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今日は何の日?

■女性向け新感覚のハイトワゴン・ムーヴキャンバス

2016(平成28)年9月6日、ダイハツはハイトワゴン「ムーヴ」の派生車で、女性をターゲットにした「ムーヴキャンバス」を発売した。“自身のライフスタイルを楽しむ女性に寄り添う新感覚スタイルワゴン”をキャッチコピーとした、デザイン性と機能性を両立させたハイトワゴンである。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
2016年にデビューした「ムーヴキャンバス」

ムーヴキャンバスのベースとなったムーヴ

ムーヴが誕生したのは、1995年5月のこと。その2年前の1993年9月にスズキから「ワゴンR」が発売され、背が高く圧倒的な室内空間を持つハイトワゴンという新しいジャンルを開拓して大ヒット。ダイハツが、このワゴンRに対抗して投入したのがムーヴだった。

ダイハツ「ムーヴ」
スズキ・ワゴンRに対抗して1995年に登場したダイハツ「ムーヴ」

ムーヴは、人気セダン「ミラ」をベースにして、スタイルはワゴンRに類似しながらも、ワゴンRとの差別化を図った。ボディサイズはワゴンRとほぼ同等ながら、大きな違いは使い勝手の良い左右対称5ドア(ワゴンRは、後席ドアは助手席後部のみ)、テールゲートが横開き、後席がスライド機構付きであること、車重がワゴンRよりも約30kg軽量だったことである。

エンジンは、新開発の660cc直3 DOHCをメインに、ワゴンRにない直4 DOHCターボモデルがラインナップされた。トランスミッションは5速MTおよび3速AT、ターボモデルには4速ATが用意された。

ダイハツ「ムーヴ」
スズキ・ワゴンRに対抗して1995年に登場したダイハツ「ムーヴ」

ハイトワゴンのワゴンRとムーヴは、ライバル関係を続けながら大ヒットモデルとなった。そして、2014年2月にムーヴキャンバスのベースとなった6代目ムーヴがデビューしたのだ。

2014年にデビューした6代目「ムーヴ」
2014年にデビューした6代目「ムーヴ」

6代目ムーヴの派生としてムーヴキャンバス

2016年9月のこの日、ムーヴキャンバスはムーヴの派生車として誕生した。近年の独身女性の増加に伴い、実家暮らしの女性が増えていること、また世帯内でクルマを共有することが増えているという使用実態を考慮し、メインターゲットは親と同居する独身女性だった。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
2016年にデビューした「ムーヴキャンバス」

メカニズムは、基本的に6代目ムーヴのサスペンションやモノコックなどを採用し、6代目ムーヴよりも25mm高い全高とムーヴシリーズ初となるスライドドアが装備された。また、電動パワーステアリングの制御によってステアリングの操舵力が最適化され、市街地での取り回しや駐車場での切り返しの利便性が高められた。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ダイハツ「ムーヴキャンバス」のボディサイズ

パワートレインは、最高出力52ps/最大トルク6.1kgmを発揮する660cc直3 DOHCエンジンとCVTの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意された。燃費改善のために、ミライーステクノロジーの樹脂化ボディや高着火スパークプラグ、低フリクションエンジンオイル、CVT制御の最適化などが盛り込まれ、2WDで28.8km/L(JC08モード)という低燃費も記録した。

「ムーヴキャンバス」のコクピット
「ムーヴキャンバス」のコクピット
「ムーヴキャンバス」のシートアレンジ
「ムーヴキャンバス」のシートアレンジ

その他にも、自動ブレーキは「スマートアシストII」を採用。衝突回避支援ブレーキ、衝突警報機能、車線逸脱警報機能、誤発進抑制機能(前方&後方)、先行車お知らせ機能が搭載された。その他にも、スーパーUV&IRカットガラスや花粉やPM2.5を除去するスーパークリーンエアフィルター、パノラマモニターなど女性に優しい装備が魅力だった。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ダイハツ「ムーヴキャンバス」の各部使い勝手

また、若い女性に好まれそうな愛嬌あるデザインとツートンカラーに加え、バリエーションとしてモノトーンカラーも設定されたムーヴキャンバスの価格は、2WD仕様で118.8万円~154.44万円に設定され、多くの女性から支持されるだけでなく、男性からも高い人気を得て大ヒットした。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ダイハツ「ムーヴキャンバス」のカラーバリエーション

他にもあるムーヴベースの女性向けハイトワゴン

ムーヴベースの女性をターゲットにしたモデルは、キャンバス以前に「ムーヴラテ」と「ムーヴコンテ」があった。

2004年にデビューした「ムーヴラテ」
2004年にデビューした「ムーヴラテ」
2008年8月にデビューした「ムーヴコンテ」
2008年8月にデビューした「ムーヴコンテ」

・ムーヴラテ
3代目ムーヴの派生車として2004年~2009年まで販売。若い女性を意識し、ムーヴに対して曲面基調としたエクステリアに、インテリアには女性が好むソフトな素材が使われた。また、ムーヴとはシャシーを共有せず、専用シャシーが与えられ、乗り心地や走り、質感がムーヴより優れているという大きなメリットがあった。

・ムーヴコンテ
4代目ムーヴの派生車として2008年~2016年まで販売。ボクシーなタイリングが特徴で、後席のシートスライド機能などを省略する代わりに、前席にパワーエントリーシートを採用するなど、ファミリカーというより快適性と高級感を追求した女性が好みそうなパーソナルカーだった。

ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ダイハツ「ムーヴキャンバス」の乗降性

そして、この2台を糧に統合した形で、ムーヴキャンバスがデビューしたのだ。

・・・・・・・
個性的な愛らしいデザインと実用性に優れたムーヴキャンバスは、2017年以降2022年7月から販売されている2代目の現在も、ムーヴ販売全体の約6割から7割を占め、ベースのムーヴ(含むカスタム)より売れている。当初の狙いだった女性向け軽ハイトワゴンの枠を超え、広い層に支持される大ヒットモデルになったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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