DOHC直噴ガソリンの2種エンジンと、4速/5速ATの組み合わせ。

車両価格は、最も人気の高いスーパーエクシード(5速AT)で393.5万円(ショート)/429.5万円(ロング)に設定。その後も、エンジンやエクステリアの改良などで進化したが、3代目パジェロは2代目のような人気を獲得できなかった。

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絶好調だった2代目の後を引き継いだ3代目パジェロは、デビューのタイミングが悪かった。2000年以降、RVブームは下火となり、三菱自体の経営不振も重なり、十分な商品力強化が図れなかったという事情があり、この世代から三菱の大看板であるパジェロ人気に陰りが見え始めたのだ。
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