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今日は何の日?

■初代サファリにターボディーゼル車を設定

1983(昭和58)年9月5日、日産自動車は本格オフローダー「サファリ」の商品力強化のため、ターボを搭載したディーゼル車などを追加するなど改良型サファリを発売した。サファリは、1951年に誕生した「パトロール」の3代目を、国内では「サファリ」の車名でデビューさせた本格オフローダーである。

1983年にデビューしたサファリ エクストラバン ハイルーフターボAD
1983年にデビューしたサファリ エクストラバン ハイルーフターボAD

サファリの起源であるパトロールは警察予備隊用に開発

パトロールの起源は、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のため、各自動車メーカーが試作した小型4WD車に遡る。採用されたのは、米国カイザー・ウィリス社と技術提携していた中日本重工業(現在の三菱重工のルーツのひとつ)の「三菱ジープ」だった。そのとき試作競争に参加した日産とトヨタの試作モデルを量産化したのが、日産「パトロール」とトヨタ「ランドクルーザー」なのだ。

初代パトロール
1951年に誕生した本格オフロード4WDの初代パトロール

パトロールは、ラダーフレームに4輪リジット・リーフ式サスペンション、エンジンは大型トラック用の4.0L 直6エンジンを搭載した頑強なオフロード4WDオフローダーだった。しかし、当時はまだ庶民のレジャー用としての需要は少なく、農林業や建設土木業などの用途に限られた。

初代パトロール、当時のカタログから
初代パトロール、当時のカタログから

乗用車的なSUV要素を強めたオフローダーのサファリ

パトロールは1960年10月、初めてのモデルチェンジで2代目に移行。基本的なメカニズムは初代が踏襲されたが、ランドローバー風のスタイリングに変貌した。最高出力130psを発揮する4.0L 直6 OHVディーゼルを搭載して、当時最強のオフローダーと評価された。

2代目パトロール、当時のカタログから
2代目パトロール、当時のカタログから

1980年には3代目となり、スタイリングはそれまでの武骨でボクシーなスタイルから、レジャーユースも狙ったSUV色を強めたスマートなイメージに変貌。スタイルが一新され、名称も国内ではサファリと名乗った。

初代サファリ(3代目パトロール)
1980年にデビューした初代サファリ(3代目パトロール)

ボディは、3ドアショートボディ・FRPハードトップ(乗用車登録)と5ドアロングボディ・メタルトップバン(貨物登録)の2モデル。パトロールと同様に悪路走破性と耐久性を確保するため、車体はラダーフレーム+4輪リジット・リーフ式サスペンションの構成が踏襲された。

初代サファリのコクピット
1980年にデビューした初代サファリのコクピット

パワートレインは、最高出力95ps/最大トルク22.0kgmの3.3L 直6 OHVディーゼルエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WD。サファリは、ライバルのトヨタ「ランドクルーザー」と三菱「パジェロ」とともに、日本のみならず世界のSUV市場を席巻するヒットモデルとなった。

ディーゼルターボ車を追加するなど改良型サファリ投入

3.3L 直6 OHVディーゼルエンジン
改良型「サファリ」に搭載された3.3L 直6 OHVディーゼルエンジン

1983年9月のこの日、サファリの改良型が登場した。ハードトップとロングボディバンにターボが装着され、さらに多様化するニーズに応えるため、ロングボディバンにはハイルーフ車が設定された。この他、スタイリングの変更や4WD車初のヘッドランプワイパーを始め、透過照明式メーター、角型ヘッドランプの採用などが追加された。

改良型「サファリ(ロングボディバン)」
1983年にデビューした改良型「サファリ(ロングボディバン)」

ディーゼルターボ車は、ベース車NA(自然吸気)の最高出力95ps/最大トルク22.0kgmの3.3L 直6 OHVディーゼルエンジンにターボを装着して、出力は120ps/27.0kgmへと向上。トランスミッションは、オーバードライブ付5速MTで、高出力化とともに燃費も改善された。

サファリ(エクストラバン ハイルーフ ターボAD
1983年にデビューした「サファリ(エクストラバン ハイルーフ ターボAD)]

内外装についても手が加えられ、新たにデザインされた角型2灯式ハロゲンヘッドランプ、メッキフロントグリルを採用して精悍なフロントマスクとし、また新設計のドアミラーやホワイトロードホイールなどの採用によりスポーティさをアピール。インテリアについても、トリム地とシート地に高級クロス地を採用するとともに、内張りをフルトリム化して乗用車感覚を強調した。

車両価格は、ハードトップのディーゼルターボ仕様が226.5万円(NA仕様は217.5万円)、ロングボディバンのディーゼルターボ仕様が251.6万円(NA仕様が234.8万円)。当時の大卒初任給は13万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約401万円(ハードトップ)/445万円(ロングボディバン)に相当する。

3代目「サファリ」
1997年にデビューした3代目「サファリ」。本格オフロードから都会的な雰囲気へ
3代目「サファリ」
1997年にデビューした3代目「サファリ」。本格オフロードから都会的な雰囲気へ

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その後サファリは1997年発売の3代目まで継続したが、販売が伸びずに2007年に国内販売を終了した。乗用車テイストを強めたが、パジェロやランクルに較べると武骨さが抜けきれなかった。さらにRVブームが去ったことが販売に苦しんだのが理由である。しかし、海外向けのパトロールは現在でも中東の富裕層に大変人気があり、北米でも「アルマーダ」や「インフィニティQX80」として活躍している。結局のところ、国内よりも市場の大きな海外を重視したオフローダーだったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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