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今日は何の日?■市場ニーズに対応してバリエーション豊かな6代目コロナ
1978(昭和53)年9月4日、トヨタはカローラよりワンランク上のファミリーセダンとして、日産「ブルーバード」と人気を2分していた「コロナ」の6代目を発売した。市場の多様化に応えるため、ボディスタイルやエンジンなどを多彩に揃えてバリエーション豊かなことが特徴だった。

打倒ブルーバードを掲げて誕生したコロナ
初代コロナ「トヨペットコロナ(ST20型)」は、1957年7月に「クラウン」と「パブリカ」の中間層を埋めるために誕生した。一方、日産は1959年8月に初代ブルーバード「ダットサンブルーバード」を対抗馬として発売した。

当時は、モータリゼーションに火が付いた自動車黎明期、クルマはまだ一般ユーザーには手の届かない贅沢品だった。ブルーバードは、セミモノコックボディに、4ドアセダンのみで親しみやすい丸みを帯びたフォルムを採用し、パワートレインは最高出力34psの1.0Lおよび43psの1.2L直4 SOHCエンジンと、3速MTの組み合わせ。

一方の初代コロナは、クラウンの足回りやトヨペットマスターの車体を流用して造り上げ、丸みを帯びたフォルムから「ダルマ」の愛称で親しまれた。トヨタ初のモノコック構造を採用し、パワートレインは最高出力33psを発揮する1.0L直4サイドバルブエンジンと3速MTの組み合わせ。
しかし、初代コロナはパワー不足や耐久性の問題から販売は目論見通りに伸ばせず、ライバルのブルーバードの後塵を拝した。
コロナの2代目から5代目までの軌跡


・2代目(T20型:1960年4月~)
初代とは対照的な外観で、伸びやかで端正なデザインに一変。発売当初は、最高出力45psを発揮する1.0L直4 OHVエンジンと3速MTの組み合わせのみだったが、1961年3月には60psを発揮する1.5L直4 OHVエンジンが追加された。

・3代目(T40型/T50型:1964年9月~)
スタイリングは、フロントからリアにかけて一直線に流れる角ばったアローラインを特徴とした。1965年7月には日本車として初となる2ドアハードトップを、同年11月には5ドアハードトップセダンを加えた。パワートレインは、当初70psの1.5L直4 OHVと4速MTおよび2速AT(トヨグライド)の組み合わせ。3代目で、初めてブルーバードに勝ち、販売台数トップの座に輝いた。
・4代目(T80型:1970年2月~)
ファミリーカー志向を強めて、ボディサイズがひと回り大きくなり、一般的なスチール製フロントグリルから樹脂製の彫りの深いグリルを採用。パワートレインは、先代から引き継いだ77psの1.5L直4 OHV、85psの1.6直4 SOHの2種エンジンと、3速/4速MTおよび2速/3速ATの組み合わせ。
・5代目(T100/T110/T120型:1973年~)
厳しさを増す排ガス規制と安全規制に対応した5代目は、構造変更で衝突時の安全性を高め“安全コロナ”を謳った。また、クルマの異常を知らせるOKモニターという警告灯を配置して話題になった。パワートレインは100psの1.6L直4 SOHC、105ps/110psの1.8L直4 SOHC、130ps/140psの2.0L直4 SOHCの多彩なエンジンに、3速/4速/5速MTおよび2速/3速ATの組み合わせ。「2000GT」には145psを発揮する2.0直4 DOHCが搭載された。
プラットフォーや足回り、エンジンを一新した6代目コロナ
1978年9月のこの日、コロナは6代目(T130型)にモデルチェンジした。この代から、トヨペットの冠が外れて単独名のトヨタ・コロナとなった。

プラットフォームは新設計され、フロントサスペンションが先代までのダブルウィッシュボーンからマクファーソンストラット式コイルスプリングに変更。ブレーキは全モデルの前輪がすべてディスクとなり、上級車種では4輪ともディスクとなる。また、パワーステアリングもオプションで選べた。

スタイリングは、角形4灯ヘッドライトが特徴で先代よりスタイリッシュに変貌した。ボディバリエーションはセダンとハードトップに加えて、セダンより全高を25mm低くしたスポーティな外観の5ドアリフトバックが追加された。
エンジンは、すべて“昭和53年排ガス規制”をクリアし、最高出力88psの1.6L直4 SOHC、1.8L直4 SOHC、95psの1.8L直4 SOHC EFI仕様、そして 105psの2.0L直4 SOHC、135psの2.0L直4 DOHCエンジンの合計5種を用意。トランスミッションは、MTは3速/4速/5速MTおよび3速/4速ATが組み合わされた。

車両価格は、セダンの標準グレードで89.7万円(1.6L SOHC)/110.7万円(1.8L SOHC)/116.2万円(2.0L DOHC)。当時の大卒初任給が10.3万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値でそれぞれ約200万円/247万円/259万円に相当する。
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ボディスタイルやパワートレインなど、ユーザーの多様化に合わせたワイドバリエーションの6代目コロナは堅調な販売を続けたが、大ヒットモデルにはならなかった。その要因のひとつは、1968年から発売されたコロナの上級派生車「コロナ・マークII」の人気が高まったためであり、コロナユーザーの一部がマークIIに流れたことである。
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